議会での質問・討論(詳細)
2024年2月20日

■予算代表質問 古谷やすひこ 2024. 2.20

古谷議員:日本共産党 古谷やすひこです。党を代表して、2024年度予算案について、山中市長に質問します。
はじめに、能登半島地震で亡くなられた方々へ心より哀悼の意を表し、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。被災された皆さんが一刻も早く日常を取り戻すために、能登半島が復興を果たせるように、私たちができる支援を行うとともに、国に対してはボランティア頼みではない、国としての役割をしっかり果たすよう求めます。

防災施策の総点検と抜本的な拡充を

古谷議員:まず本市の地震対策について伺います。発災から50日が経ちました。しかしいまだ避難所での生活は過酷を極めています。段ボールベッドや、男女別で洋式の仮設トイレもない、プライバシーが保障され安心して休める場所もない、こうした実態がいまだ残されています。災害関連死を防ぐためにも、またジェンダーの視点からも、ただちに改善をはかるべきです。また輪島市の小学校は再開されたものの、給食の再開のめどが立たず、ボランティアからのお弁当が給食に提供された日もあったと聞いています。水が欲しいという切実な声にもこたえられていない状況で足りない施策を全て国の責任で実施することを強く求めたいと思います。毎年のように大きな災害が起こっている日本において国のすべての対応が遅すぎます。そこで、能登半島地震の所感と復興に向けてなかなか進んでいない状況について、市長に伺います。

山中市長:本市の地震対策についてご質問をいただきました。能登半島地震の所感と復興への見解ですが、多数の建物倒壊や街区火災の発生、ライフラインの被害等が重なり、避難生活の長期化など市民生活への甚大な影響を痛感しております。復興に向けて、被害の状況や被災地の地域特性等を踏まえ、国の支援も受けながら様々な課題を乗り越えていくことを願っております。引き続き横浜市としても、できる限りの支援を行ってまいります。

古谷議員:市長が発表された予算案で、災害対策パッケージで、来年度一年かけて地震防災戦略を見直すことを表明されました。そのことには期待します。その際、災害対策にジェンダーや障害当事者の視点を入れることは不可欠です。そのためには検討する体制の中にそれぞれの当事者の方に参画してもらうべきです。地震防災戦略はいったい誰のためのものでしょうか。行政だけでつくりあげるのではなく市民のみなさんに参画してもらい作り上げることでより実際的な地震防災戦略になるのではないでしょうか。市長の見解を伺います。

山中市長:災害対策の見直しにあたり、多様な意見を取り入れるため市民に参画してもらうべきとのことですが、市政を進める上で年齢や性別・国籍・障害の有無に関わらず互いを尊重して支え合うまちを作っていくことを重視しております。新たな地震防災戦略の策定に向けても多様な意見が反映されるよう検討してまいります。

古谷議員:避難所の在り方についても問われています。能登半島地震では多くの避難所で体育館に雑魚寝という状況でした。その中で、せっかく避難できたのに避難所で、寒さにより亡くなるといった災害関連死を引き起こしたこともありました。翻って、横浜の避難所ではどんな備えができているでしょうか。今回のような真冬の地域防災拠点の運営について訓練もされていないところがほとんどではないでしょうか。また地域防災拠点ごとで、一か所あたり1000人を受け入れられることになっていますが、毛布は200枚程度しかありません。感染症蔓延予防やプライバシー保護のための仕切りをするような段ボールベッドもテントも拠点には備えられていません。大阪・寝屋川市では館内で仕切るためと屋外でも使用できるようにテントも準備されています。地域防災拠点が市民にとっていざというときに安心して逃げ込める場所だと思ってもらわなければ避難所の意味がありません。本市の避難所のありかたをどうするべきかを抜本的に見直すべきです。市長は現在の本市避難所の課題をどうとらえているのか、またどう改善しようとしているのか伺います。

山中市長:地域防災拠点の備蓄などを充実すべきとのことですが、現在地域防災拠点には一定量の食料品や生活用品を備蓄し、さらに必要な場合には、方面別備蓄庫の備蓄品、民間事業者との協定による物資の調達、国等からの支援物資で対応をすることとしています。今後、新たな地震防災戦略を策定する中で、地域防災拠点の備蓄のあり方などについて、検討を行います。

市長の社会保障への考え方について

古谷議員:次に、あらためて山中市長の社会保障への考え方について伺います。
山中市長が子育て支援施策の充実に力を入れようとしていることについては評価したいと思います。その一方で年を重ねても安心して住み続けられることができることを本市でも進めることもとても大事な施策です。市長のホームページにも「「健康長寿」で長生きして良かったと言える街に!」と掲げられています。そもそも地方自治法一条で「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本」だと定められています。また税制や財政が果たすべき役割は、社会保障や教育をはじめ、国民の暮らしや営業をまもることと、能力に応じた税制や社会保障制度による所得の再分配で、格差の是正をはかることだと私は考えますが、市長の見解を伺います。

山中市長:社会保障への考え方についてご質問をいただきました。社会保障を通じて市民の皆様の福祉の増進を図るべきとのことですが、医療・子育て・介護・障害などのいわゆる社会保障は、国の制度を基本に市民に最も身近な基礎自治体が取り組むべき重要な施策であると認識しております。令和6年度予算案においても、誰もが安心して豊かな暮らしを送ることができるよう、これら社会保障に係る必要な経費は、直近の動向も踏まえ確保しており、引き続き基礎自治体としての役割を果たしてまいります。

古谷議員:高齢者がおかれている状況について本当に厳しい実態があります。そのことを市長は認識しておられるでしょうか。受け取る年金は物価高騰に追いつかない水準にとどまり続けている中、国民健康保険料も介護保険料も後期高齢者保険料も上がり続けています。結果、高齢者の生活は圧迫され続けています。市長はこの状況をどう見ているのか、そしてどう施策展開していくのか伺います。

山中市長:高齢者の生活状況に対する認識と今後の施策展開ですが、高齢者の方々は物価の上昇などによる生活への影響や医療や介護など、ご自身の健康やご家族の暮らしなどに関心を寄せながら、日々生活をなされていると思っております。
高齢者の皆様が安心して暮らすことができるよう介護保険制度など、社会保障制度の安定的な運営を図ります。また介護予防や、認知症施策などの高齢者福祉施策を力強く進めることにより、高齢者の皆様の生活をお支えしていきます。

市長公約実現に向けた決意について

古谷議員:次に、あらためてこの機会に市長の公約実現に向けての決意を伺います。
来夏には市長選挙が予定されています。その市長選までに予算編成は今回入れてあと2回です。この中でどれだけ公約を施策化できるかが問題です。あらためて山中市長のホームページを拝見すると、市長が市民のみなさんに約束をしている公約について、3つのゼロだけではなく実に多岐にわたります。高齢者向け施策では「横浜市の発展を支えてくださった皆様が安心して年を重ねて健康に長生きできることを支えていきます」とあり、その第一番目には「介護職員の待遇改善」が掲げられ強調もされてもいますぜひ速やかに施策化をはかっていただきたい。また「生活の足を支える」と述べられ、今回地域交通の施策推進については期待したいと思いますが、その一方で公営交通の本丸である市営バス便がこの4月から300本減便されるということは大問題です。公の役割を投げ捨ててしまっていると厳しく指摘し改善を求めます。あらためて市長の公約実現に向けての決意を伺います。

山中市長:公約についてご質問をいただきました。公約実現に向けての決意ですが、掲げた政策は市民の皆様との大切なお約束であり、その実現に向けて引き続き力を尽くしてまいります。

米軍基地ノース・ドックにもゼロカーボンを

古谷議員:次に、気候危機対策について伺います。
本市でもっとも二酸化炭素を排出している臨海部の対策について、カーボンニュートラルポートを形成すると言われていますが、文字通り横浜港を出入りするあらゆる船舶からもゼロカーボンとするべきです。そうしなければ横浜市は地球温暖化対策での主導的な役割は果たせません。そのためには横浜港のど真ん中を占めている横浜ノースドックにもゼロカーボンを当然求めるべきです。米軍の活動だけでもスイスやニュージーランド一か国分を超えるような規模です。アメリカの軍用機から排出されるCO2は乗用車六百万台分といわれています。もちろんこの場にいる議員も市当局も市民の皆さんも、願いは横浜ノースドックの早期全面返還であることには変わりはありませんが、同時に本市のゼロカーボンの方針、2030年には50%削減、2050年には完全脱炭素社会の実現を目指していることについて、米軍には伝えているのかどうか、また横浜ノースドックでのゼロカーボンを求めるべきと思うがどうか、市長の見解を伺います。

山中市長:気候危機対策についてご質問をいただきました。ゼロカーボン方針を米軍に伝え、ノース・ドックでも求めるべきとのことですが、現時点で本市の方針を米軍にはお伝えしておりませんが、国を通じて方針を伝えることは可能であると考えますので、今後検討してまいります。

横浜発の次世代太陽光の早期実用化に向け注力を

古谷議員:再生可能エネルギーの普及も加速度的に行うことが時代の要請でもあると思います。そのためには、次世代型太陽電池の活用としてペロブスカイト太陽電池普及の機運醸成も大事ですが、一刻も早く実装事業段階に進んで普及促進のための手立てを打っていただきたい。現在諸外国では、中国では研究開発競争が激化していて量産体制にも入ったともいわれています。イギリスではオックスフォード大学が中心になり2025年には量産体制に入るともいわれています。ポーランドでは2023年内に商用化を計画しているといわれています。国内ではセキスイ・東芝・カネカ・アイシンなどがしのぎを削っている状況です。大阪ではセキスイとJRが組んでフィルム型ペロブスカイト太陽電池を駅での供用を開始します。大田区ではリコーが区内の小学校にペロブブスカイト太陽電池を提供したとのこと。そんな中でペロブスカイト発祥の地である横浜として、どう勝ち抜こうとしているのでしょうか。市長の決意を伺います。

山中市長:ペロブスカイトの普及促進に向けた決意と、それにふさわしい予算や体制の拡充を図るべきとのことですが、令和6年度は予算を拡充し、新たに実証に必要な経費の補助や、市内事業者の参画による用途開発の支援など、新局を中心として関係部署が密に連携を図りながら実施してまいります。

古谷議員:熾烈な主導権争いをしている中、現在本市でペロブスカイト太陽発電を担当する部署にはわずか一人課長含めて5人しか配置されていません。予算も増えたとはいえ2500万円です。とてもこれでは人も予算も足りないと感じます。再生可能エネルギーを加速度的に普及させるため、ペロブスカイト発祥の地にふさわしい予算や体制を拡充するべきだと考えますが、市長の見解を伺います。

山中市長:再生可能エネルギーの普及拡大につながる横浜初の新技術として、桐蔭学園や開発事業者等の皆様と連携し、グリーンエクスポでの活用も見据え、長期の実用化に向けた支援に積極的に取り組んでまいります。

ノース・ドックの早期全面返還を市民とともに

古谷議員:最後に、ノースドックについて伺います。
2月8日に新部隊編成のための式典が横浜ノースドックで開かれました。私たちは新部隊編成は横浜ノースドックの機能強化だとして式典参加はするべきではないと主張していましたので、結果的に市長が参加されなかったのはよかったと思います。当日、会場入り口では米軍基地機能強化に反対する市民の皆さんが声を上げていました。当然です。市長もこの立場に立つべきです。そして横浜ノースドックの早期全面返還を本気になって実現させるためには、今まで以上の取り組みを進めることが求められています。横浜ノースドックの返還に向けての市民の機運醸成をどう進めていくのでしょうか。本市の横浜ノースドック返還に向けた取り組みをもっと市民の皆さんに知らせ、一緒になって横浜ノースドックの全面返還を実現させるべきと思うがどうか伺います。

山中市長:ノースドックについてご質問をいただきました。返還に向けた取り組みを市民に知らせ、一緒に課題を進めるべきとのことですが、米軍施設の状況や基地対策の取り組みを市民の皆様に知っていただくことは重要です。これまで冊子やホームページなどで接収の歴史や、返還の歩み、跡地利用や要望行動の取り組みなどを発信してまいりました。
今後は市民利用施設などにおきまして、パネル展を開催するなど、さらに効果的な情報の発信に努めてまいります。

自民党の「政治とカネ」問題について

古谷議員:代表質問の最後に、今問題になっている「政治とカネの問題」について一言述べます。私たちが今審議している予算案は、市民の皆さんからキチンと税金が納税されることが前提です。行政や政治への信頼が前提です。それが今揺らいでいます。16日付の共同通信では「自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、議員側に渡った裏金が課税対象とならないことへの不満が高まる中、2023年分の所得税の確定申告が16日始まった。「不公平だ」「野放しは許されない」。税務署を訪れた納税者から批判の声が一斉に噴出した。議員は裏金の使途を明らかにすべきだとの意見も聞かれた」19日付の毎日新聞の世論調査によれば「裏金事件で問題のあった議員を課税当局が調査すべきと答えた方が93%」とのこと。

今の状況は深刻です。政治に信頼を取り戻すためには政治とカネの問題についてうみを出し切るべきです。そして何よりも国民の命と暮らしが大事にされる政治に変えていく、党としても全力を尽くすことを述べて質問を終えます。


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