議会での質問・討論(詳細)
2015年2月26日

■水道局(あらき由美子)

あらき議員:日本共産党を代表して質問します。スライドを使いますので、よろしくお願いいたします。水道局発注の工事と人材育成について、伺ってまいります。

技術者不足で入札不調に

ここ3年間の水道局発注の工事件数はどのくらいあるのか、まず伺います。

竹内経営部長:入札と随意契約を合わせますと、24年度が439件、25年度が446件、26年度は1月末時点で415件となっております。

あらき議員:そのうち不調になった件数とその割合、また不調になった原因として何が考えられるのか、伺います。

竹内経営部長:24年度に入札を行った375件のうち不調は18件で約5%でした。同様に、25年度は入札379件のうち不調は45件で約15%、26年度は1月末時点で入札348件のうち不調は45件で約13%となっております。不調は、その多くが市内中小企業を対象とした小規模工事において、入札参加者がいないために発生しております。その原因としましては、自社の技術者が不足しているために入札に参加できない状況にあるという声を聞いております。

あらき議員:建築関係では、労務単価の引き上げや資材が上がったことなど金額の変更があって、国の通達に基づいて変更を行っています。今、技術者がなかなかいないという点もあります。水道局の工事においては、どのように、この点、対応していらっしゃるのか、伺います。

平本施設部長:国からの要請を受け、本市全体で統一した対応を行っておりますが、契約済みで施工中の工事につきましては、国の通知に基づく労務単価と実勢単価に基づく資材単価の各々の上昇分について、工事請負人と協議の上、設計変更で対応しています。また、契約手続き中の工事につきましても、契約締結した後、同様な対応を行っております。

あらき議員:不調にならないようにしていただくのが一番いいと思いますけれども、 工事契約結んだ後でも、工期延長や請け負った代金より増額になった場合もあると思います。このへん、対応、どうされているのか伺います。

平本施設部長:施工条件などの変更に伴い工期の変更や工事内容に増減が生じた場合、請負工事事業者と協議を行い、合意の上、設計変更により対応しております。なお、これらの手続きは、工事請負契約約款および横浜市請負工事設計変更ガイドラインに基づき適切に行っております。

あらき議員:先ほどお答えいただいた水道局の発注工事、今年度までの415件のうち、その約半数の203件が、配水管の布設替え工事だと聞いています。ですから、これ多分、ほとんどが中小企業が出来る仕事だと思うんですね。この配水管布設工事が適切に行われているかどうか、これを監督・検査する水道局としての職員体制はどのようになっているのか、伺います。

平本施設部長:現在、水道局では、水道管布設替え工事などを行っている各事業所において、ベテラン職員を班長とする3名から5名を1つの班として、監督業務を行っております。また、検査につきましては、工事検査を専門とする部署におきまして、設計および工事を熟知しているベテラン職員を配置し、実施しております。

35歳以下の水道局土木職員が減少

水道局・土木職員年齢構成あらき議員:これを見ていただきたいですけど、土木職員の年齢構成ということで、団塊の世代が大量に退職したあと、このデータのように35歳以下の職員が減って、水道局でも土木職の人材を育てていくことが大変になっていると聞いています。この点、どのように工夫されているのか、伺います。

清塚水道技術管理者:水道局では、土木、設備、水質など幅広い水道技術を確実に継承するため、平成22年度に創設したマスターエンジニア制度を活用しております。この設計・監督など土木分野におきましては、技術力と指導力に優れました51名のマスターエンジニアがマンツーマンのOJT方式で後進の職員の育成を行っております。加えまして、人材開発課の再任用職員2名が4つの工事課を定期的に訪問いたしまして、長年の経験でつちかったノウハウや高度な技術を次の世代に継承しております。

マスターエンジニア制度でモチベーションアップ

水道局・土木職マスターエンジニア配置一覧あらき議員:今、お答えいただいたマスターエンジニアで、51名配置されているっていうのが、次の資料になっています。
51名が土木設計・監督、水運用、給水審査と、この場所に配置されていると聞いています。
特に、この認定証を局長からさし上げているということで、これが作られているのが道志水源林の間伐材だということで、非常にすばらしい認定証だと思って、私も見せていただきました。
これを受けることで、職員のモチベーションもかなり上がると思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。

土井水道局長:道志は、私どものオリジナルというか、水源の大事なシンボルでございますので、その認定証に代えまして、モチベーションがさらに上がるようにがんばっております。職員からも評判が非常にいいものです。ありがとうございます。

あらき議員:さらに、認定されると賞与でポイントが上がるということもお聞きしていますので、やはり技術職としての自分の使命と、それから次の世代の構成員を育てていくという点でも、水道局として、このマスターエンジニア制度をつくったのはすばらしいと思います。
職員の目に見えるかたちで、このように局内で人材育成を独自にされているのは、本当にすばらしいことだと思います。こういう点では、さらに水道局として工事の監督に従事する土木職員のスキルを磨くために、局内でどういう研修をされているのか、伺います。

伊藤副局長兼総務部長:まず、工事監督業務に従事する職員につきましては、監督員マニュアルと工事安全など実務に則した研修を集中的に実施しています。また、土質あるいは舗装というような専門的な分野につきましては、大学や企業と連携した研修によって、職員のスキル向上を取り組んでおります。

世代継承に重要な技術研修

水道局・監督職向け研修一覧あらき議員:これが、監督員向けの研修の一覧ということで、12項目あるようで、特に技術養成という点は土木技術のポイントを上げるということで、新任職員の研修から始まって、監督初級、初級、中級というふうにレベルが上がっていくという、この仕組みも非常にすばらしいと思います。特に、水道局としては、新卒で入ってきた土木職員に対しても全員、これを受けていただくと。最終的には、先ほどお話したように、マスターエンジニアまでめざしてがんばれということで、世代継承をちゃんとやっていくという、そういう点ではすばらしい局内の取り組みだと思うんです。
では一方で、民間の今、建築の、先ほど話しあったように、現場では非常に監督できる技術者が減っているという状況を聞いているんですけど、水道局関連の事業者の方ではそういう状況にないのかどうか、伺います。

平本施設部長:水道工事の現場でも、経験豊富な技術者が定年退職し、また新たな技術者の確保も困難であることなどから、施工管理を行う専門技術者や水道管の配管作業員などが不足するなど、深刻な状況だと聞いております。

水道局と民間業者と一緒にスキルアップを

あらき議員:昨年南区で、私の地元で、陥没事故が起きて、緊急に地元の業者さんと連携をとって対応していただいたんですけど、こういう緊急対応の事故っていうのはどういうふうに契約されているんでしょうか。

清塚給水部長:局の職員が緊急時に備えまして、夜間および休日でも最低2名の職員が8事業所毎に待機しております。漏水破裂などの事故が発生した際には、待機している局職員が現場へ出動し、事故の規模に応じまして応援する職員を呼び出したり、バルブ操作などにより水を止める作業や保安措置を行います。また、修繕につきましては、各事業所で1年を通して契約している請負事業者がおりますので、その方々に市内にある自らの事業所で待機していただいております。緊急時には、水道局の職員の指示により現場に行きまして、一緒に迅速に対応するということになっております。

あらき議員:今お答えいただいたように、事業者にとっては一年間、管内一円工事として安定して仕事ができるという点では、お互いにメリットあると思うんです。水道局の発注する工事は、安全な水の供給という点からも重要で、また仕事をする事業者にとっては事故のない安全な仕事ができるようにすること、そして次世代の技術者を育成していくという観点から協力していくこと、これできると思うんですけど、どうでしょうか。

土井水道局長:事業者の方の育成ということですが、現在、事故の防止につきましては横浜建設業協会主催の安全研修に私どもの方から講師を派遣したり、また各工事担当課における工事安全大会など、工事事業者の方々と連携した研修を行っております。また、次世代の技術者の育成につきましては、水道管の配管技能講習会や給水工事研修会など、関係機関と協力いたしまして定期的に開催しております。工事事業者の方は、安全な水道水を安定して市民に供給していくための重要なパートナーでありますので、今後も事故防止または技術者育成に向けて連携を図ってまいります。

あらき議員:先ほど、ここに監督員向けの研修一覧というのがありまして、水道局の中でもすばらしい取り組みをしていて、建設業協会とも安全講習会というのを毎年定期的にやられているっていうのもお聞きしました。やはり、双方向で横浜市が職員として安定して仕事をしながら研修できる機会を持っているわけですから、そのノウハウを民間の事業者とも一緒になって研修する機会、今お答えいただいたようにやるのもすばらしいと思うんです。
それから、せっかくですから、これももうちょっといろんなパターンをつくって、民間の方でも技術者を養成したっていう場合については差し上げるフォーマットもまたつくれると思うんです。いろんな目に見えるかたちで、水道局の持っているノウハウを民間の業者の人たちとも一緒に連携するっていうのは、お金をかけずにできることだと思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。

土井水道局長:非常によい提案、ありがとうございます。実は、同じ感謝状をウィコップの先ほどの企業の方、それから東日本大震災の時に一緒に現場支援に行っていただいた民間企業の方にもお渡ししておりまして、非常に喜ばれておりますので、またいろいろ新しいことを考えて、みなさまと一緒にやっていきたいというふうに考えております。

あらき議員:建築の関係では感謝状をよく見に行くんです。水道の方でも、こうやってすばらしいものがありますから、技術のすばらしい水道事業者に対しては感謝状というかたちでいろんなパターン考えられると思いますので、ぜひその点での取り組みをお願いしたいと思います。
市民としては、水道の蛇口をひねると水が出てくるのが当たり前、その水は安全だという感覚になっています。でも、私、この審査をするについて、本当にすばらしい技術者を水道局として育てていらっしゃる、その点では民間であれ公営水道であれ同じ気持ちだと思うんですね。ぜひ、そういう点でも、さらなる技術者の養成、それから安全な水をつくる、そして低廉な水ということで、これからも励んでいただきたいと思います。ありがとうございました。

注1:OJT方式=企業などでの社員の教育・訓練法の一つで、現場で上司や先輩が指導役となり、実際の業務を行なう中で必要な知識や技能を身につけさせていく方式。
注2:ウィコップ=水源エコプロジェクト、W-eco・p。平成21年5月に山梨県、道志村、横浜市の3者による「地球温暖化対策に関する合同研究会」の活動の一環として創設した仕組み。横浜市水道局が山梨県道志村に所有する水源林について、企業や団体との協働により整備を推進する取組み。


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