議会での質問・討論(詳細)
2018年2月28日

■予算関連質問 (白井 まさ子議員)

健康格差の是正と教育格差の是正を

白井議員:日本共産党を代表して質問します。

安倍政権のアベノミクスの5年間で、実質賃金は年額16万円、家計消費は22万円も減少しています。安倍首相は、生活保護を受けていない低所得世帯の消費水準が下がったからそれに合わせて、生活保護を最大5%削減すると言い、低所得世帯の消費水準の低下を政府自ら認めるほど、格差と貧困が拡大しています。

雇用の劣化を背景にした格差拡大が世界の大問題になっており、国際機関が警鐘を鳴らしています。OECDは「格差の拡大は長期的な経済成長にとっても有害である」とし、各国政府が行うべきとして示した政策パッケージの中に、効率的な再配分のための税・給付制度を提起しています。

こういった状況の下での、本市の予算編成においては、国の悪政の防波堤になり、格差と貧困を正して、中間層を豊かにすべきなのに、市長の施政方針では、その視点が欠落しています。そこで、特に、健康格差の是正と教育格差の是正を求めて質問していきます。

法定外繰り入れの今年度規模での継続で、国民健康保険料の据え置きを

国民健康保険は、いよいよ4月から、都道府県が財政運営の責任主体になる都道府県化に移行し、神奈川県と横浜市の共同運営となります。保険料を値上げしないよう主張してきたところですが、一人あたり年間平均保険料額は、12万4,821円となり、前年度の12万2,336円より2,485円の値上げです。モデルケースで見ると、夫婦2人・中学生1人・小学生1人の4人家族で、年収400万円世帯の引き上げ額は、約1万5,000円で、年額38万7,230円になり、500万円世帯では約2万円の引き上げで、年額47万7,150円になりますから、収入の1割近くが保険料に消えることになります。法定外繰り入れが継続されたことにより、想定されていたほどの引き上げは抑えられたとしても、市民負担増であり、これで良しとはなりません。

保険料が高いために払えず滞納になってしまうケースが、2016年度では8世帯に1世帯にも及んでいるように、現行の保険料は支払能力を超えており、保険料の引き下げが求められます。市長が、過重な負担にならないようにするとおっしゃったのですから、少なくとも保険料は据え置きが当然です。

保険料値上げ分による増収は、20億円ほどと聞いています。低所得世帯の保険料も上がったことについて市長は「高齢化に伴って給付費が増大する中で持続的な制度とするために、低所得世帯においても一定の負担をお願いする」との答弁で、制度維持を理由にされました。高い保険料で苦しんでいる市民の実態に目をふさいでおられます。一方、今回、一般会計からの法定外繰入金は、今年度の100億円から82億円に引き下げています。この繰入金18億円削減が、保険料値上げという市民負担増に直結しているのに、18億円の削減を、財源捻出のための内部経費の見直しの一つに並べていること自体、神経が問われます。法定外繰入金を今年度の100億円規模で継続すれば、保険料を据え置くことができます。改めて見解を伺います。

林市長:国民健康保険の保険料値上げについて、御質問頂きました。

保険料負担緩和の為の法定外繰り入れについては、国は今回の制度改正に拠る国費拡充に合わせて、各自治体に計画的・段階的な削減・解消を求めています。これを踏まえて、横浜市では、制度改正に伴い被保険者の負担が過重なものとならないよう、保険料上昇を一人あたり医療費の自然増と同率に設定致しました。その結果、法定外の繰り入れ額は約82億円となり、前年度より約18億円減少することとなりました。尚、今回の保険料負担緩和のための市費繰り入れの減少は、国費拡充を受けてのものでございまして、被保険者にとって実質的な負担増につながるものではありません。

白井議員:また、主に国保会計の歳入リスクに備えるとして、新たに設ける財政調整基金に、46億円を積立てるとしていますが、その原資は国保会計の黒字分です。国保会計の収入の大半が保険料ですから、黒字分は被保険者に戻すのが当たり前ではないでしょうか。しかも、県との共同運営となることから、財政リスクはこれまでより軽減するはずです。基金への積立金を保険料引き上げによる増収分に見合う20億円を減らせば、保険料を据え置くことができます。見解を伺います。

林市長:新たに設置する基金の積み立て金ですが、29年度末の予定残高である約66億円の内、過年度に過大交付された国費約20億円を30年度に返還します。拠って、残りの約46億円を保険料の収納不足が生じた際のリスクに備えるために積み立てるものであります。累積黒字は27年度から減少傾向にあり、将来的な保険財政の安定のためには、一定額の積立は必要であると考えています。

白井議員:子どものいる世帯に対する減免に12億8,000万円充てて継続することは評価です。この減免制度は、2013年の保険料算定方式を市民税方式から所得方式に変更した制度改定の際に、子どもが多いほど保険料が高くなり、子育て家庭から、悲鳴が上がり、その後、市が独自の所得控除を導入して実施されたものです。わが党も値上げの深刻な実態調査を踏まえ、多人数世帯への恒久的な軽減制度を新設した他都市の実例を示し改善を求めました。

社員などが加入する被用者保険の保険料は、子どもの人数に影響されない一方、国民健康保険は、子どもを含め世帯内の加入者数に応じて賦課される均等割りがあるため、制度自体が子育て支援に逆行しており、改善が求められています。全国知事会でも、子育て支援の観点から、子どもに係る保険料均等割りの軽減を国へ要請しています。埼玉県ふじみの市が4月から、第3子以降の子どもの均等割りを全額免除します。本市もならって、子ども世帯に対する減免制度の拡充を検討してはどうでしょうか、伺います。

林市長:第3子以降の保険料均等割額を全額免除することについてですが、本市はお子さんがいる世帯の保険料負担に配慮し、26年度から独自の減額措置を実施しています。これに加えて、新たに第3子以降の保険料均等割額の全額免除を実施することは、現行の減額措置と趣旨が重なっておりまして、その整理を含め本市の減免制度のあり方全体の中で、慎重に検討する必要があると考えています。

現行の3倍にもなる分娩介助料の値上げは、据え置きを

白井議員:現行の分娩介助料は12万円のところ、6万円増額して18万円にするとしています。地域中核病院の料金の平均と横並びになるようにという考え方です。健康な出産は保険適用されませんから、出産時に必要な費用は、支出入院料や検査料などの33万円と合わせれば51万円となり、そこから出産育児一時金の42万円を引いた9万円が自己負担となります。これまでの自己負担額は3万円ですから、3倍になります。

年間、市内で生まれる赤ちゃん約3万人の内、85%が市内施設での分娩です。今回、料金を横並びに設定することは、安いから選ぶという人の費用の選択肢をなくすことになります。これでは、子育て支援に逆行です。

低廉な費用での出産を一義的に望む市民が選択できるよう、公立病院での分娩介助料は据え置くべきですが、どうか伺います。

林市長:分娩介助料の改定について御質問頂きました。

市立病院・市大病院の分娩介助料についてですが、近隣病院との料金格差が拡大しておりまして、市立病院及び市大病院を利用する一部の方だけが、低料金で出産できる状況となっています。この状況を踏まえ、公平性の観点から料金の見直しをお願いしたいと考えています。尚、低所得世帯の方々については、児童福祉法に基づく助産制度を利用出来ますので、改定に拠る影響はありません。

黒字分を積み立てた介護給付費準備基金は、全額を保険料抑制に使うべき

白井議員:介護保険料は3年ごとに変わります。4月からの第7期介護保険事業計画素案の保険料基準月額として、昨年示されていたのは、現行の5,990円から610円値上げした6,600円でした。私たち市議団は、3年間の歳入と歳出から生まれた余剰金を積み立てた介護給付費準備基金の全額繰り入れと、応能負担の強化による低所得層対策を提案していました。今回、値上げ幅を210円に抑えた6,200円が提案されています。応能負担強化については、所得段階のうち、高所得者を新たに1,500万円以上と2,000万円以上に増やし、収入を増やしたことは一定評価するものですが、結果的に、全段階で値上げとなっており、これをよしとするわけにはいきません。

全段階で保険料を据え置くべきですが、せめて、基準額の第6段階未満の第1から第5段階の市民税非課税である方の保険料を据え置く必要があります。そのための必要額は約20億円と聞いています。

3年間の歳入と歳出の差から生まれた黒字分を積み立てた介護給付費準備基金見込み額は157億円です。そのうち、今回、保険料上昇抑制のために約3分の2である98億円を活用します。安定運営のために、3分の1の59億円を残しておくとしていますが、仮にサービス給付が見込みより膨らんだ場合には、県の基金を借りることもできます。3年間の黒字分は還元すべきですから、全額を保険料抑制のために使うべきです。見解を伺います。

林市長:介護保険の保険料について御質問頂きました。

保険料据え置きのための基金の活用ですが、第7期の保険料は、後期高齢者の増加とともに保険給付が増加し大幅な上昇が見込まれましたが、基金残高の2/3である98億円を取り崩し、保険料の上昇抑制を図りました。今後、療養病床から介護医療院への転換により、給付の増加も考える為、これ以上の基金の取り崩しは困難です。

白井議員:また、東京23区では、世田谷区などいくつかの区で高所得者の所得段階を2,500万円、3,000万円、1億円などのランクを設けて応能負担を強化しています。本市の所得2000万円以上の被保険者は6,000人に聞いています。本市でも高所得者の応能負担を更に強める意味で、この階層については、更に段階を増やせば、収入を増やすことができます。その増収分を低所得者の保険料据え置きに充ててはどうか、伺います。

林市長:保険料段階の設定についてですが、市民税非課税の方の保険料については、第7期でも、これまでと同様に負担割合を国の標準よりも軽減し、本市独自に負担緩和を図ります。高所得者の保険料については、より所得に応じた御負担を頂くよう、国基準では最高段階の負担割合を基準保険料の1.7倍としておりますが、横浜市では、今回3.0倍の負担をお願いしています。

白井議員:保険料負担に加え、介護サービスを利用する際の自己負担も大変です。利用料負担軽減の本市独自制度の内、今回グループホーム居住費助成を引き上げることは評価できます。一方、在宅サービスについては、1割負担を7割、5割に軽減する制度がありますが、制度を利用した方は2016年度ではわずか1,100人、助成額は3000万円です。今回、1,300人を見込んだ予算立てです。この自己負担助成制度の対象となる年金80万円以下の保険料第2段階の被保険者は約12万人です。そのうち、要介護認定者数は、全市認定割合から推計すると2万人を超えます。助成要件に金融資産350万円以下などの資産要件があるにしても利用者が余りにも少なすぎます。

対象基準の人が確実に助成制度を利用できるように、利用者見込み数を抜本的に引き上げ、個別通知をし、ケアマネージャーへ丁寧に周知するなど、利用者の拡大する努力を行うべきです。見解を伺います。

林市長:在宅サービス助成の対象者拡大についてですが、本市では所得が低く資産も少ない方でも必要なサービスが受けられるように、在宅サービスの利用者負担を5%または3%に軽減しています。対象者の条件を拡げることは考えておりませんが、多くの方に助成制度を御利用頂けるよう、介護事業所や区役所の窓口を通じてより一層周知に努めます。

小学校の給食費値上げは全国で広がる無償化と子育て支援に逆行するもの

白井議員:小学校の給食費を、今年9月以降、現行の月4000円から4600円に値上げするとし、値上げによる増収額は年間換算すると12億円です。

ここ数年、食材費の高騰により、給食費だけでは、栄養価や食品構成の充足率を維持できないために、学校給食費調整基金から取り崩し、収入不足を補ってきました。この基金が底をつくことと、学校給食の栄養価を2013年度の献立水準に戻すことを理由に、保護者に負担を求めます。

給食費をめぐっては、文科省が2017年に初めて、「学校給食費無償化等調査」を実施し、今年度中に結果を発表するとしています。日本共産党が発行する、しんぶん赤旗の調査では、2017年9月現在で、公立小中学校の給食費の保護者負担を全額補助して無償にする市町村が少なくとも83に増えていることが分かっています。その理由として、子育て支援、定住しやすい環境づくり、給食を食育の一環としてとらえる食育の推進をあげています。

本市の給食費値上げは、この全国で広がる無償化に逆行します。給食充実のための必要額を保護者に求めるのではなく、全国的な公費での無償化の流れに合わせ、公費を充てて据え置くべきです、どうでしょうか。

岡田教育長:小学校の給食費値上げについて御質問頂きました。

値上げ分に公費を充てて据え置くようにとのことですが、一部の自治体が無償化していることは承知しております。しかし、殆どの自治体は、食材費に相当する給食費を保護者負担としています。尚、昨年度は六つの政令市で給食費の値上げを行っており、30年度は近隣市の川崎市や横須賀市、秦野市も値上げを行うと聞いております。本市においても、同様に給食費改定をお願いするものです。

白井議員:学校給食摂取基準における栄養価については、現在の献立では、エネルギーとたんぱく質は充足していますが、鉄は93%、食物繊維は94%しかなく、6年前の2011年当時の献立でも鉄は96%と不足していました。今回、600円値上げすれば2013年度当時の献立に戻るとしていますが、それでは基準は満たしません。子どもの体や成長にとって、これでいいはずはありません。栄養価充足率100%を目指すのが当然です。望ましい小学校給食の在り方を審議した横浜市学校保健審議会の答申でも、健康の保持増進に必要な栄養を摂取することを第一に考えて、学校給食摂取基準は100%の摂取に近づけるよう努力をしていくべきであると答申しています。そのためにも公費を入れるべきであり、保護者負担とすべきではありません。見解を伺います。

岡田教育長:栄養価について摂取基準100%を目指す為にも公費を充てて据え置くようにとのことですが、学校保健審議会の答申で示されているように、栄養価を充足させることを第一と考え、様々な食材を幅広く使用し、品数が多く彩り豊かな献立を目指していきます。学校給食法の規定では、学校給食の運営に掛かる人件費や施設及び設備の修繕費は学校設置者の負担とされ、これら以外の学校給食に要する経費は保護者の負担とされております。その為、食材費に相当する給食費については、保護者の皆様にご負担頂いておりますので、改定をお願いするものです。

申請しにくい就学援助申請書は、ただちに見直しを

白井議員:10月から、国が3年かけて予定している生活保護の生活扶助基準最大5%削減の標的となるのは都市部の子どもの多い世帯と言われています。実施されれば、際限のない貧困の悪循環が想定されるため、認めるわけにはいきません。生活保護を削るのでなく、低所得世帯の生活を支援することこそもとめられます。本市では、2013年度に強行された生活保護引き下げに連動させて、教育委員会が就学援助の認定基準を引き下げたため、1,000人近くが認定要件をなくしました。横浜市は、連動させて引き下げた、全国でも数少ない自治体の一つです。影響が及ばないよう配慮を求めた市長部局の通知をも無視した教育長の判断の誤りが改めて問われます。

学用品や給食費などを公費によって経済支援する就学援助は、ますます深刻化する貧困の連鎖を断ち切り、広がる教育格差を是正する機能がありますから、教育委員会として認定者拡大に向けた努力が求められます。本市の援助率は2016年度分で小学校12.9%、中学校15.9%、小・中計で13.8%です。一方、20の政令市の平均は、小中計で、16.9%で、20%を超えているのが5市あります。県内では、援助率が高い市として大和市が挙げられます。大和市では、小学校で24%、中学校で27%と本市の倍近くと高くなっています。

差が生じている要因の一つには、認定基準となっている所得限度額の違いにあるのではないかと思います。世帯人数が3人の場合の所得限度額は、大和市は332万円のところ横浜は303万円、他の世帯数のところでも横浜は認定基準が約1割低くなっています。認定基準である所得限度額を引き上げることが必要です、見解を伺います。

岡田教育長:就学援助の更なる改善について御質問頂きました。

認定基準である所得限度額の引き上げについてですが、認定基準につきましては、本市生活保護基準を基に算出しておりましたが、現在は26年度の生活保護基準から算出したものを認定基準としております。生活保護基準は、26年度以降も2段階引き下げられておりますが、就学援助につきましては、毎年行われる横浜市就学奨励対策審議会での答申を経て決定しております。妥当なものと考えております。

白井議員:また、差が生じているもう一つには、説明書のわかりやすさと説明書の配布時期、申請書の記入しやすさの違いです。大和市では説明書の漢字にルビをふっています。外国にルーツを持つ家庭が多いからです。説明書・申請書は1月に学校に配布されます。横浜市は4月に家庭配布です。大和市の申請書では○をつければいいように申請理由を列挙しています。その中に「認定の限度額となる所得の合計額以下のため」と「経済的に困窮している」という項目を設けています。「経済的に困窮している」という項目を設けて、基準を超えても理由を記入して申請することを認めています。横浜市の2017年度の申請書には、申請理由が列挙されておらず、当然この2つの項目が明記されていません。「就学援助を必要とする理由をお書きください」と、記入方式となっています。ぜひ、保護者の目線になり、申請理由の欄を大和市のように、所得が認定限度内なら申請してください、超えている場合でも困窮理由を書けば申請できますという風に、書き換える必要があります。どうでしょうか。

岡田教育長:就学援助の認定対象者拡大に向けた努力についてですが、就学援助制度についての内容は、学校を通じて全校児童生徒へお知らせを配付したり、教育委員会のホームページや広報よこはまへ掲載するなど、引き続き制度の周知に努めてまいります。また制度のお知らせや申請書の様式につきましては、申請者にとってわかりやすくなりますように、一層の工夫をしてまいります。

白井議員:入学準備金の支給が早まることはプラス材料です。必要な時期に使えるよう、より早期の支給が求められます。入学当初、中学で必要となるのは、制服、体操服、かばん、靴、上履き、そしてすぐに、部活動のユニフォーム、夏服、水着、寒くなればセーターやコートまで必要で、入学準備だけでなく年間通して必要となっています。小・中学校でかかる、学校納入金も大変な額になり、ある小学校では年額1万4千円を超えています。これに修学旅行費、体験学習費もかかり、保護者負担は大変な額です。

海老名市が、学用品の購入などの保護者負担経費について軽減策を探る検討委員会を設けているように、本市でも、学校での保護者負担の実態調査を本格的に行い、負担軽減のあり方を検討すべきですが、お考えを伺って質問を終わります。

岡田教育長:学校での保護者負担の実態調査と負担軽減のあり方についてですが、現在全ての市立中学校、及び市立義務教育学校後期課程を対象に、指定している制服等、実際に入学準備に掛かる経費の調査を行っています。今後、調査結果がまとまりましたら、横浜市就学奨励対策審議会にご説明し、ご審議頂きたいと考えています。以上、ご答弁申し上げました。


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