申し入れ等
2015年2月6日

「横浜市エネルギーアクションプラン」(素案)に関する改善の申し入れ

2015年2月6日

横浜市長 林 文子 様

日本共産党横浜市会議員団
団長 大 貫 憲 夫

 

「横浜市エネルギーアクションプラン」は、「横浜市地球温暖化対策実行計画(平成26年3月改定)」に位置付けたエネルギー施策をより着実に推進するために策定され、実行計画の短期目標の年次である2020年度に向けて取組とその工程表を示しています。
実行計画には、第6章取組方針と対策・施策で、目標毎に具体化または検討する主な施策が明記されています。しかし、本プラン素案では、総じて具体的に「いつまでに」「何を」「どうするか」があいまいです。横浜市が目指す温室効果ガス排出削減目標値が明記されておらず、各取組における具体的な方法、事業費、取組のスケジュールに年度毎の数値目標も示されていません。これでは、アクションプランを策定する意味がありません。
エネルギー政策で大事なことは、創エネルギーと省エネルギーの対策を同時に行い、エネルギーの地産地消を進めることです。この視点から考えると、本プラン素案では省エネに比べ、創エネ対策が不足し、かつその内容も抽象的であると考えます。
具体的には、住宅における太陽光パネル等再生可能エネルギー利用設備の設置を強力に推進する施策を盛り込む必要があると考えます。その方法として、新築住宅における確認申請時に太陽光パネルの設置を促す、パネル設置の助成制度の充実、パネル設置住宅の固定資産税軽減などが考えられます。
市内でどれだけの再生可能エネルギーが利用されており、どれだけの設備設置が可能なのかを知ることは、今後のエネルギー施策を展開する上で極めて重要です。公共施設への再生可能エネルギーの導入拡大に向けて基礎調査を行うとしていますが、公共施設にかぎらず市内の全ての建築物について同様の基礎調査を行う必要があります。
水素利活用については、技術面、コスト面、制度面、インフラ面で未だ多くの課題が存在しており、社会に広く受容されるか否かは、まさにこれからの取組にかかっていると言われていることから、推進にあたっては十分に慎重を期していただきたいと思います。
本プラン素案では、過度に自家用車に依存しない自転車、公共交通を利用できる利便性の高い交通体系の形成を目指す姿としてあげています。自家用車に依存しない交通体制とはきめ細やかな公共交通網であり、そのためにはバス路線の拡充、コミュニティバスやコミュニティタクシーの導入が必要です。コミバス・コミタクの運行についてアドバイスにとどまらず財政的支援を行うべきです。公共交通網の整備拡充は、高齢者の外出を容易にすることから健康寿命を延ばすことにもつながります。
自転車の利用を推進するためには、歩行者も乗り手も安心して走行できるように、自転車専用道や駐輪場の整備を進めることが大切です。
まちの緑化も重要なエネルギー対策です。東北大学の斎藤武雄教授が「東京の面積の47%を緑で覆えば、気温は4度下がる」と言っているように、これ以上緑を減らさないことはもちろん、地上、屋上、壁面などあらゆる場所を緑化することは非常に重要です。
また、やむを得ず緑を減らさざるを得ない場合に、CO2削減に見合う分の緑を創造したり再生可能エネルギーを導入するなど、市内でCO2削減をまかなう「(仮称)横浜緑アップカーボン・オフセット制度」を立ち上げ、現在行っている海藻等の海洋生物を活用して温室効果ガスの削減を推進する横浜ブルーカーボン事業や横浜みどりアップ事業と連動させて、市民を巻き込んだ事業に発展させることが必要です。
第5章で述べられているように、エネルギー対策について「もっと知り、もっとやってみる」ことを、いかにしてより多くの市民や事業者に知らせ、実践してもらうかが、本プランを推進するための鍵です。取組促進に向けた連携体制だけにとどまらず、ごみ減量に向けてG30を推進した時のように、市職員が市民の中に積極的に入り、啓発活動を行うことが重要です。
横浜市は2008年に、脱温暖化に向けて、規制的な施策や融資制度・税制等の経済的な誘導策などさまざまな施策の実効性を担保するための脱温暖化条例(仮称)の制定検討に着手するとしていましたが、いまだ実行されていません。当市議団は実行計画改定にあたっても申し入れたところではありますが、実行計画および本プランを実効性あるものにするためには、市の姿勢と役割などを明確にし、行政の縦割りを乗り越えて事業が円滑に進められるよう、(仮称)地球温暖化対策条例を制定する必要があると考えます。
以上のことを踏まえ、以下のことを行うよう、申し入れます。

1.温室効果ガス排出削減目標値を加筆すること。
2.主要施策の取組毎に、具体的な方法、事業費、年度毎の数値目標を明記すること。
3.創エネ対策を拡充すること。特に、住宅に太陽光パネル設置を促す施策を充実させること。
4.再生可能エネルギーの導入拡大に向けての基礎調査を、市内の全ての建築物について行うこと。
5.きめ細やかな交通網システムを整備するために、コミュニティバスやコミュニティタクシー導入に向けて人的財政的支援を行う施策を加えること。
6.自転車専用道や駐輪場の整備を盛り込むこと。
7.「(仮称)横浜緑アップカーボン・オフセット制度」を立ち上げるなど、緑化の推進施策を盛り込むこと。
8.(仮称)地球温暖化対策条例を制定することを盛り込むこと。
9.プラン推進に向けての啓発活動を推進する積極的な仕組みを確立すること。

以上


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