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(第10回)横浜にカジノはいらない!

日本共産党横浜市議団がお届けするインターネットTV「JCPヨコハマチャンネル」。今回は、2014年11月22日に、日本共産党横浜市議団主催で開かれた、「横浜にカジノはいらない!カジノ解禁と横浜誘致について考えるシンポジウム」の模様をお伝えします。


ナレーション:白井まさ子議員

1.オープニング

日本共産党横浜市会議員団:「横浜にカジノはいらない」

ナ:みなさん、横浜にカジノを誘致しようという動きをご存知でしょうか。

カジノは、経済の発展をもたらすのでしょうか、どんな弊害が起こるのでしょうか。

日本共産党が、カジノ問題の第一線で活躍されている3人の先生をお迎えして行ったカジノシンポジウムでの報告から、カジノの問題点をお伝えします。

2.「カジノ誘致に超熱心な林市長と横浜の自民党」

ナ:古谷やすひこ市会議員は、「カジノ誘致に超熱心な林市長と横浜の自民党」と題して報告しました。

古谷:2014年今年の年頭のあいさつの中で、林市長がカジノ誘致のことで、非常に大きく明言をしました。その中で何を言ったかというと、林市長は「臨海部の観光都市の魅力を向上させる計画の中で、IRはカジノを含めなければとても成立はしない」と。「この考え方も庁内で同じ方向だと思ってます」ということで、カジノ誘致に乗り出すということを、公式の記者会見の中で表明しました。カジノ誘致で税収が大きく増えたマカオやシンガポールなどを例に挙げて、「税収不足の中でカジノで経済効果を狙っていくんだ」ということを強調しました。

ナ:林市長にカジノ誘致をけしかけるのが自民党です。マカオやシンガポールの例をあげ、莫大な経済効果が見込めるため、誘致に積極的に取り組むべきだと述べています。

ナ:86人の横浜市会議員のうち、カジノ誘致に反対しているのは、私たち日本共産党の5人と無所属クラブの2人だけで、あとの79人、実に92%の議員が賛成です。一方、日本共産党が行った市民アンケートの結果では、61%が反対で、賛成はわずか10%です。マスコミの世論調査でも反対は賛成の約2倍と出ていることから考えると、市会議員の態度がいかに市民の考えと離れているかがわかります。

3.「医師からみたギャンブル依存症の実態」

ナ:鶴見区で診療にあたっている精神科医の野末浩之先生には、「医師からみたギャンブル依存症の実態」について、お話いただきました。

ナ:野末先生は、精神科医で作家でもある帚木蓬生先生の論文を紹介。これは、箒木先生が開業しているメンタルクリニックに患者として訪れた病的賭博者100人を対象にして行った調査結果です。

野末:さて、特徴的なことがいくつか書いてあります。ギャンブル開始年齢、非常に若いですね。100名のアンケートでいうと、早い人は13歳、遅くても45歳に始めている。平均すると20.2歳です。つまり、成人すると同時に、あとで出てきますけど、だいたいは大学生の時期に始めるんですね。借金を始める年齢はそれよりも約7、8年後ですね。趣味の範囲というのかな、お小遣いの範囲でやっていたものが、借金をするようになる。これはもうりっぱな依存症ではないかと私は思うんですけれども。ギャンブルを初めて開始してから約7、8年で依存症に陥っているわけですね。

たとえば、アルコール依存症などとくらべても非常に速いですね。男性の場合、アルコール依存症は飲み始めてからあびるように飲むようになって依存症になるんですけども、だいたい20年から25年かかるといわれているんですが、ギャンブル依存症はその3分の1とか4分の1という短い期間でなっているようですね。

ナ:ギャンブル依存症になると、借金をし、家族や会社に嘘までついて、ギャンブルにのめり込んでいきます。そのため、配偶者を精神疾患に追い詰めていく場合も多く見られました。

ナ:野末先生は、厚生労働省研究班の調査で日本人の4.8%、実に536万人もいるといわれているギャンブル依存症の患者に対して、日本ではほとんど対策をとっていないと指摘するとともに、精神科医としても積極的に治療を引き受ける必要があると述べました。

4.「多重債務問題に取り組む弁護士から見たカジノ解禁推進法案の問題点」

ナ:全国カジノ賭博場設置反対協議会事務局長の吉田哲也弁護士からは、「多重債務問題に取り組む弁護士から見たカジノ解禁推進法案の問題点」というテーマでお話していただきました。吉田先生は、多重債務者救済運動の中で、せっかく多重債務が整理できたのに、数年後にまた相談に来ることを繰り返す人に接し、その背後にあるギャンブル依存症の問題に取り組むようになりました。

ナ:ギャンブルは、刑法185条186条で規定される、れっきとした犯罪です。ところが、2013年12月に、自民党、日本維新の会、生活の党は、カジノ推進法案を国会に提出。この法案は、衆議院の解散によって廃案となりましたが、今年の通常国会に再提出されるものと思われます。

ナ:この法律、正式には「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」といいます。この「特定複合観光施設」がよく耳にする「IR」で、法律案では「カジノ施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設その他観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となって」いるもので、なおかつ「民間事業者が設置・運営するもの」と定められています。

吉田:こういうカジノ解禁推進法案ですが、いろいろとやっぱり問題点があるんですね。あとで鳥畑先生もおっしゃるというふうに思いますけれども、いくつか代表的なものをご説明したいと思いますが。まず、この法案そのものが、カジノによる弊害が発生することを認めています。

ナ:その他、犯罪資金などのマネー・ロンダリングや多重債務者の増加、新たな利権構造が生まれると指摘しました。

吉田:わが国の歴史上、初めて民間賭博公認するということですから、そんないい加減な話はとうてい容認できないと思います。具体的にカジノの弊害、どんなことが生じるのか、あるいは対策はどんなことがあるのか、その対策によってどれだけ弊害を除去できるのかを具体的に論じていけば、どうしてもカジノを解禁できないという結論になっていくと思います。カジノ解禁を推進している人たちは、やっぱりそういう具体的な話を避けているのは、そういうことになっていくからだというふうに、私は思っています。

5.「IR型カジノは、経済成長と観光の決め手とはならない!不幸をまき散らすビジネスだ!」

ナ:静岡大学教授の鳥畑与一先生は、「IR型カジノは、経済成長と観光の決め手とはならない!不幸をまき散らすビジネスだ!」と題して、アメリカのアトランティック・シティを訪れて調査した結果を示しながら、IR型カジノの問題点について話されました。

ナ:カジノの本家本元アメリカにあるアトランティック・シティは、ニュージャージー州の人口4万人の都市です。1976年、ラスベガスについでアメリカで2番目にカジノを合法化し、78年にカジノがオープンし、12のカジノホテルで年間約三千数百万人を集めてきました。ところが、30数年たってもきわめて貧困、犯罪、失業者の多い町です。

2004年にニューヨーク州がカジノを合法化し、ついでメリーランド州、ペンシルバニア州が合法化。ニュージャージー州は、生き残りをかけて、ただのカジノの町からIR型カジノの町に転換を進めました。

その結果、どうなったのでしょうか。

ナ:アトランティック・シティにはカジノが12あり、そのうちボードウォーク沿いにある9つのうち、5つが開設後わずか1年でつぶれてしまいました。

ナ:IR化で行き残りを図りましたが、駅前のコンベンションセンターには週末なのに、人っ子一人いません。

ナ:華やかなアウトレット街、プランド店も並んでいますが、土日でも観光客はまばらです。

ナ:外見は華やかなショッピングモールですが、中は空き店舗ばかりのシャッター通り。エレベーターも止まっています。

ナ:閑散としたパシフィック通り。やはり、人気がありません。

ナ:つぶれたお店、ホテル、パブ。ホテル跡は駐車場になっています。

ナ:有名なホテルの跡、有名なレストランの跡、みんな空き地になっています。タクシーの運転手さんの話では、昔はホテルやレストランが通りの両側にびっしりあったのに、みんなつぶれてしまい、地域のコミュニケーションもこわれてしまったということです。

鳥畑:なぜうまくいかなかったんだといったときに、IR型カジノというのは結局投資が大きいですから、その投資や採算を取るためには、たくさん客が右上がりで増えていかないと成り立たないんですね。だから、ちょっと客が減っちゃうと、もう大幅な赤字で、破綻するような仕組みになっちゃったということですね。それから、もうお客さんを囲ってしまうので、地域経済そのものを衰退させちゃったと。

ナ:さらに、鳥畑先生は、どこのカジノでもギャンブルは同じなので、顧客獲得競走はサービス合戦になってしまい、もうけの3分の1くらいはお客さん誘致のサービス費用に使ってしまうと言っています。

ナ:では、カジノで雇用は増えるのでしょうか。

鳥畑:それから、雇用は増えるといいますね。でも、アメリカの場合は典型的なワーキング・プアなんです。ディーラー、花形職種といわれてますけども、アメリカ、これはシンガポールでもそうなんですけども、カジノの払う賃金は最低賃金なんです。あとはチップで稼いでくださいということなんです。アメリカの場合は、半分以上チップが占めたとしても、ディーラーの平均所得は3万4000ドルなんです。他の窓口係とか両替係は2万ドルちょっとなんです。

つい先日、ニューヨークタイムスが書いてますけども、『カジノの雇用はミドルクラスの道は開かない』と。要するに、ワーキング・プア生産工場であるということなんです。じゃ、日本でできた場合、雇用は増える、その雇用のほとんどは不安定雇用、ワーキング・プアですよと。

ナ:さらに、中国人がターゲットなのに、中国語がわからない日本人にディーラーはつとまらないので、外国から安い労働力を連れてくるのではないかと指摘しています。

ナ:アジアでは、いまカジノ建設計画が目白押しです。韓国は2018年の冬季オリンピックを見込んでインチョン空港近くでカジノの建設が始まっています。韓国の済州島や台湾の大陸側の離島でもIR型カジノ計画が進んでいます。

鳥畑:そうすると、2020年に日本がIR型カジノができました、その頃はアジアのカジノ市場は過当競争になっています。後からのこのこと乗り込んでいって、中国のVIPがわざわざ日本の一番遠い所に来てくれるでしょうか、こんな仲の悪い国にという話になるわけです。

鳥畑:従って、こういうカジノに地域社会の未来を託せるのかということです。一旦、ギャンブル税収に地方自治体が依存をすると、この税収が落ちるとますますギャンブルを拡大していくかたちで税収を確保しようとします。これ、アメリカでもうどんどん起きています。

そうすると、自治体が市民の生活と健康を守るんじゃなくて、市民をギャンブル依存症にして、その生活を破壊する、推進する側になっちゃうという話になってしまいます。実際、そのギャンブル産業があんまり長続きしない産業ですから、衰退した時にその財政に対する破滅的なダメージも大きいよと。アトランティック・シティの場合なんですけども、ギャンブルからの税収が5億ドルから2億ドルに落ちて、一般予算から補てんをして、それでもどうしようもなくなって、いままでそれで賄っていた医療関係の予算をばっさばっさ削らざるをえなくなっているという状況です。

従って、こういうギャンブル産業に地域社会の未来を託すというのは、それこそギャンブルですよということで。

6.エンディング

ナ:IR型カジノは地域経済を活性化しないどころか逆に疲弊させ、犯罪やギャンブル依存症患者を増やすものだということが、明らかになりました。

日本共産党は、横浜にも、そして日本中のどこにもカジノをつくらせないという立場で、がんばっていきます。

<参考リンク>

カジノシンポを開催

◯カジノシンポフル動画
1.「カジノ誘致に超熱心な林市長と横浜の自民党
  横浜市会議員 古谷 やすひこ
2.「医師からみたギャンブル依存症の実態
精神科医 野末 浩之氏
3.「多重債務問題に取り組む弁護士から見たカジノ解禁推進法案の問題点
弁護士、全国カジノ賭博場設置反対協議会事務局長 吉田 哲也氏
(講演)「IR型カジノは、経済成長と観光の決め手とはならない!不幸をまき散らすビジネスだ!
静岡大学人文社会科学部教授 鳥畑 与一氏