議会での質問・討論(詳細)
2014年11月28日

岩崎議員が議案関連質問

◎質問と市長・教育長答弁は次の通りです。なお、実際には、質問と答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように対応する質疑と答弁を交互に記載しました。

長期ビジョンに従って市民生活に視点を向けた中期計画を

岩崎議員:日本共産党を代表して、市長、教育長に質問します。
市第92号議案、横浜市中期4か年計画(原案)について、伺います。
市長は、素案発表の記者会見で、「安倍総理が新しい経済政策を推進なさってきて、私としては大変評価できる」、「このチャンス、市債の発行の考え方も変えて、やるべきことをやる」、「基礎自治体こそが、国の成長を支えている」等と述べています。
こうした認識で提案された中期計画は、安倍政権の成長戦略をそのまま横浜で具体化した内容です。失敗が明らかな成長戦略に頼りきった中期計画では、横浜の展望は開けません。日本共産党は、中期計画は抜本的に見直し、提案し直すべきだと考えます。
中期計画の目的は、「横浜の未来を切りひらいていくため根幹となる政策の方向性を共有」して、「横浜市基本構想(長期ビジョン)」の実現を目指していくためとしています。しかし、中期計画は、長期ビジョンの目指す方向とは大きく異なっています。
長期ビジョンでは、横浜の都市像を「市民力と想像力により新しい横浜らしさを生み出す都市」として、交流拠点都市、活力創造都市、生活快適都市、環境行動都市、安全安心都市の5つの柱で都市像を説明しており、全体的には市民生活に視点が向いています。
一方、中期計画は、「未来のまちづくり戦略」として都市像を4つの柱立てで説明していますが、人に着目したといえるのは一つだけであります。残る三つは企業支援やハード整備であり、市民の暮らしの視点は後景に追いやられています。
長期ビジョンと中期計画の方向性がこれほど違っていては、計画案の冒頭で「長期ビジョンの実現を目指す」といってみても、絵空事になってしまいます。
市長は、基本構想と中期計画が目指す方向性が大きく食い違っていることをどう説明されるのか、伺います。

林市長:岩崎議員のご質問にお答え申し上げます。
市第92号議案について、ご質問いただきました。
中期計画の方向性についてですが、中期計画は横浜市基本構想を実現していく上で必要となる方向性や取り組みをより具体的にお示ししたものです。そこで、今回の計画では、都市の活力をつくり出す人への支援や、まちづくりの視点を踏まえた未来のまちづくり戦略をお示ししました。また、子育て支援や教育の充実、高齢者の福祉・医療など、市民生活の安心安全を支えるための基本計画に取り組んでいます。

臨海部偏重ではなく人口減少・高齢化社会を踏まえた都市基盤整備を

岩崎議員:未来のまちづくり戦略3「魅力と活力あふれる都市の再生」では、国際競争力強化を目指して、エキサイトよこはま22計画、国際コンテナ戦略港湾、MICE(マイス)、カジノ誘致等、臨海部偏重の都市基盤整備になっています。
しかし、本市の実態は、人口減少・超高齢化社会を迎えて、南西部郊外をはじめとして、空き家の増加、入居者のほとんどが高齢者世帯という団地、坂道やがけ地で公共交通が不便な地域で買い物難民化、処分したくても売れない住宅・宅地等々、課題が山積しています。これからの横浜市のまちづくりを考えるのであれば、こうした実態への対策こそ、喫緊の課題です。
国際競争力強化に特化した都市拡張路線ではなく、人口減少・高齢化社会という時代の流れを見据えた、安全・安心な地域のコミュニティの再生、地域間格差のない成熟した都市づくりに、転換することが必要です。
市長は、人口減少・高齢化社会の到来という現実を踏まえて、横浜のまちづくりをどのように進めようとしているのか、伺います。

林市長:時代認識と計画での取り組みについてですが、少子高齢化の進展や都市インフラの老朽化、大規模な自然災害など、ただいま岩崎議員がお話になられましたけれども、横浜を取り巻く環境の変化に伴う課題は、十分に私も認識をしていると思います。そうした課題認識のもと、未来のまちづくり戦略をお示しし、あらゆる世代が持てる力を発揮すること、将来に向けて都市を再生することなどを重視、必要な施策を計画に盛り込みました。

岩崎議員:次に、財政面から伺います。
都心臨海部偏重の都市基盤整備を突出させた中期計画の推進は、莫大な投資を余儀なくされます。これをまかなう財源対策として市債発行枠を拡大すれば、将来に付けを回すことになります。一般会計から支出しようとすれば、市民生活関連予算を削減することになります。
本市を財政破たんに陥らせず、市民の暮らしを守るためには、都市基盤整備に偏重した投資計画を根本的に見直すべきだと考えますが、市長の認識を伺います。

林市長:計画の推進についてですが、これまでも子育て、教育、医療に力を入れて取り組んできておりまして、今回の計画においても重要政策としてかかげています。生産年齢人口の減少や高齢化が加速する中にあっても、横浜が持続的に成長・発展し、豊かな市民生活としていくためにも、横浜経済の活性化や都市基盤整備は不可欠なものでございます。今後も市民の安心安全を守る施策を進めつつ、将来に向けて投資していくために、財源の確保や新たな事業手法の導入など、あらゆる創意工夫を行い、必要な施策を進めていきます。

35人学級拡充を教育振興基本計画に盛り込め

岩崎議員:次に、市第93号議案、第2期横浜市教育振興基本計画の策定について、伺います。
今回提案された基本計画は、横浜教育ビジョンの実現に向けたものです。
少人数教育の推進は、教育の質の向上とともに、教職員の多忙の解消の上からも重要です。ところが、基本計画には35人学級拡充について、積極的な方針が明記されていません。
財務省サイドからは、「35人にしたが効果が見られないのなら、40人学級へ戻せばよい」との暴論があり、歌人の俵万智さんが「35人で効果が出ないなら、30人でやってみればいい」と言ったことが話題になっています。一方、文科省は、わが党の国政交渉の場で「教職員の定数を増やしたい」と回答しています。
本市に県から権限移譲されるのを機会に、独自に学級編成基準を定めて、35人学級を積極的に拡充する方向を基本計画に明記すべきです。教育長の考えを伺います。

岡田教育長:市第93号議案について、ご質問いただきました。
35人以下学級を拡充していくことを明記すべきとのことですが、小学校1年生は公立義務教育諸学校の学級編制および教職員定数の標準に関する法律に基づき、また小学校2年生は国の方針に基づき、35人学級を実施しております。政令市移管後においても、学級規模については法制度や人件費の財源確保などの課題がありますので、今後とも、国、県、政令市等の動向を踏まえての検討となります。

中学校給食こそが昼食対策最良の道

岩崎議員:基本計画は、中学校の昼食対策で「家庭弁当を基本とする」と明記していますが、「弁当路線」の固定化宣言ともいうべき内容で、問題です。同時に、「中学校の昼食対策の充実が必要」とも述べています。昼食対策の最良の道は、給食の実施であります。
学校給食については、下村文科大臣が先の国会で「学校給食の普及、充実に取り組んでまいります」と答弁しています。堺市が8月に実施を表明したことで、中学校給食の実施をかたくなに拒んでいるのは、政令市では横浜市だけになってしまいました。
本市も、中学校給食の実施方針を基本計画に盛り込むべきです。他の分野では真っ先に手をあげて国の方針に従ってきた本市が、なぜ文科大臣の意向を無視するのか、その理由を伺います。

岡田教育長:中学校昼食の充実には給食の実施を盛り込むべきとのことですが、現在、横浜らしい中学校昼食のあり方をまとめていますが、家庭弁当を基本としつつ、今年度実施したアンケート結果で多くのご賛同をいただいた配達弁当や、これまでに実施してきた業者弁当との選択制とする横浜らしい中学校昼食を目指したいと考えています。なお、給食の実施は設置者が決めることとされております。

グローバル人材育成の重点化は選別教育につながる恐れ

岩崎議員:次に、重点的に取り組むとしているグローバル人材の育成について伺います。
国の成長戦略で「グローバル人材の育成」がうたわれています。これはグローバル企業の担い手育成であり、ある種の英才教育です。英才教育に重点的に取り組むことは選別教育の強化であり、すべての子どもを平等に扱う公教育をゆがめることが危惧されます。
この点についての教育長の見解を伺います。

岡田教育長:グローバル人材の育成を推進することは問題であるとのことですが、今、私たちの生活は国際社会の関わりなくしては成り立たない時代になっています。特に、国際都市横浜で学ぶ子どもたちが国際化社会の中で自らの能力を発揮していくことは非常に重要です。進展する社会のグローバル化に対応するため、自国の文化をしっかり学び、他国の文化を理解しながら、個人を確立し、価値観が異なる中で違いを認め合い、自らの考えを表現できる能力を育成することは、横浜の教育において不可欠であると考えます。

新教育長にふさわしい人物像とは

岩崎議員:次に、教育委員会制度の改訂に係わる市第100号議案他3件に関連して伺います。
約半世紀ぶりに教育委員会制度が改訂されます。横浜市教育委員会が、法改訂を機に児童・生徒等の教育を受ける権利を保障するために、より良い教育行政を推進することを期待して、質問します。
改訂の主な内容は、教育委員長と教育長の一体化、総合教育会議の設置、教育に関する大綱の策定です。
教育委員会は、児童・生徒等の教育を受ける権利を保障するために、いかなる圧力も受けず、不偏不党・公正に教育行政を行う住民自治の機関です。
法改正後にあっても、教育委員会制度は存続すること、教育委員会が教育行政の最高意思決定機関であること、教育委員会制度発足時の「3つの根本方針」は不変であることを、文科省が確認していることはきわめて重要です。
新教育長は、一般行政の長である市長と対等の立場で、教育行政を代表することになります。新教育長は、従来の教育委員会事務局の長としての職務に加え、教育現場に精通していることが求められます。
今回の法改正に伴い市長が教育長を任命しますが、仮に本市行政職員からの選任となれば部下を任命することになり、法には触れないものの、教育委員会の首長からの独立という制度の根本方針が侵害される恐れがあります。
任命権者である市長は、初代教育長にふさわしい人物像をどのように考えているのか、伺います。

林市長:市第98号議案、市第100号議案、市第101号議案、および市第102号議案について、ご質問いただきました。
新教育長の選任の考え方についてですが、制度改正後初めての選任となることも踏まえまして、人格が高潔で、教育行政に関し識見を有することはもとより、教育行政の責任者としてのリーダーシップを十分に発揮できるなど、新教育長の職責をしっかりと果たし、今後の道筋を付けるにふさわしい人物を慎重に考えてまいります。

重責・激務に耐えられる新教育長の選任基準とは

岩崎議員:次に、新教育長は常勤特別職とされ、勤務条件は一般職員の規定が適用されます。勤務する日は月曜日から金曜日までの5日間、勤務時間は午前8時30分から午後5時15分と規定されています。加えて、従来の教育委員長の職務を行うことになります。重い責任を負い、激務が予測される新教育長には、十分な体力と気力が求められます。
市長は、こうした条件を満たすための新教育長選任の基準はどのようなものがふさわしいとお考えか、伺います。

林市長:常勤特別職である新教育長の選任の考え方についてですが、教育委員会委員長と教育長の役割を併せ持つ新教育長は、常勤の特別職として、教育委員会の会議を主催し、事務局の事務を総括します。これに伴い、今後は教育現場におけるさまざま課題に、より一層迅速かつ的確な対応を図ることなどが求められます。法律に定められた任命要件に加え、こうした法改正の趣旨を踏まえ、ふさわしい人材を選任してまいります。
残りの質問については教育長より答弁させていただきます。

市長の教育介入や圧力を排除・防止するためには

岩崎議員:最後に、今回の法改訂で市長に与えられる大きな権限が乱用されて、教育委員会の独立性が侵害される心配があります。
文科省は、市長の不当な介入や圧力を排除・防止するための措置を規定する通知を出しています。その通知の内容に対する認識と運用について、教育長の考えを伺って、質問を終わります。

岡田教育長:市第98号議案、市第100号議案、市第101号議案、および市第102号議案について、ご質問いただきました。
首長の恣意的な教育への介入については、文部科学省の通知内容のもとに制度を運用すべきとのことですが、今回の改正は首長が教育行政に果たす責任や役割を明確にすること、また首長と教育委員会が協議・調整することにより、両者が教育政策の方向性を共有し、一致して執行にあたることなどが趣旨とされております。教育委員会としましても、こうした趣旨を踏まえ、文部科学省の通知に基づき、制度を運用してまいります。以上、ご答弁申し上げました。


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