|
【2006年度第2回定例会】「反対討論」荒木由美子議員
私は日本共産党を代表して、今議会に上程された市第6号議案ほか11件の議案と請願1件の不採択に反対し、討論いたします。
長期ビジョンの柱に「平和」「福祉」「人権」の明文化を
まず、市第6号議案 横浜市基本構想の策定についてです。
第1は、策定方法に関わってです。問題なのは、同審議会が策定するにあたって、市長があらかじめレールを敷いていることです。審議に先立って市長は「長期ビジョンの策定の考え方」を示しました。その中で、「民の力が存分に発揮される都市の実現」や協働を推進する制度や環境の整備を示し、その考えに立って「市民は長期ビジョンの策定に参画する」としていることです。これは、策定に当たっては、現在市長がすすめている路線を前提にしていることではありませんか。これでは自由で公平公正な議論は成り立ちません。
さらに、小泉構造改革推進の役割を果たしている経済財政諮問会議が作成した「日本21世紀ビジョン」を審議のベースにしていることです。結局市長が策定したかったのは、この国の経済財政諮問会議の手法そのものを取り入れた横浜市版ではありませんか。策定段階から市民と課題を共有し、20年後の横浜にふさわしいビジョンを市民全体でつくったとはとてもいえるものではありません。
第2は、横浜の都市像を支える5つの柱の考え方です。
先日のわが党の議案関連質問で、都市像を支える5つの柱に「平和」を掲げるべきという主張に対し、市長は「5つの柱の大前提である基本構想全体の内容にかかわる冒頭の横浜の都市像において、『横浜は平和や人権の尊重を基調とする』という視点を盛り込んでいる」と答弁されました。しかし、5つの柱には「平和」の文字がまったくありません。しかも5本の柱のトップは「世界の知が集まる交流拠点都市」、つまり国際競争力を高めることを最大の目的としています。市長はこの間の答弁で、5本の柱は並列的に並べたものとされてきました。しかし、その中でも何をトップに掲げるかは、市長の優先課題に対する意識を表すものです。
これまでの基本構想と比べると、その違いは歴然としています。トップには「総合的機能をもつ国際平和都市」とあり、「横浜は、さらにその国際性を生かし、文化的に、経済的に、その他あらゆる面で、より広くより深く日本と世界をつなぐ役割を果たすとともに、積極的に世界の平和に貢献します」と、平和に取り組む姿勢をはっきりと謳っていました。この点でも、市長の平和に対する考え方は後退しています。市長が述べられているように「都市像に平和や人権の尊重を基調する」ならば、たとえば米軍基地をなくすために全力で取り組むなど具体的にその実現の方向が見える言葉を柱に入れるべきです。
第3は、福祉や人権の尊重について軽視していることです。
5つの柱になぜ福祉をすえなかったのか、という問いに対し、市長は「5つの柱は横浜がめざす都市像の実現をささえる柱として描いたものであり、政策項目を挙げるものではない」と先の本会議で答弁され、先日の特別委員会では「地方自治法上の住民の福祉を増進するという視点は、基本構想全体がすでに体現をしているものであって、都市像を支える柱の一つとして位置づけられるべきものではない」と強弁されました。
本会議では、市長ご自身が「福祉」は政策項目と矮小化して捉えていたではありませんか。特別委員会での、わが党の再度の質問にかかわって、地方自治法を読み返し、市長は初めて地方自治体における「福祉」の概念を認識されたといわざるを得ません。
百歩譲って、市長がおっしゃるように「地方自治法上の住民の福祉を増進する」という考えをもとに基本構想を策定したのであれば、その文言を明記してこそ、市長の考える都市像が誰から見ても鮮明になり、「福祉」という文言を柱にすえてもなんら矛盾は生じません。
第4は、都市間競争をさらに激化させようとしていることです。
5つの柱の2番目に「新たな活躍の場を開拓する活力創造都市」とあり、「高度な技術や人の集積による都市の創造力と、新しい就業の場の創出により、横浜は人も企業も躍動する活力あふれる都市を目指す」としています。これは、横浜を六本木ヒルズに象徴されるようなミニ東京として描き、新たな大企業を支援する方向に向かおうとするものであり、問題外です。
第5は、市民を行政の肩代わりに使おうとしていることです。
基本構想実現のための基本姿勢として貫かれているのは、「市民力の発揮」すなわち「新しい公共の創造」とあり、行政の役割として「自立と分権の地方自治をめざして」とあります。更に、「地方分権の流れのなかで、特色ある『横浜らしさ』を発信し、新たな魅力と活力を創造するためには、市民との協働による『自治』と『経営』をすすめる」とあります。これは市役所という公的機関での仕事をできるかぎり「民間」に安く提供するとともに、「市民との協働」という言葉を巧みに使いながら、自治会・町内会でできることはすべて自治会・町内会でやっていただくという手法で、納得いきません。
また、常に行政と協力・協働の関係にある自治会・町内会への地域振興協力費を今年度から削り、その協力費を交付する際に、自治会・町内会ごとにその事業内容や組織加入率などの報告を義務づけ、その内容について区が査定をするという、つまりは競争の原理を持ち込んだという手法に対し、自治会・町内会長からは怒りの声が寄せられています。市民自治を高めるのであれば、競争原理を持ち込む発想そのものこそやめるべきです。
今、市長がなすべきことは、行政運営に関わるすべての責任を負う公的機関である市役所が、そこで働く職員の英知と努力で積み上げてきたノウハウを、次の世代にも正確に伝授し、さらに発展できるようにすることです。市民との協働という言葉で地方自治体がなすべき責任ある仕事を、安上がりにするために外部に委託するなどもってのほかです。
市民税税率アップに伴う市民負担増に対応策を示せ
次に、市第9号議案 横浜市市税条例の一部改正についてです。
これは地方税法の一部改正に伴って個人市民税の所得割の税率を、これまでの3段階から一律6%にするというもので、大部分の市民は増税となります。その分、所得税が減るため総額は変わりませんが、市民税が上がることによって、それを算定基礎とする国民健康保険料に加え、保育料・障害厚生医療・私学助成費などが負担増になります。にもかかわらず、軽減のためになんら対応策も示さず、そのまま国の方針を受け入れることは、認めることはできません。
障害児施設の利用者負担増は認められない
次に、市第11号議案 横浜市なしの木学園条例の一部改正、市第12号議案 横浜市地域療育センター条例の一部改正 市第14号議案 横浜市総合リハビリテーションセンター条例の一部改正についてです。
これらは障害者自立支援法の施行に伴い、児童福祉法が改定することに伴う条例改正です。障害児施設は当面児童福祉法の施設となりますが、現行の措置制度から保護者との利用契約制度に変わることになります。障害のある子どもの成長・発達を保障する児童福祉法のほとんどの内容が、「自立と参加」を謳い文句にして、原則1割の応益負担を前面に掲げた障害者自立支援法に移行することになります。
児童のデイサービスを例にすれば、これまでは成人とは異なる上限を設定した応能負担が定められていました。障害者自立支援法ではそうした配慮はされておらず、認めることはできません。
脳血管医療センターの介護老人保健施設は直営を守れ
次に、病第1号議案 横浜市病院事業の経営する病院条例の一部改正についてです。
これは、脳血管医療センターに併設する介護老人保健施設に指定管理者制度を導入するものです。脳血管医療センターが1999年に開設されて以来、急性期から回復期に至るまでの一貫した治療に取り組む脳血管疾患専門病院として、市民の強い期待を担ってきたことはいうまでもありません。この病院に介護老人保健施設を併設したのは、開設当時、まさに介護保険制度がスタートするということもあり、全市的にも不足している介護老人保健施設を市が運営し、患者さんの立場にたったチーム医療を行うことにより、在宅復帰や機能回復を高めようということでした。
現在でも、急性期の治療が終わったあと、リハビリを中心とした訓練をしながら、3ヶ月ごとに病院を転々としなければならない患者さんやその家族からの入所希望が多いと聞いています。この介護老人保健施設は、市が唯一直営で運営していることからしても、全市のパイロットランプとしての役割を発揮すべきです。また、「民間の方が効率的」という理由で指定管理者制度に切り替えることによって、これまで市が積み重ねてきた老人保健施設と一体で行えるチーム医療の見直しが迫られることになり、そのノウハウも断絶することになります。地方公営企業法の全部適用を取り入れ、経営改善を進めて2年目に入り、自らの経営改革に取り組んでいる矢先に「民営化」では、職員のやる気を奪い、その責任すら全うさせることも認めないという市長の考えこそ見直しすべきです。
「コスト削減」優先の小規模小学校統廃合は認められない
次に、市第20号議案 横浜市立学校条例の一部改正についてです。
教育委員会は、小規模校統合の主な理由を「11学級以下では、クラス替えのできない学年が生じ、児童の人間関係などに問題がおきた場合、解決が困難になりがちである」としています。しかし、クラスのなかで人間関係の解決に取り組むことが教育であって、クラス替えでは問題の解決とはいえません。小規模校での、児童一人ひとりに目が行き届くことや、異学年で取り組む教育の効果にもっと注目すべきです。「コスト削減」優先の統合は問題です。また、議案の該当校の検討委員会が、地域住民の傍聴を認めないやり方等で進められたことも納得いきません。
営利企業に公共施設は任せられない
次に、市第36議案 能楽堂の指定管理者の指定、市第37号議案 横浜みなとみらいホールの指定管理者の指定、市第40号議案 墓地の指定管理者の指定、市第41号議案 公園の指定管理者の指定についてです。公的施設の運営と市民サービスの充実は両立しません。公共の福祉の向上という点からも、民間営利企業に任せること自体問題です。
生活保護世帯への特別乗車券の復活を
最後に、請願第2号議案「生活保護世帯への特別乗車券交付事業の復活」についてです。この間、市長は国基準以上に上乗せしている事業についてはすべてを見直しの対象とし、特に生活保護世帯には、夏冬の慰問金をはじめ上下水道料金の減免制度をやめるなど、ことごとく手当てや助成を切り捨ててきました。
今回の請願項目の特別乗車券交付事業の復活を求めるというのは、まさに切実な要望ですが、市は「生活保護費の移送費等で対応できる」としています。移送費として認められているのは、生活扶助では冠婚葬祭や施設利用等の移動費に限られ、医療扶助では入通院などに関して認められています。しかし、これらの制度は、交通費を一旦自己負担した後月単位で区役所へ申告し、認められれば返ってくるというものです。一方、これまでの特別乗車券は世帯に1枚交付されていたもので、通院をはじめ買い物や友人宅など日常生活で移動する際に、大変有効だったものです。それと比較しても、市が主張する「生活保護費の移送費等で対応できる」というものとは、全く意味が違います。市がこの制度を廃止したということで、今でも少ない保護費でただでさえぎりぎりの生活をしている保護世帯の実態を考えず、さらに追い詰めるやり方です。10月からの復活を直ちに求め、請願を不採択にすることは認められません。
以上で私の討論を終わります。
|