議会での質問・討論(詳細)
2021年2月19日

■予算代表質問 あらき由美子 2021年2月19日

コロナ対策に本気度見えない新年度予算は見直しを

あらき議員:日本共産党を代表し、市長の新年度予算の考え方について伺います。

最初に、新型コロナ対策についてです。新型コロナウィルスの世界的な感染拡大が続く中、欧米では昨年12月、英国を皮切りにワクチン接種が始まりました。日本国内では2月17日から医療従事者を対象に先行接種がスタートし、本市では3月から始まる予定となっています。接種が進めば、人口の大半が免疫を持つ「集団免疫」による感染収束も期待されます。ただ、日本への供給日程は見通せず、接種スケジュールが流動的であることは、否めません。市長は、新年度予算編成にあたり、市民の皆様の安全・安心を第一にお守りしますとし「感染症対策の強化」を掲げています。今、何より優先すべきは新型コロナウィルスの感染防止の対策や市民生活が成り立つ経済対策です。

ところが新年度予算には、感染拡大への対応策で一番重要なPCR検査対象を高齢者施設や保育所など通所施設に広げることをはじめ、新型コロナの影響により赤字となった医療機関への減収補填もなく、きわめて不十分のままです。市長は、ウィルスとの闘いに打ち勝つ決め手となり得るのが、新型コロナウィルスワクチンだと述べています。

しかし、ウィルス学の研究者からは「症状が出る前から他人に移す新型コロナの特徴を考えるとウィルスを抑え込むことは難しい。ワクチン接種が始まっても、当面流行を繰り返していくことになる」と述べられ、対策として効果的なのは「PCR検査の拡充、重症化を防ぐ治療法」などを指摘しています。

これらの科学的な知見を受けて、党市議団としてこれまで5回にわたり、高齢者等の通所施設を含めた検査対象を広げるべきとの要望や質問に対し、市長は「国の方で入所施設ということで決められました。引き続き対象施設を広げるように国に要望してまいりますけれども、今現在は、市としては独自にここにお金をかけている状況がちょっと難しい」と答弁しています。

新年度予算で「市民と医療を守る」は360億円であり、全額国費のワクチン接種250億円を除くと110億円にとどまります。そのうち、感染症対策に係る医療提供体制は67億円です。こんなに予算が少ない要因は、市が独自に使える財政調整基金が、今年度末に59億円しか残らないからです。本市財政の豊かさを示す財政力指数は、2018年度決算で0・97 指定都市中4位と高位で、4年前2017年度の基金残高は262億円ありました。ところがこの4年間で、市長は、東京五輪に間に合わせるとして新市庁舎建設・高速横浜環状道路北西線建設を急ぎ、横浜駅きた西口エリアでの外国人居住用の超高層マンション建設事業、巨大マンションを建設するJR貨物東高島駅北地区の土地区画整理事業などの大規模事業に多額の市費を投入した結果、基金残高を減らすことになったのです。不要不急の大規模公共事業や、体力のある大企業のために市税を使い、大判振る舞いをしてきた結果、大切な命を守るための予算が組めなくなったことについて、まず市長は猛省すべきです。

そこで、新年度予算では、県が実施する高齢者入所施設等の職員への定期的な検査に加え、通所施設や学校、病院も含めて検査対象を広げることこそ市の予算を優先して組むことをあらためて求めますが、市長の見解を伺います。

林市長:新年度予算の考え方についてご質問いただきました。県が実施する高齢者入所施設等の職員への定期的な検査対象を通所施設等へ拡大すべきとのことですが、まずは国が実施を要請している高齢者・障害者の入所施設の検査について、県と連携し、取り組んでまいります。なお、クラスター化するおそれがある場合等には、引き続き、通所施設や学校等についても患者発生の有無に関わらず、Y-AEITが出動し、疫学調査を実施します。

あらき議員:新年度予算でのくらし・経済対策予算総額の2405億円のうち横浜経済と市民生活守る予算は2013億円でその多くは融資のための1900億円の預託金です。市民生活の直接支援となる予算は40億円と極めて少ないのが実態です。その中には観光MICE支援の2億5千万円が含まれ、これは人の移動を促す横浜版GOTO事業であり、感染症対策の真逆の政策です。感染拡大は経済の破壊につながり、疲弊している市内中小観光事業者の直接支援に充てるべきですが、市長の見解を伺います。

林市長:観光事業者への直接支援にすべきとのことですが、観光・MICE産業は、ホテルや飲食業に限らず、清掃や小売業など裾野が広い産業です。引き続き市内観光キャンペーン等を実施することによりまして、旅行需要を喚起し、観光消費を促すことが、より多くの事業者への支援につながります。なお実施にあたっては国の動向を踏まえながら、感染対策を徹底して進めてまいります。

あらき議員:新年度予算は、国の経済対策そのものを踏襲した組み方で、中小小規模事業者のくらしの大変さを反映していません。神戸市がコロナの影響を受けている中小企業への家賃半額補助を補正予算で実施する、秋田県にかほ市は飲食・宿泊業支援として市独自の給付金を実施するなど、自治体独自での施策が広がってきています。

本市の全企業者数の99.5%が中小企業であり、20人以下の小規模企業者は82.6%となっています。コロナの影響を受け、明日の生活にも困っている市内の中小小規模事業者がたくさんいます。私の地元、弘明寺商店街や横浜橋商店街の小売店の方たちからは、「緊急事態宣言が長引いていて、人の流れがほとんどない。売り上げが大幅に減ったが前年比で5割に届かなかったため持続化給付金はもらえなかった。消費税が10%になってすでに経営が厳しいのに、そこから5割減だとやっていけない。持続化給付金の設定がおかしい」と酒屋の店主からの憤りの声です。また、この先商売を続けていくことへの不安の声を多くの店主から聞いています。

国の持続化給付金・家賃支援給付金は、支給要件が売上減50%以下等で、売上減少が45%で申請対象外となった業者など、コロナ禍で経営が困窮した事に差はないにもかかわらず、国の支援策からもれています。また、日々の収入がそのまま生活の糧となる飲食業者は、売上確保のためテイクアウトに力を入れた結果、売り上げは上がったものの利益は大幅にさがってしまった。このような国の支援条件から落ちてしまった中小業者に対し、市の予算で一時金を給付して欲しいとの要望を聞いています。そこで、神戸市や秋田県にかほ市のように、小規模事業者の生業を支援する市独自の施策を考えるべきですが、市長の見解を伺います。

林市長:小規模事業者の生業(なりわい)を支援する市独自の政策を考えるべきとのことですが、2月の補正予算に、コロナ禍特別相談支援事業や、設備投資助成など、小規模事業者の皆様をご支援する独自事業を計上しました。3年度も事業継続展開支援補助金、商店街プレミアム付商品券、支援事業等、本市独自の支援策を講じることで、コロナ禍でも前向きに事業継続に取り組む小規模事業者の皆様を全力でお支えして参ります。

アフターコロナを見据えるならくらし支える予算こそ カジノ推進などもってのほか

あらき議員:市長は、アフターコロナを見据え、2027年の国際園芸博覧会の開催や、国家的プロジェクトと称して、市民合意も得ないまま進めているIRの実現に向けた取組、文化芸術創造都市の核となる新たな劇場整備の検討を進め、世界を惹きつける魅力ある都市づくりと横浜の持続的な発展に道筋をつけるとしています。特にIRについては、市民の合意も得ず、またその是非を問う住民投票についても意義は見いだせないと背を向け、あろうことか2月5日からIR施設の設置・運営を行う民間事業者の公募を始めました。公募を始めるにあたり実施方針の意義に、横浜のポテンシャルを活かして、世界最高水準のIRを実現し、横浜の観光・経済にイノベーションをもたらすことで、横浜を世界から選ばれるデスティネーションに導き、「魅力ある都市横浜のさらなる飛躍」と「将来にわたる横浜市民の豊かな暮らし」を確実なものとする、とあります。

しかし、新型コロナの影響を受け、主要カジノ事業者の業績は悪化しています。横浜への進出意向を示していたラスベガス資本の2社が進出を断念したのもそのためです。カジノ収益依存の大きいカジノ企業ほど影響が大きく、巨額赤字決算を強いられている中で、なぜ、いまIR誘致に市長が力点を置くのか、理解できません。また、IR以外の事業も総事業費をはじめ市が負担する金額、そしてそれによる事業効果もしっかりとした根拠が示されていないことから、このまま進めることは大問題です。

今、市民は新型コロナ対策で必死に生活している状況です。コロナ禍の最前線で人々の生活を必死に支えている介護・保育・医療などのケア労働は、新自由主義のもとで自己責任とばかりに粗末に扱われ、そこで働く労働者の賃金は、一般の労働者より月10万円以上も賃金が低く、常に人手不足の状態です。アフターコロナを見据えるというのであれば、国際園芸博覧会やIR,新たな劇場整備の予算こそ、市民の暮らしを直接支える介護・保育・医療などの施策拡充に転換すべきですが、市長の見解を伺います。

林市長:国際園芸博覧会などの予算を、市民の皆様の暮らしを直接支える政策に転換すべきとのことですが、令和3年度予算案では、市民生活に寄りそった子育て教育福祉などの施策について、しっかりと必要額を計上しました。さらに喫緊の課題である感染防止策や医療提供体制の確保、市内経済の再生に向けた事業にも、暮らし経済対策として、引き続き取り組んでいきます。その上で、将来に向けて横浜が確実に成長し続けるために必要な政策について、しっかりと進めていく予算としております。

あらき議員:国民健康保険料・介護保険料の引き上げ、水道料金値上げは、新型コロナウィルス感染症の影響を受けている市民の暮らしを直撃します。市民の暮らしを直接支えるための一番の施策は、値上げを中止することです。必死に生活をしている市民を痛めつけるこれらの値上げ提案について、市民にどのように説明されるのですか、市長に伺います。

林市長:国民健康保険料・介護保険料・水道料金の引き上げについてですが、いずれについても市民の皆様の安心安全を支える制度を維持し、持続可能な運営とするために行わせていただくものです。引き上げ幅を抑制するなど、最大限の配慮を行っておりますので、ご理解頂けるように丁寧に説明をしてまいります。

コロナ対策に乗じたマイナンバーカード普及をやめよ

あらき議員:次にマイナンバー制度ついてです。

政府は9日の閣議で、デジタル社会形成基本法案などデジタル関連6法案を決定し、国会に提出しました。今国会での成立を狙い、この法案では、デジタル化に関する基本方針、国・自治体・事業者の責務などを規定しています。大企業などの利益追求や国の成長戦略のために、「国及び地方公共団体が保有する情報の活用」を促し、住民のデータを徹底的に利用し尽くす方向を示しています。マイナンバーカードに、医師免許などの国家資格をひも付ける改定などを盛り込み、税・社会保障・災害対策に限定されていた利用範囲を実質的に拡大しようとしています。

住民基本台帳や地方税など自治体の基幹事務に関わる情報システムの標準化や国がつくる全国規模の共通クラウドの利用を押し付ける法案も含まれ、これらの法案は地方自治を侵害し、住民サービスの低下を引き起こす危険があります。この個人情報の国家管理化となるマイナンバーカード普及に、新年度予算は力を入れています。

2月1日現在で本市のマイナンバーカード普及率は27.2%という実態でありながら、事業費は新年度予算で90億円、22年度末までに全市民に交付すると前のめりです。

コロナ感染対策に便乗したマイナンバーカード普及の押し付けは、コロナ禍で苦しむ市民要望に沿った施策とは到底言えません。今優先すべき施策でないマイナンバーカードの普及こそ、菅政権の施策の横浜版だと思いますが、この点についての市長の見解を伺います。

林市長:マイナンバーカードについてですが、特別定額給付金でのオンライン申請や、マイナポイント事業等の開始により、昨年のカード申請数は、一昨年の月平均約1万件から、最大で月約6万件と急増しました。コロナ禍で行政手続きを対面ではなく、オンラインで行いたいというニーズが、さらに高まると考えています。引き続き、希望されるすべての市民の皆様に、仔細なくカードを交付できるよう取り組んでまいります。

デジタル統括本部より保健所の体制強化を

あらき議員:さらに、菅政権の目玉政策であるデジタル化推進では、関連予算は233億円を計上し、優等生ぶりを誇り、新年度はデジタル統括本部を29人体制で作るとしています。新型コロナの対応に追われている市の保健所は一か所で、各区は支所に格下げし4区は医師が不在のままにしていることこそ改善を急ぐべきです。新型コロナの感染者が増えるたびに残業が増えている保健所や健康福祉課などの体制強化に55人を新たに新年度は充てるとしていますが、デジタル統括本部の体制を新たに作るより、今やるべきは、ワクチン接種などで体制がまた必要となる保健所や区の福祉保健課の体制強化だと思いますが、市長の見解を伺います。

林市長:保健所等の体制強化を行うべきとのことですが、令和3年度は、正規職員を専任で55名増員するほか、非常勤職員や人材派遣も活用して対応していきます。また、一部業務の見直しや委託化にも取り組みます。状況に応じて庁内応援体制も含め、更なる体制強化を図っていきます。このような保健所の体制強化はもとより、将来を見据えた本市重要政策推進のため、財政強化も必要と考えています。

喫食率目標2割の中学校給食で良しとするのか

あらき議員:次に中学校給食について伺います。

4月からハマ弁を中学校給食にすることで、就学援助の生徒が自己負担なく利用できるようになります。新年度予算案では、市立中学校の全校生徒数7万7千人のうち、就学援助等を利用している生徒は16.4%で1万2600人としています。就学援助等を利用している生徒が全員申し込むと、想定喫食率の20%目標では、残りの3.6% 28人に1人しか申し込めないことになります。そもそもの想定喫食率を引き上げないと、誰もが利用できる給食にならないと考えますが、これで良しとしている市長の見解を伺います。

林市長:中学校給食についてご質問いただきました。就学援助の生徒全員が利用するとして、想定喫食率を引き上げるべきとのことですが、本市の中学校給食は、就学援助等対象者の方も含めて、給食を希望する全ての生徒が利用できる仕組みとなっており、その上で、想定喫食率を設定してます。現在、就学援助等対象者の方の利用率は3割ですが、この割合が増えても、供給量の引き上げは可能なので、問題ないと考えております。今後もより多くの生徒に給食を提供できるよう体制づくりを進めてまいります。

あらき議員:横浜市立の義務教育学校である西金沢学園では、小学部の給食室を活用した中学部への給食提供を今年の4月から開始し、この中学部の給食は全員喫食にすると聞いています。この西金沢学園では、NKランチとして2017年7月から週1回で試行を開始し、2019年10月からは週3日実施し、一食500円で提供していました。その試行を重ねるなかで、NKランチを毎日実施したいという学校の意向を受け、1食330円の給食にするとしています。

このやり方は実質的には学校調理方式の中学校給食と言えるものです。小学校の給食施設を使って中学部の生徒の給食を作ることが可能なのですから、他の義務教育学校でも実施できるはずです。また、約5割の公立中学校で学校調理方式や親子方式などで給食を作ることは可能だと教育委員会が示しているのに、実施の検討すらしないのはなぜですか。西金沢学園では、NKランチを実施した際のPTAが行ったアンケートで保護者の意見として「全国的にも中学校の給食は一般的になっている中で、横浜市は導入する予定がないのは、行政の怠慢としか思えない。喫食率の上がらないハマ弁は継続しても意味がない」とありました。教育という観点から、同じ公立の中学校に通っているのに8割の生徒が食べられない今回のハマ弁による中学校給食は、それこそが不公平だと考えますが、市長の見解を伺います。

林市長:西金沢学園では自校方式で全員に給食が提供されるが他校では食べられないのは不公平とのことですが、西金沢学園は校内に小学部の給食室が既にあり、中学部の生徒全員分の給食も供給可能な調理能力を持つ市内唯一の施設一体型義務教育学校です。同様な環境にある学校は他にはないことから、全市的には施設一体型でなくても実現可能な、選択制のデリバリー型給食を実施するものです。

不要不急の大規模事業予算をなぜ見直さないのか

あらき議員:次に市長が考えている大規模事業についてです。

巨大テーマパークを誘致する旧米軍上瀬谷通信施設地区開発事業に34億円、上瀬谷テーマパークの事業主体では、有力視されていた米映画会社は進出断念と報じられ、計画を立案した相鉄は、本業の鉄道事業がコロナ禍で不振に喘いでいることから、新たに三菱地所が名乗りを上げたと言われています。新型コロナの影響が大きい中で、事業として成り立つか否か全く見通しの立たない状況のもと、花博開催に便乗して当初計画通りの事業推進はあまりにも無責任すぎます。 

その他にも、IR、新たな劇場整備、リニア新幹線の残土を受け入れるための新本牧ふ頭建設、グローバル企業の就業者を支援する横浜駅きた西口鶴屋地区再開発ビル、運河を埋め立てての東高島駅北地区土地区画整理事業など、今やるべきでない事業、再検証が必要な事業が目白おしです。これらの事業は、コロナ禍前の右肩あがりの経済成長を前提にした計画になっています。この点で抜本的な見直しが必要だと思いますが、市長の見解を伺います。

林市長:大規模事業の見直しについてご質問いただきました。本市が推進しているふ頭建設や、市街地再開発などの大規模事業を見直すべきとのことですが、基礎自治体として福祉、医療、教育、防災など市民生活に密着した政策を安定的に行っていくには、生涯にわたる横浜の成長発展につながる取り組みにより、市内経済を活性化し、財政基盤を強化していくことも必要です。厳しい財政状況の中でも、市政全体を見渡して、バランスよく施策を進めることが必要であると考えています。

ジェンダー平等社会を目指して、まずは市幹部の女性割合を高めよ

あらき議員:次にジェンダー平等について伺います。

本市は、2021年度から2025年度までの第5次男女共同参画行動計画案を現在策定しています。この主旨には、男女が互いにその人権を尊重しつつ、喜びも責任も分かち合い、性別にかかわりなく、それぞれの個性と能力を十分に発揮し、あらゆる分野に対等に参画できる男女共同参画社会の実現を目的として、横浜市男女共同参画推進条例に規定する7つの基本理念に基づき、男女共同参画に関する施策を実施するために策定します、とあります。

東京五輪組織委員会の森喜朗会長が女性を蔑視する発言をした問題をめぐり、辞任しました。2019年12月に発表された「ジェンダー・ギャップ指数2020」によると、日本は153カ国中121位というのもこの森氏の発言からうなずけます。

「森氏の謝罪によって問題は終わった」とコメントしていた国際オリンピック委員会(IOC)が一転、森氏の発言を「完全に不適切だ」と厳しく非難する声明を出すなど、高まる国内外の世論に追い込まれましたが、これで良しとするわけにはいきません。これは組織委員会の問題ではなく、日本社会全体の在り方が問われる問題です。リーダーシップを発揮せず、その結果、日本の本気度について国際的な信用を失墜させた菅政権の責任は極めて重大だと考えます。そこで、森会長の女性蔑視発言に対する市長の認識について伺います。

本市は国際都市であり、その横浜市役所において男女共同参画を推進する立場から、女性責任職が24%という割合を全職員に占める割合の40%に合わせることは至上命題です。その達成には市役所の全職員が、男女ともに仕事と家庭生活が両立できるようにすることが不可欠です。職場環境の改善として、残業をせずまた気兼ねなく有給休暇がとれる職員配置をしていくことが必要だと考えますが、市長の見解を伺います。

林市長:ジェンダー平等の考え方についてご質問いただきました。森前会長の発言に対する認識ですが、今回の発言は大変残念でした。ジェンダー平等が進んでいない日本の現状を象徴する発言だったと思います。あってはならない発言でした。社会全体の意識を変えることは簡単ではありませんが、横浜市としても多様性を認めて、誰もが活躍できる社会の実現に向けて、これからも積極的に取り組みを進めていきます。女性責任職の割合を高めるための取り組みについてですが、これまでのワークライフバランスの推進等の取り組みによりまして、課長級以上に占める女性割合は、私が就任した平成21年の8.7㌫から令和2年4月の17.9㌫と倍増たしまして、着実に成果として表れていると思います。今後も職員一人一人の配慮事項を踏まえた配置を行うとともに、長時間労働の是正や休暇取得の促進に向けた職場の意識改革、必要に応じて執行体制の強化など進めていきます。

IRカジノの申請は市長選後の新市長に委ねられるが、林市長は出馬するのか

あらき議員:最後に市長選についてです。

1月に開かれた臨時議会で、市長はIR誘致の是非を問う約20万人からの住民投票を望む声を否定し、2月5日からIR事業者の公募を始めました。市が示すスケジュールでは、今年の夏ごろに設置運営事業予定者の選定をし、秋から冬にかけて区域整備計画の作成、来年4月に議会の議決を経て区域整備計画の認定申請を国へ行うとなっています。 

そこで、この区域整備計画の国への申請は、新たな市長に委ねられるという認識で良いか、この点での市長の見解を伺います。また、夏には市長選挙が行われます。この市長選挙への出馬について、現時点で市長は出馬をするかどうか伺います。

林市長:市長選についてご質問頂きました。IRの区域整備計画の国への申請についてですが、申請期間は、令和3年10月から令和4年4月とされており、その時の市長が、これまでの成果も踏まえながら議会の皆様と議論し、決定していくものと考えております。次の市長選への出馬ですが、今は全く考えられません。ワクチン接種など新型のコロナウイルス感染症対策や、厳しい状況にある市内経済の再生など、目の前の課題に全力で取り組んでいるところでございます。

第二質問

あらき議員:IRについて、市は経済的社会的効果を数値で示すのは、今年の冬頃までに区域整備計画までに明確化すると言っています。これは、追加のコンセプト提案に応じた5事業者からは、横浜市への財政貢献を数字で示すことができなかったためです。経済的社会的効果を数値で示すことができないのに、事業者公募に踏みきったことが、市民への怒りをさらに呼んでいるという認識が市長にあるか、伺います。

アメリカ資本が日本のカジノから手を引き、マカオ資本が日本に期待している背景には、中国政府が刑法を今年の1月に改正し、「組織的に中国人を海外のカジノ等ギャンブル施設に誘導する行為を処罰する」ことになり、その結果、中国人の集客が困難になったためです。

これは、結果的に横浜のIRのターゲットは日本人になることを意味します。そういう認識が市長にあるか伺います。

林市長:IRの経済効果についてですが、経済効果については具体的な提案を、選定した後に区域整備計画の中で整理してお示してまいります。中国政府が海外のカジノの利用を絞った結果で、IRのターゲットが日本人になると認識はあるのかということは、そういった認識はございません。私自身、海外の例でも8割近くは自国の方がやってるというケースもあると思っていました。ですから日本人の方が来られるということも事実だと思いますし、そのために依存症対策はしっかりやるという認識を持っております。これはちょっとその、日本では初めてでございますから、IRは、ちょっとここでは軽々に申し上げられませんけども、日本人のお客様も多いというふうに考えております。

あらき議員:デリバリー方式の給食を、学校調理方式や親子方式に切り替えている自治体の実例を紹介し、検討するよう求めてきましたが、教育長は、令和3年度以降の方向性を検討するにあたり、いずれの方式でも実施は困難という結論に至りましたと、答弁しています。しかし、実施できる施設は5割あることを教育委員会は示しています。この点についてできることをやろうと真剣に議論したのか、また、新たな劇場やIRなどを検討・推進する予算を、学校給食施設を検討する調査費に切り替えることこそ、切実な市民要望に叶うことだと思いますが、市長にその見解があるかを伺います。

林市長:学校給食ができる設備能力があるということだから、きちんと検討したかというご質問でございます。自校方式及び親子方式では、約半数の学校で実施が困難です。今、先生は5割できるよとおっしゃたんですが、やっぱりその残りの5割の学校の実施が困難です。こうした学校において、自校方式の給食を実施可能とするためには、校舎の建て替えが必要となります。昭和56年度以前に建設された学校の立替えだけでも事業期間は32年間にも及ぶと見込んでおります。この期間はあまりにも長期間といえ、公平性に欠けると考えてることから、全校実施が唯一可能なデリバリー型給食実施していきます。

あらき議員:最後にPCR検査については全くやる気がない、その市長の政治姿勢に対しては、私は異議を申しそえます。科学的な知見のもとで、やはりPCR検査を拡充してこその、GOTOやる前の一番大事な施策だと思っています。この点でも市長の認識を改めることを強く求めます。

林市長:PCR検査についてでございますが、2月8日の国の通知は対象範囲を入所施設の職員を想定しております。定期検査の対象者の範囲については、有識者の中でもpcr検査の精度が7割しかないことや、有限な資源の配分のあり方について意見が分かれております。そのため、今後の国の動向を見極めて参りたいと思います。


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