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■建築局(岩崎ひろし)

なぜ、危険ながけ地に開発や建築の許可が出ているのか

岩崎議員:よろしくお願いします。
がけイラスト建築局予算のがけ防災対策予算の増額等は評価しています。その上で、私の質問は、土砂災害警戒区域内の危険ながけ地、イラストの赤い部分になります。なぜ開発や建築行為が許されるのかについて、伺います。
緑区白山では、違反造成が3年以上放置され、その上3棟分の建築確認が出ていた部分から土砂崩れが起こりました。そして、尊い命が失われています。市長は、「痛恨の極み。責任を感じている。二度とないようにしたい。」と、記者会見で発言されています。
緑区白山土砂崩れ現場金沢区六浦では、危険ながけ地にマンション建設が始まっています。周辺住民は、災害を発生させないよう、市に指導を求めています。掘削工事で削り取られた上の住宅では、庭は波打ち、家がひずむ等、深刻な被害が発生しています。隣接する下の家には、岩や土砂が崩落して、物置が破損されました。
二つの現場は、危険ながけ地に開発や建築の許可が出ています。許可の内容と経緯を伺います。

金沢区六浦マンション計画現場加藤建築指導部長:金沢区六浦につきましては、20年に開発許可を行いまして、その後変更許可を行うとともに、25年に共同住宅2棟の建築確認が交付され、26年度に変更確認を行っています。また、工事は26年に着手しています。
緑区白山につきましては、平成14年および16年にがけの上部に戸建住宅4棟の建築確認が交付されていますが、いずれも工事は実施されておりません。

岩崎議員:白山は違反工事が放置され、結果として犠牲者を出しました。六浦の現場は、周辺に深刻な被害がすでに発生しています。市民の命・財産を守る建築行政になっていません。なぜ、未然防止ができなかったのか、伺います。

坂和建築局長:白山の未然防止ということでお答えさせていただきますが、事故の検証をいたしまして、その結果といたしましては、時間300ミリという記録的な豪雨ということもひとつの原因でありますし、また何よりも違反造成に対して違反者に対してしっかりした基準にあった違反の是正まですべて終わらなかったと、終えられなかったと、そういう面もありますし、それから、もともと既存の排水管が切れていたのではないかという場面もありますし、さまざまな複合的要因でがけ崩れが生じました。そうした意味では、未然防止という視点で、違反も含めたしっかりした取り組みをいっそう進める必要があると感じております。

がけ崩れの行政責任の有無は

岩崎議員:当局が発表した白山の原因調査報告は、行政の責任を明確にせず、原因は、今、局長答えられたように、「想定を超える自然災害だった」と読めます。市長が、市民の命を失ったことに「責任を感じる」と発言していることに照らせば、この報告は整合していません。市長が「行政になにがしかの責任がある」と認めています。行政責任の有無についてはっきりとお答えください。

坂和建築局長:私どもとしましては、今お答えしました原因がございますので、それに対してしっかりとした対応をしていくということでございます。

岩崎議員:行政責任があるということですか。そのへん、はっきりさせてください。

坂和建築局長:先ほど申し上げましたように、豪雨、それから違反是正、違反そのものは違反者が行ったものでございますが、それに対する是正指導、それから排水管等の問題、それらの複合的な要因であったということで考えております。

岩崎議員:はっきり答えないんだけど、違反是正がしきれなかったという責任を感じているんですか。

坂和建築局長:違反是正、いかなる違反でも是正をしきるというのがわれわれの役目だと思っていますので、そういう意味では違反是正がしきれなかったということには痛恨の極みでございます。

岩崎議員:これは非常に大事なことなので、そういういい加減な答弁じゃなくて、責任があるのかないのか、ここ、はっきりさせてください。

坂和建築局長:先ほど申し上げましたように、様々な複合要因がございます。その複合要因の中にも、行政の指導という面もあると考えております。

岩崎議員:だから、行政の責任あるということでいいですか。このへん、もう一回確認します。

坂和建築局長:様々な複合要因の中に、行政の責任という点も、指導がしっかりできなかったという点は、私はその点ではあると思います。

岩崎議員:行政の側の責任が一部あるということを認めたと確認しておきます。

危険ながけに建物を建てること自体が人命被害に直結

そもそも、危険ながけに建物を建てること自体が、いずれは人命被害に直結するという大問題なんです、これは。市長が言う「二度と起こしたくない」とのこの言葉を担保するためにも、危険ながけ地の開発や建築行為は禁止を含めた厳しい規制が必要と考えますが、見解を求めます。

坂和建築局長:開発許可、宅造許可、建築確認のいずれの場合についても、それぞれ関係法令に定める技術の基準に適合することを、私ども審査しております。なお、都市計画法とか基準法では、法令上基準に適合する計画に対し、許可あるいは確認済書の交付をしなければならないというような法体系になっております。また、宅地造成規制法につきましても、同様に基準に適合する計画に対しては、法の趣旨に基づき、許可をすることになってございます。

岩崎議員:ということは、今の制度では、先ほど見てもらった危険ながけ、赤い部分、そこに建築をするということについて、災害を絶対起こさないというための事前の歯止めがかからないということを、局長、今言われたと思うんだけど、そういうことで理解していいですか。

坂和建築局長:「危険への接近」という言葉もございますが、危険が予想されるところに全部行政が規制するということになった場合の、マイナスの部分というんですかね、土地利用ができないという、一方で、ございます。それと、危険への接近をどう排除するか、それとのはざまの中で法律ができているということで考えております。その法律をしっかり把握した上で、運用していくというのがわれわれの業務だと思っております。

岩崎議員:未然防止の対策がちゃんと立つような法体系あるいは制度の設計が必要だと思いますので、この点は要望しておきたいと思います。

風呂なし市営住宅の改善策を

次に、市営住宅の質的向上の観点から、浴室未整備、この未整備というのは建築局の言葉です、風呂なし住宅について伺います。
金沢区瀬戸橋住宅で何人かの入居者に聞いてきました。「歩いて22分かかる追浜の銭湯に行くが、冬は帰りに冷え切ってしまう」「51年前から住んでいる人が多く、平均年齢70歳超えていて、とても大変だ」と訴えられました。これまでの50年にわたっての市の対応というのは、非常に冷たいと思うんですよ。風呂がない生活なんて、今どき考えられますか。そういうことで、風呂なし市営住宅の現状と課題を伺います。

坂和建築局長:昭和30年代に建築した市営住宅の一部には浴室のない住宅がございます。これ、324戸ございます。これらの住宅に空き家が生じた場合には「浴室なし」という区分で入居者を募集しており、募集される方には事前にご理解いただいた上で入居していただいております。なお、そうした住宅について、最近の3か年の平均応募倍率は約4倍であり、必要なストックであると考えています。当然に、風呂があった方が居住水準はあがると思っております。

岩崎議員:市営住宅の標準仕様では浴室は必置の条件になっています。風呂なし住宅の改善は市の責務です。どのように改善するのか、伺います。

坂和建築局長:昭和50年に改正された国の市営住宅の建設基準では、市営住宅に浴室を設置することとなってます。本市では、概ね昭和40年台以降の建設の市営住宅には浴室を設置していますが、それ以前の市営住宅には浴室を設置しないものが、先ほども申し上げましたように、あります。浴室のない市営住宅に新たに浴室を設置するということは、できればそれはそれにこしたことがないと、私どもも考えておりますが、間取りとか給排水等の設備状況およびコスト、それから建物自体の老朽度等も考えて、今は困難であると考えております。

岩崎議員:改築も含めた改善策を考えますか。

坂和建築局長:先ほど申し上げましたように、新たに浴室を設置することは、先ほどの理由から困難であると考えてます。しかし、先ほど先生から言われたように、近隣の公衆浴場が廃業されて遠くなることは、特に高齢者の入居者にとっては負担の増加になると当然考えられます。そのため、瀬戸橋住宅の入居者の方から相談があった際には、特例ですが他の市営住宅への応募を認めており、個々の対応を引き続き進めてまいります。