|
【2006年第1回定例会】 「現年度議案反対討論」 高野明子議員(06.02.09)
私は、日本共産党を代表して第一回定例会に提案された諸議案のうち、15の議案に反対して討論を行います。
家賃値上げを抑止する手立てを欠落された市営住宅条例改正に反対
まず最初に、市第149号議案 横浜市住宅条例の一部改正は、国の公営住宅法施行令の一部改正に伴い、条例改正をするものです。その主な内容は、現に入居している人の住み替えの理由として、地域作業所に通所するために心身の状況から住み替えが適切であること、子どもの成長による世帯構成の変化などの要件が加わったこと、また、単身入居の範囲では、障害者や戦傷病者に精神・知的が加わり、新たにDV被害者の入居も可能となったものです。この点では現状の課題解決に対応したもので一定の改善がされました。
しかし問題は、今回の公営住宅法の改正によって、条例改正が伴わない改悪が行われていることです。その内容は、国の方針そのままで、家賃算定基礎になる利便性係数の段階的引き上げによって家賃を引き上げ、老年者控除の廃止による区分変更で、2006年度からその影響が出始めます。資料をもとに試算をすると、駅に近く固定資産税の高いところでは、5年後にはなんと年間10万6800円の負担増になります。また、今回の改悪は収入区分の認定月額20万円を超え23万8000円以下の、高額所得者にはほど遠いランクにまで、退去の促進を図るために、段階的に家賃を引き上げ、最終的には近傍同種の市場家賃にして、追い出しの効果を狙ったものです。条例改定をするならば、こうした国の冷たい仕打ちを、本市では行わないことを盛り込むべきです。
「住まいは人権」、市営住宅の運営には福祉の視点が大事
市第177号議案は、借り上げ市営住宅栗田谷ヒルズをはじめ、21団地について、所在ごとにすでに指定されている指定管理者を指定するものです。障害者自立支援法や配偶者暴力防止法等で、市営住宅の単身入居として精神・知的障害者、DV被害者もこれからも入居することになります。入居者の状況に応じた個人情報の保護・さまざまなサポートなどが今以上に必要となります。営利を目的にした「株式会社」は、「住まいは人権」といわれる福祉的な視点が必要な、市営住宅の指定管理者としてはふさわしくありません。
市民サービス施設運営に営利目的の「株式会社」や市場原理はそぐわない
市第146号、156号、158号、174号、176号、178号議案は、公園、リサイクル施設、区民文化センター、芸能センター、港湾施設に、営利を目的にした「株式会社」を指定管理者に指定するものです。公募でコスト縮減を競わせて、市民利用施設を市場原理にゆだねるやり方は、市民サービス施設にそぐわないものです。コスト縮減は、人件費の削減となり、結果的に、低賃金の不安定雇用に頼ることになり、市民サービスの低下が懸念されます。
市の役割“福祉の増進”のため、救護施設や障害児施設は直営で
次は、市第144号議案横浜市保護施設条例の一部改正は、救護施設である横浜市天神寮が建替えで民設民営になったために、同寮を保護施設条例から廃止するもので、市第150号議案、横浜市知的障害児通園施設条例の廃止は、施設機能を東部地域療育センターへ移行し、さざんか学園を廃止するものです。問題は、横浜市が救護施設や障害児施設を直接運営することで、市の福祉施策に生かすことができたにもかかわらず、廃止することによりその実態すら把握できなくなることです。なんでも民間に委ねれば良いというものではありません。救護施設や障害児施設は公的施設として存続し、地方自治体の役割である福祉の増進に務めるべきです。
夜間救急センターの運営は患者の命最優先に
次は、市第173号議案、横浜市総合医療センターの指定管理者の指定についてですが、これは桜木町にある夜間急病センターの指定管理者として、社団法人横浜市病院協会を選定したものです。夜間急病センターは25年前に市が医師会の協力を得て開設し、2003年の11月から現在の医師会が参画している「市保健医療財団」が運営し、医師会と病院協会とが協力し合って行われてきました。救急患者のたらいまわしをなくし、市民の命を守ろうとの献身的な心意気を生かすならば、「夜間急病センター」という公的施設は、コスト削減ありきで効率性・効果性を求める前に、患者の命を守るためにも医師や看護師などのスタッフをどのようにしたら確保が可能かに知恵を働かせ、安定的で充実した医療施設の運営にこそ、その目的を最優先にすべきです。
常任委員会の論議でも「人員配置がしっかりできるのか」「医師の質が確保されなければ市民は安心できない」などや、選考委員会に対する「配点に問題があるのではないか」「ほかの委員の意見を聞いて素案の点数を変更したのが11ヶ所もあるのは問題」と今回の選考委員会の公正性や透明性にも疑問の声が出されています。「夜間急病センター」の公募制導入や選考委員会の不透明さが原因で、病院協会と医師会の溝を生じさせたことで、救急医療の後退につながることのないよう、市長の責任で万全の対応を図ることを強く申しあげておきます。
学校施設の運営・管理は教育に責任を持つ学校長の責任で
次は、市第179号議案、横浜市立科学技術高等学校(仮称)整備事業契約の締結については、「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」にもとづき、横浜サイエンスサポート株式会社と94億6065万余円で契約しようとするものです。
PFI手法によることから施設の運営・維持管理業務を横浜サイエンスサポート株式会社が行うことになります。学校施設の運営にかかわって、教育的観点が必要な食堂の委託についてもサイエンスサポート会社の協力会社から選ばれることになっています。問題は、食堂を含む学校施設の管理・運営を、営利の対象とする民間会社に委ねることです。しかも、教育に責任を持つ学校長の施設管理の裁量権が制限されることも重大です。
貴重な緑と生活道路を破壊する高速道路の付け替え道路は必要なし
次は、市第152号議案の、生麦第389号線市道路線の認定についてです。
これは、高速横浜環状道路北線及び、関連街路岸谷生麦線のトンネル工事に伴って生じた、付け替え道路の認定をしようとするものです。全体の事業費は7億円で、事業者である首都高速道路株式会社が全額負担でなく、市負担も1億円にのぼります。
公団の株式会社化など、北線の事業計画や事業費の変更などが生じている中で、今後の事業計画の検討や精査することなく、トンネル工事に着手することは許されません。
合わせて、この地域は鶴見区と神奈川区にまたがり、滝坂から生麦中学、子安台公園と貴重な緑と自然が残されています。これらの破壊も許されません。
地権者の協力も得られているといっていますが、この部分の用地買収は東京ガスの古い社宅で、東京ガスにとっては願ったりかなったりで、今後の北線等の工事に伴っては、周辺の地権者や住民合意が得られていません。また、付け替え道路に接続する狭隘な既存道路をそのままにした状態では、学童や住民の通行安全にも支障をきたすものです。
拙速な北線等のトンネル工事のために、既設の生活道路を破壊する付け替え道路の設置と認定に反対です。
横浜アリーナの株売却ではなく、市民の利用施設にふさわしい運営を
最後に、市第182号議案、一般会計補正予算についてです。
今回の補正予算の一般財源として156億8800万円を見込み、財産収入17億円を計上しています。その内訳は、株式会社横浜アリーナへの本市の出資比率を30.8%から24.4%に引き下げ、保有株1万1千株を売却し、9億2300万円の収入と金沢シンシアが購入した市有地売り払い収入7億7700万円となっています。
そもそも横浜アリーナの建設では、市民が利用する施設として職員を派遣し、市民利用についても、十分この株式会社横浜アリーナと話し合ってゆくとなっていました。しかし、大きなイベントは行われていますが、市民の文化・スポーツなどのニーズに応えるものには程遠く、市民が利用しているのは成人式ぐらいです。土地や建物の無償貸与や固定資産税・都市計画税も免除されている中で、過去3ヵ年の収支状況は前期繰越利益も1億700万円余となっています。このような利益こそ市民に還元し、市民が低料金で利用できる改善こそ行うべきです。
産廃処理業者いいなりの施設建設は認められない
金沢シンシアが購入した市有地売り払い収入7億7700万円余の補正計上についてですが、この土地は、産業廃棄物の自区域内処理の推進及びダイオキシン類対策など環境保全施策の推進を目的に、一般競争入札で決定した廃棄物処理等の事業を行う民間事業者・金沢シンシアに売却されたものです。
わが党は、産業廃棄物処理に自区域内処理原則を適用することは、広域処理を原則とする産業廃棄物法の不備を補うものと評価をし、土地の処分については賛成しました。しかし、この間の経緯で自区域内処理について重大ないつわりが明らかになり、そのことについて市長に質しました。
事業者が示した「事業計画」案では、産業廃棄物の収集対象地域は、横浜市及び近隣自治体とし、外部搬入を明言しています。他の自治体で発生した産業廃棄物を処理することは、自区域内処理の原則に反することは明白です。しかし、市長は、「産業廃棄物は廃棄物処理法により広域処理が認められているもの」と外部搬入を容認、しかも、「事業概要は市有地売却時に示した土地利用条件に合致している」と強弁され、事前協議については「申請次第進める」と、まったく事業者いいなりの態度に終始しています。
金沢産業団地から発生する廃棄物にとどまらないで、はどめなき外部搬入によって、日量372トンの焼却炉という全国の中でも飛びぬけた巨大施設となり、環境汚染による影響は甚大です。
外部搬入が前提であるならば、当初から市民・議会にもそのように説明すべきでした。事実を隠し、自区域内処理という甘言を弄して、住民の反発をよび、同意のえられない大型の焼却施設の建設をすすめやすくしようとする意図が最初からあったものとしかと思えません。市民を欺くやり方に憤りを覚えると同時に、わが団としてもこうした意図が背後にあることを見抜くことができず、結果として、土地売却に賛同したことは反省しなければなりません。
以上をもって、私の反対討論を終わります。
|