議会での質問・討論(詳細)
2024年2月9日

■今年度議案関連質問 宇佐美さやか 2024.2.9

大企業に多額な助成金を配る企業立地促進条例の延長を止めよ
宇佐美議員:日本共産党を代表し、今定例会の議案に関連し、質問します。
はじめに、市第118号議案 横浜市企業立地等促進特定地域等における支援措置に関する条例の一部改正についてです。日本共産党議市議団は、本条例が提出された当初から反対しつつも助成金最大限度額の引き下げや、認定対象事業の見直しなど様々な改善提案も行ってきました。本条例が今年3月31日をもって適応期間が終了するにあたり、さらに4年期間を延長すること、最大限度額を50億円から30億円への引き下げ、本社やホテル立地に関しては、助成率を10%から5%に、助成金の上限を50億円から10億円へなど見直しを行うことが一部改正案に盛り込まれています。
本条例は現時点で、6期20年目となり、これまでの認定実績は170社と聞いています。直近、2021年度から2023年の12月末時点での認定件数は土地取得型で17件、テナント型で2件の計19件とのことでした。
しかし、最大50億円の助成額だった時点で、市内雇用が増えたのか、立地先周辺への経済波及効果があったのか、市内中小企業への優先発注をどれくらい行ったのかなどは、企業任せとなっていることは、問題です。
市長は、昨年の党市議団の質問に「本条例のインセンティブは企業の立地場所の選定に大きな役割を果たしている」と答弁されましたが、その答弁の根拠となっているのは、誘致された企業である認定事業者からとったアンケートです。助成を受け取った認定事業者からの声です。認定を受けず立地した企業も含めてアンケートをとったとしたら、同じ結果になったのでしょうか。本市は、この間、市域に新しく立地した企業の総数すら把握できていません。
また、2023年の経済産業省の『産業立地政策について』と題する報告書では、工場新設の『立地選定理由』の1番目に『本社・他の自社工場への近接性』、2番目に『インフラ整備が充実している』で『国・地方自治体の助成』という理由は、なんと7番目で決め手となっていません。「財政が厳しい」と市民に言いながら、最大限度額や助成率を引き下げたとはいえ、インセンティブとして決め手となっているとはいえない事業に多額の税金を投入し続けることは、もうやめるべきと考えますが、市長の見解を伺います。
本条例で認定された事業者が投資・移転の決定にあたって「特に重視したこと」に「人材の確保のしやすさ」もありました。もちろん、企業が市内に来ていただけることは、歓迎します。だからこそ、本市として人を育てる環境の整備を行い、企業が立地したいと思うような本市の取組を強化していくべきだと考えます。市長の見解を伺います。
山中市長:市第118号議案についてご質問をいただきました。企業立地促進条例のインセンティブ効果でありますが、立地企業へのアンケートにおきまして本市への投資や移転に辺り、最も重視したのが本条例の支援ということであり立地決定への重要なインセンティブ効果を発揮していると考えられます。また平成17年度から令和4年度までの累計で本条例による税収額は、約777億円支援額である約472億円を約305億円上回る成果を出してきています。今後も本条例を活用して企業誘致を進めてまいります。
宇佐美議員:企業側が、横浜に立地したいという魅力を感じてもらえるようにするための提案として、大学や様々な研究機関などを支援しながら、人が持つ能力を育てる環境整備をしていくことを要望し、次の質問に移ります。
山中市長:人を育てる環境の整備を行い企業が立地したいと思うような横浜市にしていくべきとのことですが、約16万人の研究者や技術者及び、9校の理工系大学を有することなど豊かな人的資源が本市の強みであり、企業から立地場所として選ばれております。企業立地促進条例の支援によりグローバル企業の研究開発拠点などを魅力的な雇用の場を創出して人を育てる環境を生み出す好循環につなげてまいります。

女性福祉相談員は正規雇用に
宇佐美議員:市第124号議案は、横浜市婦人相談員の費用弁償条例の廃止についてです。
2022年の「困難な問題を抱える女性への支援」に関する法律の制定に伴い、本市では、女性の抱えるさまざまな問題に対して相談を受ける婦人相談員、呼称女性福祉相談員を各区に配置しています。
女性福祉相談員は、現在、会計年度任用職員として任用しており、交通費などの支給は、市会計年度任用職員に関係する条例に基づいて支給しています。今回の議案では、新法の制定に伴って、前の法律・条例で規定されていた費用弁償について定めた条例を廃止するものです。
問題は、この困難を抱える女性のために相談を受ける職員が会計年度任用職員、つまり非正規の採用となっていることです。採用要件として、社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師など、高い専門性を求めています。現在、様々な資格を有している女性福祉相談員が18区に27人、横浜市DV相談支援センターに3人が配置され、相談に来られた方々にしっかり寄り添い、時には、生活支援課、高齢障害支援課などとも関わりながら、当事者の困難解消のために専門知識を駆使してくださっています。この方々の処遇が非正規労働で良いのかということです。専門性の高い職種を求めているのであれば、非正規での採用は間違っています。会計年度任用職員のみの採用としてしまえば、正規の職員として働きたいと思っている方を遠ざけてしまうことになります。実際30歳から49歳が2人しか在籍していないということに表れているのではないでしょうか。女性福祉相談員は会計年度任用職員ではなく正規職員として雇用するべきと考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長:市第124号議案についてご質問をいただきました。女性福祉相談員を正規職員として雇用をすべきとのことですが、旧売春防止法第35条第4項には、婦人相談員は非常勤とするという規定がありました。またその職務から専門的な知識経験を要する対応が求められるため、本市では非常勤特別職員として雇用してきました。引き続き相談者の抱える問題や背景状況等に応じて対応するとともに適切な人員体制の確保に努めます。
宇佐美議員:公務労働の現場で、非正規雇用、有期雇用の労働者を増やすことは、あってはならないと考えます。さらに、本市はジェンダー平等の観点から、男女の賃金格差を是正することを実行する責任があると考えます。

上瀬谷土地区画整理の「調整池」事業は、相沢川流域の自然を活かす計画と言えるのか
宇佐美議員:
市第133号議案 旧上瀬谷通信施設地区土地区画整理事業相沢川雨水調整池建設工事請負契約の締結は、いよいよ国際園芸博覧会、さらに開催後の巨大テーマパークなどの下準備が始まる様々な契約の一つとなる議案です。相沢川流域の土地区画整理事業を進めるに関わって、区域内の雨水を調節する調整池造成の工事請負契約をするための議案ですが、この事業は区域内をコンクリートで固めてしまうことから、これまで大地が吸水していた雨水が吸収されずに相沢川下流への水害が発生することから、調整池を造る必要性が発生してしまいました。調整池をつくらないと雨水の調整ができないほどの土地の改変を行うことになりますが、そもそも旧上瀬谷通信施設地区のまちづくりは、当該地域の自然を活かすとした考え方で進めるとしていることから、今後、相沢川流域の自然をどう守るのか、市長の見解を伺います。
山中市長:第133号議案についてご質問をいただきました。相沢川流域の自然を守ることについてですが、上瀬谷の豊かな自然環境を活かしながら新たな土地利用を行っていきますが、相沢川流域はハザードマップにおいて浸水想定区域となっており、雨水幹線として相沢川を再整備するとともに下流への流出量を抑制する調整池を整備します。公園区域を通過している箇所は、原風景が感じられる水辺空間の喪失に向けた整備を行うことによって訪れる皆様が上瀬谷の持つ豊かな自然環境を感じられる景観を形成していきます。
宇佐美議員:旧上瀬谷通信施設地区における観光・賑わい地区の活用事業を審査する委員会から「自然環境を活かした土地利用や相沢川周辺の風景の継承を検討するなど」という意見が出されているのですから、当然、巨大テーマパーク事業予定者に自然を守る計画とすることを求めるべきと考えますが、市長の見解を伺います。
山中市長:観光にぎわい地区事業予定者に自然を守る計画とすることを求めるべきとのことですが、事業予定者からは施設計画において緑の拠点としての価値の向上、空の見える風景の継承。緑と水と風を意識した環境創造などの提案をいただいております。上瀬谷が持つ自然を生かした郊外部の活性化拠点の形成に向けまして、事業予定者と具体的な調整をしっかり進めてまいります。

特別支援学校などの性被害の根絶には、人員増・処遇改善することが不可欠
宇佐美議員:市第141号議案 令和5年度横浜市一般会計補正予算(第5号)の国補正等に連動した対策の児童福祉施設等におけるこどもの人権を守るための環境整備事業および特別支援学校改修事業について、伺います。
認可保育所や障害児通所支援事業所をはじめとする児童福祉施設等に対し、性被害防止対策等こどもの人権を守るための環境整備を実施するとして、認可保育所等1,138か所をはじめとするこどもに関わる施設、1施設あたり10万円が支給されます。そして、特別支援学校改修事業では、障害により意思表現が難しい児童生徒が更に安全安心な学校生活を送れるよう、特別支援学校に対し、性被害防止対策にかかる環境整備を実施する名目で、市立特別支援学校12校に1施設10万円を支給するという事業です。国が示した「性被害防止対策等こどもの人権を守るための環境整備」のためのメニューには、パーテーション、簡易扉、簡易更衣室、カメラ、人感センサーなどがありますが、この対策でどれだけ被害を防止できるのか、とても不安です。

横浜市障害者虐待防止研修の資料の中で、虐待の発生要因として「人員不足や人員配置の問題及び関連する多忙さ」と記されています。これに対しての対応策としての本市の回答は「労働環境の是正」と管理者とサービス管理者に対して示しています。ですから、職員の処遇改善を行い、職員を大幅に増やし配置を厚くすることなど、労働環境の改善が不可欠と考えます。こういった対策を後回しにして、性被害から子どもや障害のある方々を守ることはできないと考えますが、市長の認識を伺います。
山中市長:市第141号議案についてご質問をいただきました。児童福祉施設等における子どもの人権を守るための環境整備事業及び、特別支援学校を改修事業について職員配置などの環境を整えることが最優先とのことですが、施設の種別ごとに定められた国の基準等に基づきまして、職員の配置や処遇の改善を行っているほか一部は、本市独自の加算を行っております。引き続き性被害防止対策を含め適切な施設の運営を確保していくため、環境の整備に努めてまいります。以上、宇佐美議員のご質問にご答弁を申し上げました。
宇佐美議員:国で保育士の配置基準が約70年ぶりに改訂されました。本市は、国基準よりも保育士を増やしての配置としていますが、保育士の処遇改善を行い、さらに保育士配置を増やしていくこと、特別支援学校では、建物の老朽化と狭あい化が問題となっています。建替えが必要な施設については、検討をしていくことを合わせて求めます。これらの改善を行うことこそ、こどもや障害をもつ児童の人権を守ることにつながると考えます。子育てしやすいまちヨコハマの実現のために改善を求め質問を終わります。

本会議.発言と答弁お全文


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