見解/声明
2019年1月25日

横浜市の2019年度予算案の発表にあたって

2019年1月25日
日本共産党横浜市会議員団
団 長 あらき由美子

林文子市長は本日、2019年度横浜市予算案を発表しました。一般会計1兆7,615億円で前年度比2%増のプラス予算です。

日本共産党横浜市会議員団は、横浜市の予算編成に反映することを願って、昨秋の9月11日、市長に対し594項目の予算要望書を提出しました。そこで強調したことは市民のくらし応援、防災重視を優先することでした。また、2018年第3回定例会の決算特別委員会では、様々な市民要望を取り上げ、次年度予算での実施を求める論戦をしました。

示された予算案で市民要望の実現、前進として評価できる主なものを挙げます。

市内経済対策として小規模事業者の支援策が強化されます。市制度融資として小規模事業者向け融資枠230億円、少額設備の設置への助成制度と支援チームの創設。全会一致で成立した国際平和推進条例をうけて、関連予算が1.5倍化。共産党が条例提案をして推進を促す再生可能エネルギー活用について計画を策定します。介護人材の確保予算を2.4倍化し、研修の拡大と住居家賃補助を行います。特別養護老人ホーム着工数は前年280床から449人と増やします。敬老パスはバス等事業者への市負担金を5.4億円増やし、現行どおり継続です。風呂なし市営住宅の解消にむけた建て替えを事業化します。地域住民主体でミニバス等を運行する地域交通サポート事業では、車両代など運行経費への直接補助を新たに始めます。保育所待機児童解消策として受け入れ定員を2199人拡大、うち認可園は1643人分です。2019年度中に学童クラブの設置基準・耐震基準を全クラブで達成するために分割・移転支援を拡充します。小児医療費助成(通院)の対象は中3へと拡大。高校奨学金の成績要件を5段階評価で平均4から3.7へと引き下げ、受給しやすくします。子ども食堂立ち上げ支援を全区に広げ、低収入等世帯の中学生の高校進学への学習を支援する予算は15%増の2億2千万円です。ブロック塀の撤去・新設は、857件を見込み、4.1億円を計上。発災時に避難所ともなる地域防災拠点での備蓄を充実・更新する予算を1.4億円から3.4億円に増額し、前年0.8億円を1.9億円にして防災スピーカー42基を増設します。

これらの前進の背景には、市民の声と運動のひろがりと結びついた日本共産党の議会内外の取組みがあったと云えます。

林市長はコメントの冒頭で2019年度について「第7回アフリカ開発会議、ラグビーワールドカップ2019といった国を挙げてのイベントを成功させなければならい重要な年」「こうしたイベント、オリンピック・パラリンピック、クルーズポートとしての飛躍など世界の注目が横浜に集まる大きなチャンスを生かします。次代に活力としてつなげていくことに英知を注ぎました」と大見得を切っています。地方自治体の役割について、地方自治法は第1条の2項で「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担いものとする」と規定しています。市長のコメントは、住民福祉を二の次として、国の下請けを自認するもので、地方自治体の役割を正視できていないと云わざるをえません。安倍自公政権と大企業にしか市長の目が向いていないその典型が大型公共事業の突出です。

大型の公共事業・開発事業には、新市庁舎整備420億円、横浜環状道路北西線・南線など高速道路に332億円、新たなふ頭・新本牧ふ頭85億円含め国際コンテナ戦略港湾関係に135億円、自民党市議がカジノ誘致先として名指しする山下ふ頭再開発には82億円、民間マンション建設に補助金など都心部再開発に97億円等々大盤振る舞いです。カジノ誘致については、2018年度と同様に調査費として1000万円、大企業誘致助成には22億円を充当。「国際競争力の強化」「世界で一番企業が活躍しやすい国」をかかげる安倍政権は、大都市を中心に環状道路、国際戦略港湾、国際拠点空港など不要不急の大型開発に傾斜し、その最も忠実な執行役を横浜市政が買って出ています。地方自治の本旨に反し、公共事業のあり方としても暮らし密着、防災に背をむける誤った選択です。市議会でそれを推進する自公の責任も問われています。

いま、市民のなかで関心が高いテーマの一つが中学校給食です。20の政令指定都市のなかで中学校給食を実施していないのは横浜市だけです。県内19市のうち実施計画・方針を持っていないのも横浜市だけです。予算案では、実施にむけた準備費すらつけていません。2%前後の喫食率に留まるハマ弁は8.4億円、新たに就学援助対象とするために1.5億円を充当。

高すぎる国保料で多くの世帯の暮らしを直撃しています。昨年につづいて国保料負担を軽減するための一般会計からの繰り入れを削減(削減額18年度18億円、19年度5.7億円)。その結果国保料連続引き上げとなります。

教員の多忙化解決はいまや国民的課題です。解決策の決め手は、教員を増やし、学級の少人数化と受け持ち授業数の減らすことです。しかし、予算案では、児童支援専任教諭の常勤化など50人の増員と小学校高学年での専科教員の配置、職員室業務アシスタントの小中全校配置、部活動指導員数の3.6倍化など周辺条件の整備に留まっています。

深刻な自然災害があいつぐなか、従来の延長線上ではない防災対策の強化は最優先課題のはずです。しかし、まちの防災性向上、がけ対策に充てるのは18年度並みの47億円です。消防力の強化予算は庁舎整備を除くと21億円で増えていません。

市職員定数は、158人増で、児童相談所の執行体制強化に22名増員することは市民の期待に沿うものです。市立保育所の民間移管(4園)、学校給食調理業務の民間委託は、市民サービスの質低下をもたらし容認できません。

このように見てくると、横浜市政は、「住民福祉の機関」「住民自治の組織」という地方自治体の役割を果たしているとは到底言えません。市長の提案した予算案を共産党はそのまま受け入れる訳にはいきません。日本共産党市議団は、大企業・大型開発と福祉軽視をやめ、暮らしと福祉第一に、カジノより中学校給食を、大規模開発ではなく生活関連・防災優先の公共事業、子ども一人ひとりが大事にされる教育をめざし、予算審議の議会で全力をあげる決意です。

以上


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