議会での質問・討論(詳細)
2014年2月22日

■「予算代表質問」 大貫憲夫議員(2014.2.21)

◎質問と市長答弁は次の通りです。なお、実際には、質問と答弁がそれぞれ一括して行われましたが、わかりやすいように対応する質疑と答弁を交互に記載しました。

横浜市は国の下請け機関ではない

大貫議員:私は、日本共産党を代表して林市長に質問します。
1月6日に行われた市と市会主催賀詞交換会で市長は、国の経済成長政策を現場で具体的に実現するのが基礎自治体としての横浜市の役割という旨のあいさつをされました。また、2月13日の市政方針演説でも市長は、「国は政策を掲げ、法や制度をつくりますが、それを実行し成果を市民の皆様に届けるために現場で汗を流すのは、私たち基礎自治体です」と述べました。これら一連の発言は、基礎自治体である横浜市は、国の下請け機関だとするものにほかなりません。これは地方自治の根幹に関わる問題です。
地方自治は、戦後新たに現憲法に加えられました。なぜ新たに加えられたのか、その理由を市長はどのようにとらえていられるのか、伺います。
憲法92条は、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める」としています。日本国憲法逐条解説によれば、この92条は、「地方自治が、住民の意思に基づいて行われ、国から独立した団体により団体自らの権限と責任において行わなければならないことを定めて」おり、「地方自治には、民主主義の基盤を育み、また中央権力の巨大化を抑制して権力分散を図るといった重要な役割がある」としています。地方自治体は国の下請け機関ではないのです。憲法が規定する地方自治と市長の考えとは相容れないものと言わざるを得ません。市政運営の根本的な問題として、市長は地方自治の本旨をどのように捉えているのか、伺います。

林市長:大貫議員のご質問にお答え申し上げます。
地方自治に対する認識についてご質問いただきました。
戦後新たに地方自治が憲法第8章に加えられた理由に関する見解ですが、地方自治は民主主義の確立と密接不可分の関係にあり、地方自治の確立による地方行政の民主化を実現させるため、憲法において制度として保証したものと考えております。
地方行政の本旨に対する見解ですが、市民や企業のみなさまと対話を尽くし、信頼関係を築き、地域運営を自主的事実的に行う地方公共団体として、住民自治と団体自治の両面を担うことだと考えております。

(第二質問)
大貫議員:お答え、ありがとうございました。地方自治の本旨について、市長は住民自治の立場に立って、団体自治そして住民自治、この立場で考えていくというふうにおっしゃっていました。そうであるならば、やはりこの団体自治として、地方自治として、地方自治体として、自分の頭で考えていくというのが求められていると思うんです。その時、先ほどわたしが言ったように、1月6日の賀詞交換会では、国の経済成長を現場で具体的に実現するのが基礎自治体としての横浜の役割という考え方は、いまの市長の答弁とはあってないと思うんですね。そういう意味では地方自治に反するということで、改めて、答えを聞きたい。
それから、先ほど、健全なカジノ、こうおっしゃっていましたけどもね、これもおかしい。だから答えていただきたい。なぜか。

林市長:大貫議員のご質問にお答え申し上げます。
私がそういうふうにご発言した理由でございますけども、私も経営者をやっておりました。そして、やはり、たとえば企業においても、基本的に国がしっかりとした経済成長戦略を立てていただけなければ、企業だけでも無理ですし、私たち基礎自治体単独でもできないことなんですね。ですから、私は、国が、本当に長い時間の空白時間がありましたけれども、思いきって経済成長戦略をやっていくということに関して、それと一緒に相乗効果をねらわなければ難しいという意味でのご発言をさせていただきましたし。
あと、ちょっと長くなりますけれども、国は法律や制度をつくりますけども、それを私たちが実際に事業に落としこんでやっていくというそういう意味で申し上げたんです。つまり、我々は本当に実現をしていかなければいけない立場だから、しっかりやりたいという主旨でご発言申し上げたわけでございます。
以上、ご答弁申し上げました。

新年度予算は「積極果敢予算」ではなく、国の下請け予算

大貫議員:市長は新年度予算案を「積極果敢予算」と名づけ、「持続的な成長のためには将来的な投資をしなくてはならない」として、横浜環状道路建設に前年度対比35%増、国際コンテナ戦略港湾整備に同じく76.6%増の合計357億円の巨費を計上しました。また、北仲通南地区での新市庁舎建設の具体的検討費や2棟目のMM展示ホールなど箱物建設に向けた調査費、山下ふ頭の再開発など都心臨海部再整備、本牧沖での新規ふ頭整備、IR・カジノを含む統合型リゾートの検討費などが盛り込まれました。これらの事業はまさに、国際競争力強化、国土強靭化と称して、三大都市圏の環状道路や国際コンテナ戦略港湾、空港整備などを進める安倍政権の成長戦略の横浜版であり、国の下請け予算案と言わざるを得ません。この批判に対する市長の見解を伺います。
市長のいう「積極果敢予算」の財源確保に、「債務返済指数」などという説得力のない口実をつけてまで市債発行を増やすことは、新たな負の財政的遺産を作り出すとともに、不必要な都市インフラを増やすものです。この点での見解を求めます。
市長は時代認識として横浜が大きな転換期にあるとし、未来に向けて解決すべき課題を人口減少、高齢社会、さらには都市インフラの老朽化だとしています。しかし、言葉とは裏腹に、予算案ではこれらの避けて通れない課題を正面には据えていません。いま求められるのは、政府の経済成長戦略を取り込んだ新たな大規模開発中心のまちづくりではなく、地方自治の立場に立った持続的発展が可能なまちづくりであり、人口や産業が減少・縮小することを前提とした計画的なまちづくりです。そして、地域でくらし続けられるまちづくりです。
産業で言えば、大型公共工事など箱モノづくりではなく、居住地に近接するサービス業や教育、医療、福祉、再生可能エネルギーなどの分野を発展させることです。政令指定都市最大の人口を抱える横浜市の強みを生かして、市民の能力を最大限に発揮できる条件や環境を整えるための予算が、転換期には必要なのではないでしょうか。今こそ発想の転換が必要です。これらの指摘についての市長の見解をもとめるものです。

林市長:予算編成の基本的な考え方について、ご質問いただきました。
国の下請け予算とのご指摘についてですが、これからの本市には生産年齢人口の減少や超高齢化社会の進展を踏まえた切れ目のない子育て支援や健康づくり、また都市インフラの老朽化、そして急がれる防災減災対策など取り組むべき課題が山積しています。26年度予算は新たな中期計画の初年度としてこれらの課題に積極果敢に挑戦し、未来へつながる成果を出していく、そうした思いを込めた予算でありまして、国の経済対策とも連携しながら、実効性のある手立てを着実にうっていくための予算といたしました。
市債発行と都市インフラ整備についてですが、ただいま申し上げましたような課題にしっかりと取り組みながら、横浜の将来を見据え、積極的に投資すべきところには投資を行っていくことも必要です。一方で、財政の健全性を引き続き維持していくことは当然のことと考えています。このような視点をもって、今後策定していく新たな中期計画において、一般会計が対応する借入金残高の縮減に着実に取り組む中で、計画的な市債の活用を検討していきます。
市民の力を発揮できるような予算が必要とのことですが、都市活動を支える基盤整備や強靭な防災力を備えることに加えまして、子育て支援や健康づくりにより、あらゆる世代が力を発揮することが横浜の成長・発展には不可欠です。そのため、26年度予算は、横浜の将来を見据え、必要な分野にしっかりと政策を投入したものです。

賭博罪に問われるカジノを横浜に誘致するのか

大貫議員:安倍政権の経済成長戦略のなかで、自治体にマイナスの結果を生み出す典型が、国家戦略特区の目玉として導入しようとしているIR・カジノを含む統合型リゾートの誘致です。
市長は、大きな経済波及効果、税収効果が期待できるとしてカジノ誘致に強い意欲を表明されていますが、国会ではカジノ合法化法案はまだ審議入りさえしていません。カジノは刑法185条、186条が禁じる賭博行為を行う賭博場です。これらを承知でIR・カジノを含む統合型リゾートの誘致のための予算を計上することは、税金の使い方として許されることではないと考えますが、それを「良し」する根拠を伺います。
賭博は何も富を生み出しません。さらに、ギャンブル依存症という社会的問題を引き起こします。カジノの賭け金のために会社の金を使い込んだ大王製紙の事件でも明らかです。経済波及効果、税収効果が期待できるからといって賭博罪に問われるカジノを合法化しても良いと考えるのか、市長の見解を求めます。

林市長:カジノを含むIR統合型リゾートについて、ご質問いただきました。
予算を計上した根拠ですが、昨年国会に提出されました特定複合観光施設区域の整備の促進に関する法律案は、国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、地域経済の振興に寄与するとともに、適切な国の監視と管理のもとで運営される健全なカジノ施設の収益が、社会に還元されることを基本理念としています。全国では、東京都や大阪府、沖縄県などがすでに誘致に向けた動きをはじめています。こうした動きも踏まえ、国内外からの誘客や積極的な民間投資を呼びこむとともに、都心臨海部の再生の起爆剤ともなりうるIR統合型リゾートという手法を検討する調査費を計上いたしました。
カジノの合法化についての考え方ですが、法案には地域経済の振興への寄与や健全なカジノ収益の社会への還元が記されています。世界の都市での実績をみても、大きな経済効果や税収効果、雇用効果などが見てとれます。一方で、法案には、政府がこうじるものとして犯罪の発生や予防、依存症対策、青少年の健全育成のために必要な措置などを掲げています。今回の調査にあたっては、こうした課題についても検討していきます。

地球温暖化対策は市民の協力を得るための施策を

大貫議員:次に、地球温暖化対策実行計画改定素案について伺います。
同計画の改定に国の決定を待つことなく取り組んだことについては、評価できるところです。
しかし、改定案策定にあたって現計画の到達点と総括が明らかにされず、市長が常々主張している計画・実行・評価・改善のPDCAサイクルの観点が欠落しています。なぜPDCAを実行しなかったのか、その理由を伺います。
さらに改定案では、「原発や化石燃料に過度に依存しない」、つまり原発には過度ではないが依存するとして、ゼロの立場に立っていないことも問題です。福島第一原発事故で明らかになったように、原子力発電はひとたび事故が起これば収束することができません。市長が本当に市民の命、暮らしを守るとするならば、原発依存から決別しなくてはなりません。たとえ政府がなんと言おうと、原発ゼロに基づいて温暖化対策実行計画を立てるべきです。見解を求めます。
実効性ある計画にするために、市の姿勢と役割などを明確にした(仮称)脱温暖化条例などの制定が必要不可欠だと考えます。本市では2008年に、脱温暖化に向けて、規制的な施策や融資制度・税制等の経済的誘導策や、さまざまな施策の実効性を担保するための脱温暖化条例の制定検討に着手するとしていました。しかし、いまだに実行されていません。その理由は何か、伺います。
計画を成功させる原動力は市民の協力と世論の力です。G30でごみを減らした時のように、市が市民の中に積極的に入って、創エネ省エネ意識の啓発を行うことが必要です。本来ならば、市民意見募集を行う前に、改定案の説明会を各地で開き、直に市民に説明し、直に市民の意識や意見を聞いた上で、改定案を練り直すという作業が必要です。それが市民の協力と世論の力を得るための要であり、住民自治の立場です。3月に本市で行われるIPCC総会に間に合わせるために改定作成を急いだとするならば、市民不在の机上のプランではありませんか。
地球温暖化対策は地球規模の極めて重要な課題です。全市をあげて取り組まなければなりません。なんとしても市民の協力が必要です。世論を喚起し、市民の協力を得るための施策を具体的に示していただきたいと思います。

林市長:地球温暖化対策実行計画の改定素案について、ご質問いただきました。
PDCAサイクルの観点が必要とのことですが、計画の改定にあたっては、現計画の進捗状況などを環境創造審議会にご説明し、審議・評価いただきました。その上で、東日本大震災以降のエネルギーを取り巻く状況変化を踏まえ、電源構成にかかわらず、市の温室効果ガス削減努力が適格に反映されるような目標設定を行いました。また、低炭素なまちづくりや、今後の避けられない温暖化の進行に対する適応策を施策の柱として追加いたしました。
原発ゼロに基づいた計画を策定すべきとのことですが、原子力発電の取り扱いについては、国において議論が続けられておりまして、安倍総理大臣は先月施政方針演説で、原発依存度は可能な限り低減させてまいりますと発言されています。こうした動向も踏まえつつ、本市の計画素案では原発や化石燃料に過度に依存しない、地域におけるエネルギーの創出と地産地消の推進を掲げ、可能な限り再生可能エネルギーを導入する考え方をお示ししました。
脱温暖化に向けた条例制定の検討についてですが、横浜市生活環境の保全等に関する条例において、地球温暖化の防止に対する本市や市民、事業者の責務等を定めています。また、この条例に基づき、一定以上のエネルギーを使う事業者に対して、温室効果ガスの削減計画と取組状況の提出を義務付けるとともに、一定規模以上の建築について、再生可能エネルギー導入の検討を義務付けるなど、実効性を高める取り組みを行っています。
計画達成に向けた市民参加の具体策ですが、IPCC総会の横浜開催を足がかりといたしまして、地域レベルでの温暖化対策をさらに推進していくため、関係区局と連携し、18区におけるリレー講座や環境教育出前講座など、横浜エコスクールを積極的に展開します。こうした取り組みを通じて、温暖化の現状や影響について理解を深めていただくとともに、電力の見える化や住宅の断熱化など、身近で実践できることをわかりやすくお伝えしてまいります。

東アジアの平和と友好のために安部政権に意見せよ

大貫議員:最後は、東アジア文化都市事業についてです。
この事業の目的は、事業を通じ、東アジア域内の相互理解・連帯感の形成の促進、東アジアの多様な文化の国際発信力の強化を図るとされています。
非常に残念なことですが、現在、日本と中国、韓国との政治的関係は冷え込んでいます。東アジア文化都市事業を成功させるためにも、正確できちっとした現状認識が必要です。東アジアの政治的現状をどのようにちらえられているのか、この冷え込んだ状況を作り出した原因は何か、市長の考え方をお聞かせください。
私は、従軍慰安婦問題や靖国神社参拝問題などに代表される安倍政権の時代認識がその大もとにあると思います。この事業を進めるにあたって、地方自治の立場から東アジア情勢の不安定化を招く歴史認識を改めるよう安部首相および政府に進言するのが、今年4月から指定都市市長会会長として政令市をけん引する横浜市長の立場ではないでしょうか。明快な答弁を求めます。
私は、この東アジア文化都市事業に大きな期待を持っています。東アジアのみならず世界平和は、それぞれの文化に触れ、知り、交流し、理解を深めることが何よりも必要だからです。市長がその先頭に立ち、事業を成功させることを期待して、私の質問を終わります。

林市長:東アジア文化都市事業について、ご質問いただきました。
東アジアの政治的現状についての認識ですが、厳しい状況であると考えています。中国、韓国との冷え込んだ状況をつくりだした原因についてですが、さまざまな課題についての認識に違いがあるからだと思っております。
指定都市市長会会長として、政府に進言すべきとの考えについてですが、指定都市市長会は、市民に身近な基礎自治体としての機能を高め、大都市制度の実現を図っていくために、協同して提案・行動していく団体です。会長はその取りまとめ役であり、この役割を全力で果たしていこうと決意をしております。
以上、大貫議員のご質問にご答弁申し上げました。


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