政策/見解 申し入れ等
2021年8月3日

旧上瀬谷通信施設地区土地区画整理事業 環境影響評価準備書についての日本共産党の見解と意見

2021年8月3日

建築局長     鈴木 和宏 様
都市整備局長   小池 政則 様
環境創造局長   遠藤 賢也 様

日本共産党横浜市会議員団
団長 荒木由美子

旧上瀬谷通信施設地区土地区画整理事業 環境影響評価準備書についての日本共産党の見解と意見

旧米軍上瀬谷通信施設跡地は首都圏に残された貴重な自然豊かで広大な空地です。日本共産党はこれまでも、同跡地の活用に関しては、横浜市が、新たな時代要請である環境への積極的な取り組みを進めるという、2006年6月に策定した「横浜から始める首都圏の環境再生」を全体テーマとする「米軍施設返還跡地利用指針」に基づくべきと提案してきました。市民の安全・安心を最優先とし、動植物などの生態系等や自然環境を維持することを基調とすることが何より重要です。

旧上瀬谷通信施設地区土地区画整理事業 環境影響評価準備書、及び(仮称)旧上瀬谷通信施設公園整備事業 環境影響評価方法書が取りまとめられ、2021年6月25日から2021年8月10日までに市民意見を提出できるとしています。そこで、土地区画整理事業環境影響評価準備書に対する党議員団としての意見を提出します。まず準備書の主な問題点についてです。

示された準備書の問題点の第一は、市民意見に真摯に向き合っていないことです。

市民意見は、164通延べ226件出されておりその大半は、年間1500万人を集めるテーマパークを核とする基本計画が、上瀬谷跡地に残された自然豊かな環境を破壊するものである事を指摘し、「豊かな自然を残して」と基本計画の見直しを求めています。それに対する見解は「地権者で構成するまちづくり協議会の意思決定」であり、横浜市の「郊外部のまちづくりの考え方」に一致するものとして市民意見を受け入れる姿勢はありません。しかし、テーマパーク構想そのものが、世界的パンデミックであるコロナ禍以前のものであり、しかも提唱者である相鉄ホールディングス(株)自身がその構想から撤退しているのです。これらの状況を一顧だにせず突き進むありかたが市民の信頼を得る事ができないのは明らかです。

示された準備書の問題点の第二は知事意見をないがしろにしていることです。
土地区画整理事業にあたっては、環境影響評価方法書に対して、知事意見が述べられています。意見では、新交通システム(上瀬谷ライン)整備事業、公園整備事業の2つの関連事業の実施による環境影響を適切に把握した上で、環境影響評価項目の選定、調査等の手法及び環境保全措置(事後調査を含む)の検討を行うこと、地域住民等に対して分かりやすく説明することを求めています。また、土壌汚染が判明した事態に対しては、本事業の実施による汚染の拡散を懸念しています。

新交通システムの整備との関連を外すことができないにもかかわらず、準備書には「準備書提出時点で事業計画の詳細が明らかにならなかったため、関連事業の環境影響評価手続きの中で、関連事業の環境影響に本事業の環境影響も含めて、複合的影響を明らかにしていく旨について、関連事業の事業者と調整しています」としているだけです。

土壌汚染対策についても準備書は知事意見を反映したものとは言えません。防衛省が実施した土壌検査により、国有地56か所、民有地20か所で基準を超える鉛等が検出されましたが、この検査は、10m×10mの区画中の1か所しか検査していないもので、まずこれでは、汚染の実態がつかめたとはいえません。土壌汚染対策法の本来の趣旨に基づいて市民の安心・安全を守るために汚染土壌の「掘削除去」を行うことが国と本市の責務だと考えますが、準備書では、掘削除去だけではなく区域によっては、舗装・盛土・区域内土壌入れ替えなどの手法を示しています。これでは到底市民の安全安心につながる土壌汚染対策とは言えません。

さらに知事は、事業実施区域の大規模な改変により、都市部に残された広大な草地環境の喪失が見込まれるとしています。知事が求める動物・植物・生態系の環境保全措置に対して、準備書では実施可能な範囲でできるだけ草地環境の保全、創出に努めるとしており、「実施可能な範囲」としていることは事業優先そのものです。環境影響の代償措置についても検討し、生態系に対する影響を、できる限り低減できるようにしますとしていますが、一方で、工事の実施により現地を特徴づける水田を核とした多種多様な動植物について、「生息環境への影響がある」または「生息環境への影響が大きい」との予測をしています。

その実態は専門家等のヒアリング結果に明らかです。具体的には鳥類において、オオタカ、フクロウ、ハイタカについて、「重要な種の保護の観点から、非表示としております」としていますが、「今回の土地利用計画で直接的な生息に関して特に影響が深刻なのが、フクロウとオオタカと感じている」とあるように、本当にいなくなってしまう危険性が大であることを憂慮されています。昆虫類においては、「その場所を改変するのであれば、重要な種は全滅することを認識してほしい。」との厳しい指摘があります。さらにクツワムシについて「かつては普通種であったが、相模川以東の産地がほとんどないことから、生息環境はなるべく現状に手を加えない方向で維持して欲しい」と述べておられます。また、魚類について「現在の計画において公益的施設用地に水辺環境を創出しているが、これは代償措置とはいえない」と断じておられます。まさに、移動や移植するだけでは、生態系を守ることにはならないことは明らかです。市は、「事業者の実行可能な範囲内でできる限り、環境影響の低減が図られると評価」としていますが、市自身が計画をこのまま進めてしまえば多種多様な動植物を守れる保証はありません。一度失った生態系を取り戻すことができない事実に、市として向き合うべきです。

問題点の第三は、交通渋滞問題について調査と対策が全く不十分であることです。市民からはテーマパーク建設など大規模集客事業供用開始後の、大気汚染、交通渋滞、住環境など周辺環境悪化への懸念が示されています。これに対して準備書では、交通混雑について、公共交通機関の利用促進、車両の効率的な利用促進、関係車両の入出庫経路の分散、一般道での待機、路上駐車の防止を「適性な環境保全措置」としています。しかも2046年時点の車両状況を予測して、交通量は現況より増えることを認めながらも、公共交通機関の利用促進等の環境保全措置を講ずることにより、交通流への低減するよう努めますとしていることは看過できません。1500万人来場を見すえた供用開始時期との整合性が取れているとは言えません。大気汚染については、準備書では現状と工事期間についての記載しかありません。神奈川県知事の意見である環境保全措置(事業調査を含む)の検討を行うことが求められています。

問題点の第四は、環境影響評価項目の選定にあたって、今回の環境影響評価に「浸水」という項目が無いことです。計画通り事業が進められた場合、現状の水田や畑、樹木などで形成されている里山環境などが持つ保水能力を失うことになります。現在の環境があってこれまでの大雨に対して下流域での大きな被害が避けられてきました。調整池を6か所設置する計画としていますが、気候変動の影響でこれまでに経験したことの無い大雨に対して、30年に一度の大雨対応である時間雨量72ミリ対応の調整池で下流域での水害を防ぐことができるのか、評価項目にきちんと入れて検証するべきです。下流域での水害を防ぐためには、現状の保水環境を残すことが必要です。

このように準備書は、環境保全の見地からの意見が県知事からも市民からも出されていますが真摯に応えるものとなっていないもので、自然環境保全や有害物質除去など市民に対して安全安心を約束する環境影響評価がされた準備書とは言えません。国・自治体としての当然の責務を果たすものとなるよう求めて日本共産党の意見を以下述べます。なお、この意見については、当該環境影響評価準備書についての意見としての対応をされるよう要望します。

1.まちづくり協議会との合意形成を図ったうえで、巨大テーマパーク構想をゼロベースから見直し、大規模災害発災時に広域避難場所として確保することはもとより、他都市からの救援物資や災害救助の部隊などの受援体制を確保できる首都圏でも貴重な広域の場所を確保すること。

2.国と本市の責務として、土壌汚染対策法の本来の趣旨に基づいて市民の安心・安全を守るために汚染土壌の除去にあたっては、5m×5mの区画で、表層及び深度方向1mと2mとで土壌分析を実施し、掘削除去すべき土壌の把握を行うこと。

3.「事業者の実行可能な範囲内でできる限り、環境影響の低減が図られると評価」としているが、事業者の都合で進められてしまえば多種多様な動植物を守れる保証はなく、一度失った生態系を取り戻すことができない。現状の水田を核とした地域を維持すること。

4.環境影響評価に浸水の項目を入れること。

5.「(仮称)都市高速鉄道上瀬谷ライン整備事業」は、当該区画整理事業と切り離すことはできないもので、この工事に係るトンネル掘削工事などは、地盤や水の流れなど地域に重大な影響を及ぼすものであり、すみやかに環境影響評価準備書段階での所要の手続を行うこと。


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