議会での質問(詳細)

2017年9月22日

■反対討論 岩崎ひろし議員(2017.9.22)

「企業主導型保育所」は、減税までして推進すべきではない

日本共産党を代表して、2件の議案と、1件の請願の不採択に反対の立場で討論を行います。

最初に、市第31号議案 横浜市市税条例の一部改正についてです。 議案は、地方税法の改正に伴い横浜市市税条例を改正するものです。

問題は、「企業主導型保育事業」の固定資産税・都市計画税を3分の1へと減税することです。

企業主導型保育所は、すでに横浜市内に、21カ所、定員合計428人規模で展開されています。 公益財団法人:児童育成協会の資料で明らかです。

「企業主導型保育事業」への減税について、国が参酌基準として地方自治体に示しているのは2分の1です。 本市は上限いっぱいの3分の1へと大幅に減税措置を講じるものです。

今回の条例改正による減税措置によって、「企業主導型保育所」が、本市において、さらに拡大、加速することになります。

「企業主導型保育事業」は、児童福祉法:第二十四条「市町村は、この法律及び子ども・子育て支援法の定めるところにより、・・(中略)・・当該児童を保育所・・(中略)・・において保育しなければならない。」 にもとづく「保育所」ではありません。

国がこども子育て新システムのメニューとして、児童福祉法第24条の規定から逸脱して、2016年度から始めた制度です。

実施主体が「自治体」ではなく、「企業」であるという点で、児童福祉法に矛盾するものです。

したがって、「企業主導型保育事業」は、市の関与、指導監督ができない認可外施設です。

具体的に見るとその仕組みがわかります。「企業主導型保育事業」を行う企業は、国から認可保育所並みの助成金を受けるので、市の認可を受ける必要はありません。市には届け出るだけで保育施設を設置できます。また、利用者は、企業との契約だけで認可保育所並みの保育料で利用できます。

さらに、保育士の配置基準は、保育士が保育従事者の1/2でよいとされていること。保育室の面積や庭園面積については、「原則」とは書いているものの厳守基準としていません。事業者任せです。

19人以下の場合は、調理室は不要など認可保育所の設置基準とは程遠く、また、0才から5才児の一括保育など「保育の質を確保」できる保障はありません。

市長は、先の本会議での質問に、「企業主導型保育事業」は、「待機児童解消に資するものと考えております。」と答弁されました。

しかし、待機児童の解消はあくまでも児童福祉法第24条にもとづく認可保育所の増設をもって対処すべきものです。

さらに、「保育の質は確保されるのか」との、わが党の質問に、市長は、「企業主導型保育は国が主体となって進めている事業で、基準や事故防止に向けた指針等を定めています。また、全施設に国及び市が、年一回、立ち入り調査による指導等を実施し、質の確保を図っていきます。」と答弁しています。

しかし、国は、現時点で、立ち入り調査や指導等の指針を示せていません。

「質の確保を図る」との市長の答弁は、現実を見ていないものです。

安倍政権は、「世界一、企業が活動しやすい社会をめざす」として、企業にとって「安くて使い勝手の良い労働力」の確保先として女性の労働力に照準を当てています。

そして、待機児解消の切り札として、「企業主導型保育事業」に格別の力を入れています。

企業主導型を支援する国の本年度予算は、定員枠5万人を目標に、前年度比513億円増の1313億円と大幅に増額。この5万人分の目標も、本年5月時点で、すでに約4万人分を突破しているとして、目標を一気に2万人分上積みして、7万人としています。

全国的には、2017年3月30日現在で、871施設、定員20284人に対する助成が決まっています。

横浜市の今回の上限いっぱいの減税措置は、安倍政権のすすめる待機児童解消政策の優等生でありたいとする意向が見えてきます。

こどもたちの健全な成長と発達を考えるならば、待機児解消は認可保育園を基軸に進めるべきです。

横浜マリンタワーの事業運営の検証なしの次期選定は認められない

次に、市第28号議案 横浜マリンタワー運営等事業者選定委員会条例の制定についてです。

本議案は、2009年から横浜マリンタワーを運営しているリスト株式会社と本市との契約が、2年後、2019年に切れるため、次の事業者選定のための委員会を設置するものです。

提案理由には、横浜マリンタワーの「適正な運営及び維持管理等を図る」ためとあります。

「適正な運営及び維持管理等を図る」と言うのであれば、これまでの運営事業者の実績の「検証」は不可欠です。しかし、今回の議案審査における市長や当局の答弁では、「検証結果」も今後の「改善方向」も明らかになりませんでした。

「横浜マリンタワー」は、市民の貴重な財産、公有財産です。「運営及び維持管理」が、適正であったかどうか検証するのは、本市の責任です。

市長は、「提案書の内容の目的については、概ね達成されています。」と答弁されました。しかし、現場を見れば、「概ね達成」などとは言えません。

前回の選定にあたり、リストが作成した「横浜マリンタワー再生事業計画書」には、「FMヨコハマサテライトスタジオを1階フロアに設け、2階は観光交流ゾーンにする」としています。

そこに記述されているのは、①「最新の横浜の観光情報が最新の液晶タッチパネルで瞬時に情報アクセスできるビジュアル装置を設置する」、②「横浜という都市が持っている多彩な要素や横浜の近未来をイメージさせることのできる都市の情報と地図をリンクさせて、マリンタワーを起点にして、横浜を回遊することのできる映像ソフトを提供する」、③「イメージオブヨコハマとしてエキゾチックな横浜・古き良き時代の横浜を中心に、横浜の過去・現在・未来をビジュアルに表現する展示施設とする」などです。

2階の観光交流ゾーンについては、極めて具体的な計画になっています。

リストが選ばれたのは、「この提案があったから」と、当時の選定委員は語っています。

ところが、実際には、1階は、FMヨコハマのスタジオ設備はどこにも見当たらず、2階の観光交流ゾーンと言われるフロアは、NPO法人「横浜シティガイド協会」の事務室があり、そこにボランティアの観光案内の人が配置されています。とはいえ、この協会は当初からあったのではなく2011年の東日本大震災後、それまでいた東京電力神奈川支店から引っ越してきたのであり、2009年当初からいたのではありません。

ほかには、ピアノ1台と各種イベント等の案内チラシ、開港以来の歴史を約12分間流すテレビがあるだけです。

運営事業者が自ら作成した計画書さえ、無視しているといわなければなりません。

市当局は、この状況を承知していながら7年間、何も手を打たなかったのです。

こうした経過を承知したうえで、「提案書の目的は、おおむね達成されている」と答弁されたのであれば、無責任の極みです。

今、必要なことは、PDCAサイクルを機能させることです。

選定委員会には、第3者機関として「選定した事業者の運営をチェックさせる機能」を持たせるべきです。それを市長は拒否されました。

現在の運営事業者であるリスト株式会社は、自ら提出した「提案書」に即した運営、維持管理の業務をしてきませんでした。それは、8億円と言う先行投資を、10年間で回収をせざるをえないため、提案した機能を整備するための投資を抑えたからです。

したがって、リストは、「適正な運営及び維持管理等を図る」資格のない事業者と言えます。

今度の選定過程で、万が一にも同じ事業者が選定されるようならば、事業者選定委員会の設置自体が、手続きの体裁を整えるための茶番であり、許されることではありません。

保育士不足、運営費の不正運用など負の連鎖が続く民間移管はやめよ

次に、請願第5号 市立保育所「民間移管事業」の一時停止等についてです。

請願は、市立保育所 民間移管事業の一時停止等を求めるもので、請願内容は、「市立保育所民間移管事業の選考基準について、十分検証し問題点が解決するまでは事業を一時停止するべき」と言うものです。

常任委員会審査の中で、今年2月の第一回定例会にも「同一内容で出され、審議済み」との意見もありましたが、本市が市立保育所民間移管事業を見直すことなく続けているために、請願者は、同じ請願で出さざるを得ないのです。施策の見直しを行おうとしない本市当局の側にこそ問題があります。

民間移管の14年間で、どのような問題があったのか。民間移管方針が、保育事業の分野に、負の連鎖を創り出しています。

働く女性が急増し、保育所整備を民間に全面依存する中で、保育士不足は深刻さを増すばかりです。特に、ベテラン保育士の確保ができないために、市内法人から手が上がらなくなっていること。無理をして移管した民間事業者の中から、「ゆめ工房」、「ももの会」など公費をかすめ取るに等しい悪質な事業者が、相次いで出ていることなど、保育の質の低下や運営費の不適切な運用など、深刻なリスクが生じています。

民間移管方針は、すでに限界に来ています。これ以上の公立保育園の民間移管はやめるべきです。

本請願は、本市の保育施策をよりよいものにしていくための提案であり、時宜を得た内容です。採択すべきものと考えます。

すべての議員、会派のみなさんが、採択に賛同していただくことをお願いします。

以上で、日本共産党を代表しての討論を終わります。

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