申し入れ等
2019年1月24日

寿町簡易宿泊所の火災死亡事故を繰り返さないための対策を求めます

2019年1月24日

横浜市長 林文子様                               

日本共産党横浜市会議員団

団長 あらき由美子

1月4日早朝、横浜市中区寿町4丁目の10階建て簡易宿泊所「扇荘別館」の5階からの出火で、60代男性と80代女性が死亡し、8名(重症1名、中等症5名、軽症2名)が負傷しました。亡くなった60代男性は、生活保護利用者で、要介護度が高い方と聞いています。哀悼の意を表します。今回の火災ではエレベーターが停止、自力では避難できない高齢者がベランダや屋上で救出を待つ事態も生じています。

今回の悲惨な事故から浮き彫りとなったことはなんでしょうか。

一つは簡宿が生活保護を利用する介護が必要な高齢者の居住施設・入所施設となっていることです。しかも、それを市が認知していることです。寿地区では老朽化した木造建築の建て替えなどで、近年はエレベーターのある鉄筋コンクリート造りで6階から10階建てが多く、車いすやベッド持ち込みができるフローリングなどバリアフリー対応ではありますが、3畳しかない個室が基本で、要介護状態の高齢者が居住しながら入浴設備がなく代替するコインシャワーもすべてにあるわけではありません。介護度の高い方の居住施設として、人の住まいとしてのあり方が問われています。また個室にはキッチンはなく、共同炊事場も流し、ガスコンロ以外の調理器具は備わっていません。自炊が容易でなく、多くが弁当、総菜、インスタント食品の孤食という食生活を余儀なくされています。

港湾や土木建築などの日雇い労働者を対象に営業していた簡易宿泊所事業者は、労働市場がなくなると、しだいに安定収入確保のために生保利用者受け入れを推進したことで、他地区から高齢者が流入しました。老朽アパート立ち退きや、入院日数短縮化による退院を迫られ行き場を失った高齢者が、公的な受け入れ施設の不備のために、保証人や敷金不要の簡易宿泊所を住居として設定せざるを得ない現状があります。中区以外の区で生保を利用しながら、寿地区の簡易宿泊所を住居としている方も少なくなく、各区役所がかかわっています。

もう一つは行政が福祉施設と同等の機能を期待しながら、その管理体制と設備基準は旅館業法でよしとしていることです。今回の建物自体は、旅館業法、消防法の設備基準は満たしていたと聞いていますが、亡くなった60代男性は介護度の高い方ときいており、自力避難ができず逃げ遅れた可能性があります。かりに数十人が入所する老人ホームなら、スプリンクーラーが設置されます。複数の職員体制による24時間対応となります。当然のこととして避難訓練も繰り返し行われます。今回の火災では、管理人が配置されていましたが、一人では高齢で要介護や障害者が多く占める140人もの入居者の避難誘導には限界があり、既述のような事態を招来しています。スプリンクーラーも未設置です。

住民の安全な生活を確保することは行政の責任です。今回犠牲となられた方は、介護度が高く、火災や地震などの災害時に自力避難が困難であり、本来であれば、高齢者施設への入居が必要である方だと察します。必要な整備に責任を持たず、中区寿地区の簡易宿泊所を住居として安易に活用している実態が見えます。福祉行政のあり方として適切な対応とは云えません。健康福祉局、消防局、建築局、区役所など縦割り行政を超えて、この認識を共有し、住民や関係者の合意と納得のもと速やかに次の対策を講じられるよう要望します。

1、要介護単身高齢者が中区寿地区の簡易宿泊所を住居としている実態について、現状を固定することなく、人の住まいにふさわしい対策をとり、犠牲を繰り返さないこと。

以上


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