市政ニュース ・ 視察報告
2023年11月22日

【視察報告】朝鮮学校を視察 こどもの教育に差別があってはならない 直ちに補助金の復活を

11月17日(金)、日本共産党横浜市会議員団(5人)は神奈川区にある学校法人朝鮮学園が運営する神奈川朝鮮中高級学校・横浜朝鮮初級学校(以後朝鮮学校)に伺いました。
10月5日に朝鮮学校と保護者会の皆さんが、朝鮮学校への補助金の復活を求める要望書を横浜市長、教育長、議会議長に対して出されたことを知り、是非とも学校現場を見せていだだきたいと思ったからです。なお、党市議団は、10年前に補助金が停止された時から、朝鮮学校への補助金交付再開を毎年求めています。

朝鮮学校 (10)

【朝鮮学校への補助金停止問題とは】
横浜市は2013年10月、「私立外国人学校補助金交付要綱」を改訂し、朝鮮半島と日本をとりまく「国際情勢」を理由に、市内にある朝鮮学校に対する各種補助金の支給を停止しました。毎年の予算には計上するが支給は見送るという対応を繰り返しています。これは、同年2月に朝鮮学校への補助金を打ち切った神奈川県の決定に続いたものです。横浜市には、7つの外国人学校があり補助金の停止処置がされているのは朝鮮学校のみとなります。

校内を見学 

始めに金燦旭神奈川朝鮮中高級学校校長先生の案内のもと校内を見学させていただきました。

一階には幼稚園があり、園児たちの姿が見え元気いっぱいの声が聞こえました。

朝鮮学校 (12)

校舎は建ててから50年が経過しており、あちこちで改修が必要です。しかし補助金がカットされているなか、改修工事は資金面で大変な苦労があり、保護者から金銭的負担と労働力を提供してもらって進めていると伺いました。

朝鮮学校 (9)朝鮮学校 (8)

高校生の英語の授業を参観。少人数で会話の授業でした。

朝鮮学校 (6)

また、社会科の授業は経済を学んでいました。

中学生の日本語の教育は、まずその言葉から想像してみようとパントマイム。生徒が大笑いして笑顔があふれる授業風景でした。

朝鮮学校 (11)

使用している教科書も拝見しました。

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朝鮮学校のこともっと知ってほしい 校長先生と懇談

見学の後に、校長先生から説明を受け懇談を行いました。

朝鮮学校

金校長:まずは、近隣の学校などとの交流を深めて、朝鮮学校のことを知ってもらう、来てもらうという取り組みを進めている。学校を知ってもらうための「トブロツアー」では学校のことが良く伝わるように工夫を重ねている。焼肉企画も人気。

横浜市からの補助金約200~300万円は、学校の機器を更新することなどに活用していたが、今は全くないので、プロが行えば300万円かかるWiFi設備を、50万円で機器を購入し工事は先生方みんなでやった。

アボジのハルロドン(お父さんの1日労務提供)は年1回程度だったのが、年何回もお願いしている。しかも保護者からの寄付は通常の1.5倍で3~4,000万円となっている。みんなの気持ちで学校運営が成り立っているが、毎年となるとあまりに厳しい。

朝鮮学校では朝鮮民族のアイデンティティーを育み、しっかり学んで日本にも貢献しようと学んでいる。しかし、他の外国人学校には出されている補助金が朝鮮学校にだけ出されていない。なぜなのか。北朝鮮によるミサイルが理由にされているが、私達の努力ではどうすることもできないことを理由にされている。私達も納税しているが、横浜市の財政規模から見たら、朝鮮学校への200万~300万円の補助金は重くない。その金額すら出し渋る。それがどんなメッセージを子どもたちに与えているのか。「ここにいてはいけないの?」という疎外感を生み出すことになる。もうこれは朝鮮人へのいじめです。これまでの県内4校への県からの補助金不交付は4億円になると話ました。

横浜市教育委員会からのヒアリング

党市議団は朝鮮学校視察に向けて横浜市教育委員会からヒアリングを受けました。

Q:なぜ朝鮮学校にだけ補助金を出さないのか

A:北朝鮮のミサイル発射や核実験などの国際状況を鑑み、支給できる状況にない。補助金申請の案内を出していない。神奈川県の判断も参考にしている。

Q:1自治体として国際情勢をどう判断しているのか

A:ミサイル発射の情報などはカウントしている。

Q:学校の教育内容などを見て判断しているわけではないのか。

A:教育内容を見て判断しているわけではない。

Q:補助金支給の判断は誰がやっているのか

A:教育次長の毎年の決裁となっている。教育委員会会議で議題にしたことはない。

Q:北朝鮮のミサイル問題と朝鮮学校との関係性は、どう規定しているのか。北朝鮮=朝鮮学校にしている理由は何か。

A:規定するものは特にない。朝鮮総連との関連性を国が指摘しているのは承知している。

Q:朝鮮学校には北朝鮮籍の子はいないと聞いている、朝鮮学校には、どんな国籍の子が通っているのか市として把握しているのか。

A:正確には把握してない

(当然、北朝鮮籍の子がいたとしても補助金停止はしてはいけない)

国際都市横浜で、あからさまな民族差別をこれ以上続けさせるわけにはいけない

みわ智恵美議員(教育委員会常任委員)

この補助金停止の問題は朝鮮学校に通う子どもの人権問題であり、子どもの学ぶ権利の問題です。

現状は、横浜市がめざす社会像である「一人ひとりの市民がお互いに人権を尊重しあい、共に生きる社会の実現」に明らかに反しています。国際都市横浜として国際的にも全く通用しないことが続けられています。こどもに教育に差別は持ちこまないという立場に立った措置をとるべきです。朝鮮学校が要望されている「政争の具にしてはならない」との主張はまさにその通りです。「市民の理解」を得るために汗を流すのは行政の役割です。誰一人差別されてはいけない。子どもたちが心身ともに安心して学べる環境を保持するためにも、市も県も来年度から補助金を復活させるべきです。今回、子どもたちを守るために全力を傾けている校長の熱意を強く感じ、議会での取り組みに力を尽くしたいと思います。

参考資料

神奈川県弁護士会

2018年11月 警告書

2015年06月「横浜市及び川崎市に対し、学校法人朝鮮学園に対する、補助金予算の執行停止 及び予算の減額の措置を見直すことを求める会長声明」

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