議会での質問・討論(詳細)
2022年12月23日

■追加補正予算議案関連質問 北谷まり 2022.12.23

出産・子育て応援金(妊娠・出産時各5万円)を機に、出産費用ゼロの実現を

すべての妊婦が制度を受けられるよう方策を

北谷議員:北谷まりです。日本共産党を代表して質問いたします。市第98号議案 令和4年度横浜市一般会計補正予算第7号は、国の「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」における、少子化対策、こども・子育て世代への支援として、妊娠期から出産・子育てまで一貫した伴走型相談支援と経済的支援を一体で実施する出産・子育て応援事業を令和5年2月から実施するものです。本市では、経済的支援として、出産応援金を妊婦1人あたり5万円、子育て応援金として新生児1人あたり5万円を支給するとともに、妊娠期から出産・子育てまで一貫して相談に応じ、安心して出産・子育てができるようにしようとするものです。

 日銀が20日の金融政策決定会合で「異次元の金融緩和」の一部修正を決めました。異次元緩和でもたらされたのは、大企業・富裕層が大儲けする一方で、働く人の賃金は上がらず、40年ぶりの大幅な物価上昇による実質賃金の低下です。

帝国データバンクによると、主要食品会社105社だけで、2022年に値上げされた食品は累計で20,000品目を超え、来年は、今時点で、すでに7,000品目以上の値上げが見込まれています。子育て世代にとって、粉ミルク、ベビーフード、紙オムツ、ベビーカーなど、子ども用品の値上がりによる家計への影響、さらに、コロナ禍による社会生活の変化は人間関係にも影響を及ぼし、孤立感や不安感を抱く妊婦・子育て家庭も少なくない状況となっています。

特に心配されるのは、身近に相談できる人がなく、貧困や予期せぬ妊娠などの悩みを、1人で抱え孤立の状態に置かれている妊婦が、支援に全くたどり着けないままとなってしまうことです。まずは、支援を必要としている妊婦が相談にたどり着くための、周知が必要です。例えば、妊娠SOSの案内カードを公共施設や、商業施設の女性用化粧室などに配架すること、妊娠SOSに相談があれば、その場で必ず本事業を案内し、必要に応じて区役所につなげること、ポスターや車内広告など、目につきやすい方法での広報、SNSの活用など、重層的に行っていくことが重要です。対象となるすべての妊婦が、制度からこぼれ落ちることなく、受給・支援が受けられるようにしていくための方策をうかがいます。

国の第1次から第18次までの児童虐待による死亡事例等の検証結果で、心中以外の虐待死889例・939人では、0歳児の割合は48.5%、0日児の割合は18.4%、3歳以下の割合は76.1%を占めているとしており、この傾向は本市でも同様ではないでしょうか。困難な状況にいる妊産婦への支援は、幼い命を救うことにつながります。

山中市長:困難を抱えて悩み孤立している妊婦が、制度からこぼれ落ちることなく、受給・支援が受けられるようにしていくための方策についてですが、妊娠SOS横浜への相談や、医療機関、地域からの情報提供等により区役所がそのような困難を抱えた方を把握した際には、速やかに支援をしてまいります。また、困難を抱えた方が本事業をきっかけに区役所へ来庁されることも見込まれますので、伴走型相談支援の一環としての面談を丁寧に行い、必要な支援につなげます。

出産直後から支援を必要とする場合の支援策を

 無事出産に至ったとしても、出産直後から支援を必要とする産婦もおられ、例えば、妊娠の届出を行わず、妊婦健診も未受診のまま出産を迎えた場合についても、受給・支援の対象となると聞いています。そして、そのような場合、妊娠届出ができないやむを得ない事情を抱えていることも想定されますので、手厚い支援が求められます。私の知っているケースでは、出産時に入院していた病院に、夫が離婚届を持ってきたということがありました。出産で心身に負担がかかっているときに困難に直面するのは、大きなダメージを及ぼします。出産直後から支援を必要とする場合の支援策についてうかがいます。

山中市長:妊娠期に区役所や医療機関との接点がないまま出産を迎えた場合など、出産直後から支援を必要とするケースに対する支援策ですが、これまでも本市ではいわゆる飛び込み出産等の情報を医療機関から把握した場合は、区の専門職が訪問を実施するなど、状況に即した支援を行ってまいりました。養育上の不安や経済的な困窮など、産婦及びご家庭のお困りの状況は様々でありますが、それぞれの事情に応じたきめ細やかな支援を引き続き行っていきます。

市独自に上乗せ支給を行い出産費用ゼロの早期実現を

北谷議員:出産育児一時金ついては、国で42万円から50万円に増額されることが報道されています。12月14日の中期計画特別委員会において、党市議団は市長公約にもある出産費用ゼロに向けて、一時金の増額について質問し、市長は、本市として実態把握に向けた調査を行う必要があると言われました。市民病院では、標準的な出産費用は約57万円と聞いております。調査結果を待たなくても、これを目安にして、市独自に上乗せ支給することは、市長公約の早期実現につながると考えますが、見解をうかがいます。出産費用ゼロを待ち望んでいる子育て世代のために、国に要望するだけでなく、一時金の加算について、早期の決断を求めておきます。

山中市長:出産費用に関して本市独自の上乗せをすべきとのことですが、国が出産育児一時金を50万円に増額したとしても、東京都の公的病院における出産費用の平均値は約56万円となっており、東京に近い本市においては出産育児一時金では賄うことができない可能性があります。そのため出産育児一時金の地域加算制度の構築について今後も国に対し引き続き要望していくとともに、本市の正確な実態把握に向けた調査を行う必要があると考えております。

市独自の子育て世帯へ財政出動を

北谷議員:最後は、市独自の施策についてうかがいます。国の交付金を活用して、相模原市では、市独自に妊婦特別給付金3万円を支給、川崎市では、子育て世帯への応援給付金0歳から中学校卒業前までの児童1人あたり1万円支給など、市独自の支給を行っています。本市においても、国支給にとどまらず、上乗せ支給をすることや、子育てサービス利用料の減免などは、中期計画でかかげる「子育てしたいまち 次世代を共に育むまち ヨコハマ」にふさわしいと考えます。次期定例会で独自施策を定め、必要な予算を補正計上すべきと考えますが、見解をうかがいます。

山中市長:市独自の子育て支援給付金についてですが、今回の出産子育て応援事業は国の総合経済対策の一環として取り組むもので、物価高騰が続く中できるだけ速やかにお届けしたいと考えております。この給付金への本市独自の上乗せについては考えておりませんが、これまでも安心して産み育てられる環境作りに取り組んできており、今後も広く子育て世代に響く効果的な施策を充実してまいります。

「子育てや教育にお金がかかりすぎる」切実な声に向き合い給食費無償化を

北谷議員:厚生労働省の人口動態統計の速報によると、2022年の日本の子どもの出生数は、1899年の統計開始後初めて80万人台を割り込むとされており、政府の想定を超えるスピードで少子化は加速しています。子どもを持つかどうかは、個人やカップルの自由な選択ですが、問題は、子どもを産み育てたいと願っても、実現できない現実が続いていることです。2021年の政府の調査では、夫婦が理想とする平均子ども数は2.25人ですが、実際に予定する子どもの数はそれを下回ります。理想の子ども数を実現できない理由の最多は「子育てや教育にお金がかかりすぎる」で、過去20年間、この理由が一貫してトップです。若者や子育て世代の切実な要求に応えず、必要な予算の手当もせず、希望がもてない雇用・経済状況を強いてきた歴代政権の責任が厳しく問われます。
2023年度発足の「こども家庭庁」の概算要求は、従来各省庁にまたがっていた予算を合計するなどして、ほぼ2022年度並みの4兆円台です。巨額な軍事費を捻出するために、大増税や軍拡以外の予算が大幅に削減されることは必至で、子ども関連予算は後回しどころか、カットされる危険すら懸念されます。日本の子ども関連予算は対国内総生産比でみると、欧州諸国とまだまだ開きがあり、この立ち遅れの打開が、今こそ必要です。

最後に改めて、給食費を無償にするなど、本市独自の子育て支援策の拡充を要望するとともに、日本共産党横浜市会議員団も全力を尽くすと述べて終わります。

本会議.発言と答弁お全文


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