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Gikai 議会での質問

【2006年度第2回定例会】「『市第3号議案 横浜市立保育園廃止処分取り消し請求事件に係る控訴の提起』に対する質疑」中島文雄議員

(実際には、質問と答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように、対応する質疑と答弁を交互に記載しました。)

 

中島議員:私は、日本共産党を代表して、本定例会に上程された市第3号議案「横浜市立保育園廃止処分取消請求事件に係る控訴の提起」に関わって、市長に質問します。


  本議案は、市立保育園の民営化手続きに違法性を認定し、市に損害賠償の支払いを命じた横浜地裁の判決を不服として、東京高裁に控訴の提起をしようとするものです。


  この事件は、04年4月に民営化した、柿木台・鶴ヶ峰・岸根・丸山台の4園の保護者ら68人が横浜市を相手取り、民営化の取り消しと損害賠償を求めて訴えていたもので、5月22日に横浜地裁は、違法を認め、1世帯10万円の損害賠償の支払いを命じました。保育園民営化の過程で、自治体の手続きの違法性について明確に認定されたのは、全国で初めての判例です。同時に、全く異常とも言える、スピードを前面に、「行革」を進めてきた「中田改革」に対して、司法の場においても痛烈な批判がされたものと受け止めるべきです。

 

「民営化が早急すぎる」との判決を真摯に受け止める立場なのか


  まず、「裁量権の範囲の逸脱・濫用で違法」と断罪された、横浜地裁の判決に対する市長の姿勢についてです。判決後の記者会見で、「民営化が早急すぎる」との指摘に、市長は「勉強させていただく機会と受け止める」と報じられていますが、「勉強させていただく」とは、判決を真摯に受け止める立場なのか、そうでないのか、明確な答弁を求めます。

中田市長:市第3号議案についてご質問いただきました。
  まず、勉強させていただく機会と受け止めるとの私の発言についてでありますけれども、もとより判決を真摯に受け止めるということは、これは当然のことであります。ただし、その内容については承服をできるものではありませんので、十分に検討しまして、また勉強していく必要があるというふうに考えております。

 

保護者との懇談を拒否し続けた中田市長


中島議員:一方、この会見で、「1年前から提案していたが“絶対反対”の物理的抵抗に遭い、十分な話し合いに入れなかった。議論ができれば、時期も含め、バリエーションができたはずだ。一部の人が多くの人を誤解させた」とする市長の発言が報じられています。とんでもないことです。保育所の民営化という重大な問題、しかも突然の提案だけでなく、「決定事項」として、強引に押し付けるやり方への疑問や不安から、保護者側の皆さんは再三にわたって市長に懇談を要請されましたが、保護者との懇談を拒否しつづけたのは市長です。それでも、「話し合いが妨げられた」と保護者に悪罵を投げつけるつもりですか。市長の人間性や品格を疑われるこのような「言葉」を撤回し、市の姿勢や「子ども第一」の保育政策の改善を求めて、やむにやまれず裁判に訴えた保護者に謝罪をすべきです。合わせて答弁を求めます。

中田市長:反対の立場をする保護者に話し合いを妨げられたとの発言についてでありますけれども、平成15年4月から9月までの保護者への説明会全19回のうち、7月および8月の8回は強く反対する保護者に参加をしていただくことはできず、その結果、保護者との話し合いの機会が少なくなったことは事実であります。本市としては、保護者の方々に対して誠意をもって説明をしてきたと認識を致しております。

 

「民営化ありき」という市長の姿勢こそ問題


中島議員:また、市長は、「民営化の実施を延期している他都市のように、話し合いができないのであれば時間をかけるべきだったのでは」との質問に、「日程が延びるのを良しとするのはよくない」、「期日、方法をブランクにした説明はありえない」などと反論したようですが、この「民営化ありき」という市長の姿勢にこそ、今回の判決で「裁量権の行使に逸脱、濫用があり違法」と断罪された背景があります。児童福祉法が保育所設置等について自治体に課している義務、保護者と児童に対して「保育所において保育を受ける権利」「保育所の選択権」「手続上の権利」など、「法」の定めに意を介さない言動は、自治体の長としての資質が著しく欠けると断定せざるを得ませんが、見解を伺います。

中田市長:法の意を解さない民営化ありきの発言とのことでありますけれども、本市には、先生も良くご承知だと思いますが、保育にかける子どもを保育する責務があると、そのことは当然のことであります。そして、これも先生よくご承知だと思いますが、平成15年当時約1100人以上の待機児童、すなわち希望するけれども保育を受けられない、そういった世帯があるわけでありまして、そういう意味で横浜市役所は子育て支援事業本部を設けて保育所を大幅に増設をしながら待機児童の解消に努めてきたわけであります。また、保育時間が短い市立保育所では利用したくても利用できない、そうした方々が多数いらっしゃいました。民間移管によって保育時間を延長することで利用機会を拡大し、今まで利用できなかった世帯が利用できるようにする、そのことはそれこそ児童福祉法の主旨に十分に沿っているものと考えております。

 

中島議員:判決後も「拙速ではなかった。十分説明して移管を進めてきた」と主張していますが、民営化手続の早急さや経緯を見れば、極めて身勝手な言い分としか言いようがありません。2003年3月に児童福祉審議会の意見具申を受け、4月には市立保育園127園を対象に「毎年4園程度の民間移管」の方針を決定し、即座に今回対象となった4園の民営化を発表。事前の案内もなく、廃止・民営化の対象となった各保育園の保護者や保育士にとっては「寝耳に水」で、不満・疑問がでて当然でした。そこから1年足らず、「説明はするが合意を求めない」強引な手法で、保護者の理解が得られないまま、保育園の廃止・民営化に踏み切りました。この異常ともいえる経緯からしても、「拙速ではなかった」「十分説明した」と、市長は強弁するつもりですか。改めて答弁を求めます。

中田市長:民営化の経緯と説明についてでありますが、16年度の民間移管については全19回にわたる保護者説明会の開催や引継ぎ、共同保育の実施、移管後のフォロー対策の実施など、保護者への説明や不安解消に努めてきたところであり、説明会に保護者の方がご参加をいただけなかったということで説明が不十分で、拙速というふうに言われてしまっては、民間移管はできなくなると考えております。

 

審議会の意見具申すら踏み躙る


中島議員:市長は、度々「児童福祉審議会の意見具申の具体化が市役所の責務」と主張し、このことを「錦の御旗」としてきましたが、この「意見具申」すら踏み躙ったとの認識はありませんか。「意見具申」の中で、保育園を民営化する場合の留意点として「子ども達への影響について十分な配慮」「入所児童の保護者の意見・要望を聴き、信頼関係の下に進めること」「行政が果たしていくべき役割・責任を明確にして保護者の不安を払拭すること」を求めました。また、「口頭補足説明」として「公立保育所は保育水準の指標として役割をはたしてきた」「その役割は大きい。民営化を議論する前に既存の公立の改善を議論すべき」の2項目の報告がされていました。市長は、これらの意見をことごとく蹂躙し、「民営化ありき」のために、自分にとって都合のいい部分だけを利用したと言われても仕方がありません。同時にこのようなやり方は、児童福祉審議会の人たちをも足蹴にしたのと同じです。市長は、これらの指摘にどう答えるのか伺います。

中田市長:児童福祉審議会の意見具申についてでありますが、児童福祉審議会の意見具申で示された留意事項につきましては、横浜市としましても意見具申の趣旨に沿って、信頼関係の構築に向けて保護者に意見をお聞きする、そうした機会をたびたび設けるなど、努力を重ねてまいりました。また、公立保育所の改善を図るとの補足説明については、その認識のもとにまさに改善を進めているところでございます。

 

判決で「多様な保育ニーズに応えることと民営化とは必然の関係はない」


中島議員:市長は、万度、「多様な保育ニーズに応えるため」と説明してきました。この言い分は、判決で「多様な保育ニーズに応えることと民営化とは必然の関係はない」と、きっぱりと退けられました。当然です。

一方で、「コスト削減が背景にあるのでは」との指摘には、「公立の保育士の平均年齢が高いのに対し民間では低い。その違いから人件費が縮減できる」と説明をしています。裏を返せば「人件費を抑える」ために、やむなく「ベテランの保育士より若い保育士を」という民間保育園が置かれている状況に対して、当該の保護者等が不安や疑問を指摘するのはごく当然であります。しかも民間保育園に対して「法外扶助費見直し」の名目で、今年度、1園当たり平均500万円、来年度以降約1,000万円もの助成金がカットされたら、さらに保育士の人件費を抑制するしか園の運営は立ち行かないと、民間保育園からは悲鳴が寄せられています。大変な立場に追い込んでいる民間保育園に、公立保育園の民営化を押し付ける、こんなひどいやり方で今後民営化を進めようとしても、保護者・利用者の納得と理解が得られるとお思いですか。見解を求めます。

中田市長:民営化による運営コストの削減効果などについてでありますけれども、民間法人の中には大変優れた保育サービスを提供する法人が数多くございます。法人の選定にあたっては、保育の質の高い優秀な法人を選定しよう、こういう趣旨で横浜市内はもとより全国から法人を募っております。また、法人には一定の経験年数を有する保育士の確保を条件とする、こういうふうにいたしまして、全体としてベテランと若手をバランスよく配置するといったことなど、保育の質が高まるよう努めているところであります。民間移管によって効率化を図り、全体として保育の質を向上させる、このことを両立をさせていくということはきわめて横浜市にとって重要なことであると考えております。

 

「反対は一部の親が『ため』にする議論だ」などと暴言


中島議員:つぎは、昨年12月17日付・週刊東洋経済・特集「公立保育園の民営化」における、市長のインタビュー記事についてです。市長の発言は、「民営化は細心の注意を払いながら進めてきた」「非常にうまくいっている」「子どもたちにストレスなど存在しない」「反対は一部の親が『ため』にする議論だ」などと、目を疑いたくなるような内容です。そこで聞きますが、市長は、当該の保育園等に足を運び、保護者や子どもたち、園の関係者などに聞き取りをし、調査をした上での判断ですか。また「反対する一部の親」とは、保護者の皆さんを指しているのだと思いますが、「ため」にするものかどうか、直接聞かれましたか。明確な答弁と合わせ、発言の真意を求めます。

中田市長:直接子どもや保護者の意見を聞いたうえでの発言なのかということでありますが、民間移管後の保育所の状況に関しましては、4月当初は若干のとまどいはみられたものの、時間の経過とともに安定した保育が実施をされていること、また新たなサービスとして行った延長保育や主食の提供も大変多くの保護者の方々に利用されていまして、喜ばれていることについても、私は随時報告を受けております。その上で私として見解を申し上げております。

 

中島議員:このインタビュー記事で、市長は、「公立保育園は、公務員の、公務員による、公務員のための保育園になってしまっている」と、また判決後の26日の記者会見では、「公立に預けられるのは、近くの商店主や公務員ぐらい。ある園では保護者の8割が公務員」などと発言し、会見後こども青少年局からあわてて「公務員の割合が最も高い園は46%、2園が31%で、市立全体の118園の平均は13.4%」と訂正される失態が報じられました。公立保育園つぶしには手段を選ばない、これこそ市長の「ため」にする議論ではありませんか。発言の真意はどうなのか、また単なる「勘違い」だとしたらこの場で釈明をされるべきです。答弁を求めます。

中田市長:雑誌のインタビューおよび記者会見での発言についてでありますけれども、市立保育所の保育時間は午後6時30分、長くても7時まででありまして、民間企業にお勤めの方が保育所に迎えにくるということについては困難な場合が多く、実際に公務員の利用割合が高いということを言ったものであります。注釈をつけますけれども、現在のところ入手できるデータにおいては最大5割程度であるという状況でありますので、これはすでに記者会見の発言についてはその後訂正をいたしておりますけれども、いずれにしましても公務員の割合がそれこそ先生おっしゃる異常といえるほど高い、このことは事実であります。先生がさきほど異常と言った言葉に対して私は異常と言っているんです。

 

中島議員:最後に、市長に対し、本「控訴の提起」議案を取り下げ、地裁判決を真摯に受け止めて、高裁への控訴を取り止めるべきことを強く求めます。今、何よりも大事なのは、04年4月に実施した民営化の手法等が、市の裁量権行使に逸脱、濫用があり、違法だったことを認め、今後の教訓として生かすことこそ、保育行政だけでなく市政運営に対する、市民の信頼を得る道であります。そして、今後の保育所民営化計画については一時凍結して、判決の内容を十分検証し、市民並びに議会での議論を尽くすことを提案いたします。合わせて、市長の見解を伺って、私の質問を終わります。

中田市長:控訴しないことおよび民営化を当面凍結することについてでありますが、市立保育所の民営移管は保育サービスの充実と効率的な運営を図るために進めているものでありまして、市会の決定を経て決定した改正条例を違法とする、この判決についてはとうてい承服することはできません。また、これまで繰り返し答弁をいたしてきましたように、民間移管を実施するということについては意義のあることでありまして、今後とも進めてまいります。


  以上、答弁を申し上げます。


第2質問 民営化と保育ニーズの関係に必然性はない


中島議員:第2質問します。
  市長が話し合いを拒否した、そういうことに対して市長が保護者のみなさんの話し合いの要請を拒否した、このことについての態度が答弁もれでありますので、答弁いただきたい。


  保育ニーズについてですが、民営化には必然性はない、民営化と保育ニーズの関係に必然性はないということは口頭補足でもされていたわけですから、このことについて明確な答弁を求めたいと思います。


  意見具申を尊重したと言ってますけれども、この民営化において、先ほどの関係がありますけれども、今の公立保育園でもできる、これを先にやってから民営化の議論をやるべきだという意見具申について答えていませんでした。


  民営保育園の法外扶助費をカットして、その上で民営化をする、ここに保護者や利用者の不満がでるのは当然だ、このことについてどうお考えますかといったことについても、答えていませんでした。


  それと、いろいろ週刊誌等でインタビューやって答弁していた中で、直接園に市長が足を運んでこういう判断をし、こう述べたのか、直接足を運んだのかどうかについても答弁もれでした。


  それと、80%が公務員が公立保育園を利用しているということですが、このことについて新聞報道ではこども青少年局からの訂正はありましたが、市長からの釈明がされていません。この場で釈明願いたい、こういう質問でした。以上です。

中田市長:お答えを申し上げます。基本的に答弁をいたしておりますので、後ほど議事録をまたごらん頂きたいと思いますが、あらためて今のご質問の趣旨、今ささっとメモをとった範囲の中でお答えをいたすようにいたしたいと思います。


  まず1番目のご質問と5番目のご質問、すなわち直接行ったのかあるいは話したのかという趣旨のご質問ですが、これはすべての案件に市長が全部出て行くわけではありません。ましてや職員との話し合いが拒否をされて市長が出て行くということが、そんなことがあり得るんでしょうか。そのことをよくお考えいただきたいと思います。


  そして、公立保育所の改善について審議会から出てきた内容について図るべきではないかということなどについてでありますけれども、これはまさに私達は今進めていると先ほども答弁いたしました。そして、より踏み込んでこのことについて申し上げれば、民間移管をする、こういうことをもってはじめて横浜市の公立保育園についてもある意味改善の兆しが見られているのではないでしょうか。それは、先生方一番良くご存知なんではないでしょうか。先生方が一番その権利を擁護されておられるのではないでしょうか。そういう意味においては、今この件についても同時に平行して進めているということをご答弁を申し上げます。


  そして、もう一つご質問いただいた法外扶助費等についての保育環境についての件でありますけれども、それはさきほども申し上げましたように、横浜市には、今この瞬間にも保育を希望しているけれども保育を受けられない、そうした世帯のみなさんが多数おられます。一生懸命この3年4年という間で保育所整備を続けてきましたけれども、それでもまだ今から一ヶ月前のデータで300人以上の保育を受けられない子どもたちがいます。私達行政は、保育を受けている親御さんだけではなく、保育を受けられないそうした子ども達、そうした親御さんたちに対してきちっとサービスを提供していけるようにするということをやっていかなければなりません。まさにそうした中で民営化の議論もあったでしょうし、公立保育園の改善もありますし、また限りある財政をどうやって有効に資源配分していくのかということを考えてやっているのでありまして、そういう意味においては十分にそこらへんもご勘案の上で、今後も理解をいただきたいというふうに思っております。


  以上、答弁申し上げます。