議会での質問・討論(詳細)
2022年9月29日

■文化観光局(宇佐美さやか)9月29日(木)

◆宇佐美委員 日本共産党を代表し、質問します。よろしくお願いいたします。
 委員長、スライドの使用許可をお願いします。
○小松副委員長 どうぞ。
◆宇佐美委員 ありがとうございます。
 まず初めに、三溪園施設整備等支援事業について伺います。
 2007年に国の名勝として指定された三溪園は、外苑と内苑合わせて10棟の重要文化財と3棟の横浜市指定有形文化財があります。文化財の保存修理には、それぞれの文化財の価値を失わないように詳細な調査を行い、最適な修理方針を検討した上で慎重に実施をしているため全ての事業が完了するまでには相当な期間がかかるということを聞いていましたが、園内の文化財の一つである臨春閣の修理工事が先日、5年間の歳月を経て完了したということで私も実際に内覧会へ伺い自分の目で見てきました。細部にわたって本当にこだわっていて、過度に直し過ぎていないところも見受けられたり、本当に丁寧に修復されていると感じました。
 スライドを御覧ください。(資料を表示)中は撮影禁止ということなので外見のみですが、臨春閣の入り口です。次のスライドが、全体が見渡せる位置から撮影してみました。こういう広さがありまして、完了まで5年かかったというのも訪れた方なら理解できると思います。でも、やはり工事期間中、せっかく訪れたのに仮囲いで見られないということになるとがっかりしてしまうと思うのです。私自身が京都に以前訪れたときに、銀閣寺がちょうど修復の最中で、仮囲いの中に1か所だけ入れるところがあって、そこからちょっとだけ見たのを思い出しまして、2年前の決算特別委員会に見せる文化財として、ふだん見られない工事の内容を知ることができる、イベントを開催しているということをどうしても紹介したくて質問させていただきました。そのときから年数経過しています。
 三溪園の工事期間中における見せる文化財としての取組、伺います。
◎押見観光MICE振興部長 臨春閣の5年間の工事期間中に、文化財を身近に感じる機会として屋根のふき替え工事の見学会や檜皮葺のくぎ打ち体験など様々な企画に取り組んでまいりました。また、工事に伴って一時的に取り外した欄間、板絵などの貴重な装飾品を展示し、現物を見られる機会を設けました。さらに、伝統技術を紹介するパネル展示、工事中の記録映像の放映も行っております。
◆宇佐美委員 私もこういうパンフレットも頂いて(資料を提示)、よく見させていただきました。私が伺った日は平日だったのですが、お年を重ねた方々の団体から若いカップルまでが訪れていまして、私の後ろからいらした女性が、京都に来たみたいということで喜んでうれしそうにお話ししていらしたのでなるほどと思いました。この外観とか周りの風景が京都をほうふつさせるのかと思ったのですが、横浜にいるとは思えないような空間が日本人のみならず外国人観光客からも人気を集めるスポットだったということで、過去形での表現をしたのは、コロナ禍の影響で渡航制限が続き三溪園の来園者が激減して非常に厳しい状況が続いていることは承知しています。
 来園者が減ったこともあり修復工事がはかどったという面もあったということは聞いていますが、今後三溪園における外国人観光客の来園状況、見通しを伺います。
◎押見観光MICE振興部長 まず現状を申し上げますと、外国人の来園者数につきましては、新型コロナウイルス感染拡大以前は4万人を超えておりまして、全ての入園者数の10%前後を占めておりました。コロナ禍以降年々減少いたしまして、令和3年度には約2000人でございます。全入園者数の1%未満になってございます。これからの水際対策の緩和等も受けまして、改めまして三溪園の魅力をしっかりとお伝えすることで来園者増ということで取り組んでまいりたいと考えておりまる。
◆宇佐美委員 なかなか見通しは厳しいということかと思うのですが、岸田首相は先日、渡航制限を大幅緩和するということを表明しましたが、コロナ前のような状況になるまでにはまだ少し年数がかかるかと思います。いつか来てほしい外国人観光客、需要を確実に捉えるために、ターゲットを絞った重点的なプロモーション、特に外国人来園者の3分の2を占める東アジアの方々への働きかけと受け入れる環境の整備が必要だと考えますが、見解を伺います。
◎神部文化観光局長 外国人旅行者に大変人気のあります桜や紅葉のライトアップにおける設備の拡充や、受入れ環境として必須となるWi-Fiの通信環境の改善などに取り組んでまいります。また、三溪園には委員御紹介いただいたとおり、具体的に申し上げますと織田家ですとか豊臣家、徳川家にゆかりのある茶室、数寄屋などが複数ございます。こうした歴史的価値の高い重要文化財とその移築にまつわるストーリーを、委員御紹介いただいた東アジアも含めて多言語でしっかりと発信を強化して、外国人旅行者に関心を持っていただけるように様々な媒体を通じてプロモーションを強化してまいりたいと考えております。
◆宇佐美委員 移築とかは本当に日本独特の文化で大変な作業が要ることで技術もいることだと思うので珍しいから外国人の方に受けると思うのですけれども、臨春閣の内覧は25日までで終了してしまいましたけれども、今後、数年に一度でもいいので内覧会を開いていただきたいと思っています。来園者が増えるきっかけになりますし、文化財への興味関心を寄せていただくきっかけになるのではないかと期待しています。この歴史的に貴重な資産を次の世代にしっかりと渡していくことが本当に大事だと感じました。来年度以降も維持管理や活用に予算をしっかり確保していただきたいと要望し、次の質問に移ります。
 次に、創造的イルミネーション事業についてですが、創造的イルミネーション事業ヨルノヨですが、2019年から開催し、横浜での夜の滞在時間を延ばして市内で観光を楽しんでほしいということで今年3回目の開催が予定されています。昨年度はコロナ禍でも131万人と先ほどお伺いしましたが、多くの方に来場していただいたと聞いています。
 改めて、この事業を実施する意義を伺います。
◎大塚横浜魅力づくり室長 創造的イルミネーション事業でございますが、港や歴史的建造物、みなとみらいの近代ビル群など横浜港を囲むまち全体を光と音楽で一体的に演出し、横浜ならではの夜景を創出する事業でございます。これによりまして、国内外から観光客を増やし、ナイトタイムエコノミーの活性化につなげ、世界から選ばれる夜の観光コンテンツとしていくことを目指しております。
◆宇佐美委員 何となくこのコロナ禍での開催ということで感染拡大を危惧する声もありましたが、屋外ということもあり盛況ということで、今後の観光需要を見据えての事業として開催していくとのことですが、市の良好な自然環境、広く大きな空と海と緑を次の世代にちゃんと手渡すためには、今世界的な課題になっている脱炭素の取組に真剣に取り組む必要があると考えます。ヨルノヨにおけるこれまでの脱炭素の取組を伺います。
◎大塚横浜魅力づくり室長 令和3年度はイベントで使用した推定の電力量から二酸化炭素の排出量を算出いたしまして、国が認証しているJ-クレジット制度を活用して、カーボンオフセットを行うことで脱炭素の取組を行いました。
◆宇佐美委員 今年4月にみなとみらい21地区は脱炭素先行地域に選定されました。民間事業者の皆さんと大都市における脱炭素のモデルの構築に取り組むという中で、ヨルノヨは大規模にイルミネーションできらびやかな世界をつくっております。LEDを使用しているとはいえ、先ほども言っていただきましたけれども、少なくない電力を消費していることは否めないと思います。
 こうした中でこのヨルノヨの脱炭素に向けたさらなる取組必要だと考えますが、今年度における脱炭素、さらなる取組について伺います。
◎神部文化観光局長 令和4年度は、先ほどのカーボンオフセットに加えまして新たに太陽光発電と蓄電池を組み合わせて一部の演出で活用するなど、再生可能エネルギーの導入について今検討しております。事業の実施に当たっては、脱炭素社会の実現に向けた取組を推進することは大変重要であると考えておりますので、今後も再生可能エネルギーの導入などに積極的に取り組んでまいります。
◆宇佐美委員 片方では脱炭素に取り組んでもらっておきながら、片方で同じ場所できらきらと電飾をというのは何かちょっとちぐはぐな気がしていたので、今太陽光発電と蓄電池でということをおっしゃっていただいたのですけれども、風力もありますので、そういう再生可能エネルギーをぜひもっと活用していただきたいと思います。
 次は、日中韓都市間文化交流事業について伺います。
 2014年の初代東アジア文化都市として選定された本市は中国泉州市と韓国光州広域市と3都市で文化芸術を通じて活動を続け、今年で8年になりました。この間、多くの参加者が2つの都市の様々な方々との交流を重ねてきたと思いますが、これまでに本市から派遣した方々に対して受け入れる各都市の皆さんの受け止め、どのようなものだったのか、伺います。
◎中山文化プログラム推進部長 横浜市から派遣したアーティストはいずれも現地の市民の皆様から大変好評をいただいております。例えばよさこいの団体を派遣した際には、現地で振りつけを教え観客の皆様と共に踊ることで会場が盛り上がるなど、顔と顔の見える交流が行われました。このような交流は両都市からも高く評価を受けており、横浜市との交流を今後も継続していきたいとのお声をいただいております。
◆宇佐美委員 言葉とかは関係なく顔と顔合わせるということは本当大事だなと思います。2021年度はコロナ禍により各都市をオンラインでつないでのダンスの披露だったということですが、今年度の取組はどういったものになるのか、伺います。
◎中山文化プログラム推進部長 横浜市主催事業では、日中韓3都市の青少年がオンラインのワークショップを通じて音楽を創作し、現在開催中の横浜音祭り2022のまちなかステージでその成果を発表いたします。また、中国泉州市の海上シルクロード国際芸術祭、韓国光州広域市の東アジア文化都市絵画展の開催に合わせ、横浜にゆかりのあるアーティストによる作品等を出展いたします。
◆宇佐美委員 楽しみな計画だなと思っていますけれども、新型コロナの世界的なパンデミックと世界情勢が不安な中でこの事業を続けていくことは本当に大変だっただろうと想像しています。この世界情勢だからこそ、先ほど言っていただいたように、人と人が顔を合わせて、お互いの違いや一致している点など理解し合う機会は本当に必要だと考えます。日中韓都市間文化交流事業、国際平和に寄与する横浜らしさを発揮する事業として今後も継続して実施していただきたいと考えますが、見解を伺います。
◎神部文化観光局長 文化芸術には言葉が通じなくても国境や言葉を越えて感動を共有して人と人との心つながりを生む力があるというのを、この事業を通じて私も実感してきたところでございます。また、相互理解の促進にも寄与するということで、国際平和にも寄与する有効な手段であると考えております。これまでに文化芸術を通じて培った日中韓3都市での友好関係や信頼関係を継続しながら、今後もこの事業をしっかりと継続してまいります。
◆宇佐美委員 都市間平和交流として大事だということでおっしゃっていただいたのですが、このコロナ禍により当然市民の命を守ることに多くの予算が充てられた中で、予算が減らされてしまった事業ということで、これ以上予算を減らすことなく事業を継承していただきたい、続けていただきたいと要望し、次の質問に移ります。
 最後は、アーティストの活動の場と支援について伺います。
 文化芸術創造都市政策を進めている本市では、関内関外地区にある遊休不動産をスタジオやアトリエなどとして創造的に活用する芸術不動産という事業を進めています。芸術不動産は2005年に本市とBankART1929が連携して取り組んでKITANAKA BRICK&WHITEをきっかけとして開始し、これまで関内関外地区の古いビルのイノベーションなどを支援することで活動拠点をつくり、市内を拠点に活動するアーティストやクリエーターが集まるまちや文化の活性化を進めてきたと聞いていますが、芸術不動産の取組の現状を伺います。
◎野田文化芸術創造都市推進部長 これまでの取組の中で、泰生ビルや住吉町新井ビルなど関内関外地区の10か所が芸術不動産として活用されてまいりました。昨年秋に不動産や建築等の専門家によるヨコハマ芸術不動産機構が設立され、市と芸術文化振興財団の3者で連携協定を締結し、ビルオーナーの方などに向けた相談窓口を開設いたしました。不動産の情報収集やリノベーション技術等民間ノウハウを活用しながら、事業規模やエリアの拡大を目指してまいりたいと考えております。
◆宇佐美委員 私自身が役者になりたいと思って活動していた時期がありまして、稽古場や劇場の確保に苦労したので、活動の場や活動できる機会をつくることを支援していただけるということがどんなに重要か。この事業をもっと前からといっても20年前の話なのですが、実施していただけていたら私は無謀にもまだ役者を目指していたかもしれないのですが、アーティストの皆さんは経済的にも本当に厳しい現実にあり、私自身の経験でもありますので、経済的な面はもちろんですが、芸術活動を担う人を育てることを応援するという意味でも本当に重要と考えています。
 特に若いアーティストさんへの支援助成が本当に重要と考えますが、2021年度の実績を伺います。
◎野田文化芸術創造都市推進部長 次世代を担う若手アーティストのキャリアアップ活動の支援のため、39歳以下のアーティストを対象とした助成を実施し、現代美術家や振りつけ家、ダンサー等6名の方の活動を採択いたしました。本助成では、個別面談を通じたアドバイスや展示、公演などの発表の場の紹介などアーティストのニーズに寄り添った伴走型支援を行っております。
◆宇佐美委員 芸術不動産という事業は不動産屋さんの御厚意に甘えていると。不動産屋さんが大家さんの理解を得られるように、皆さんが心を砕いてくださっていることも聞きましたし、市内で活動する場が得られるというのはアーティストの方々にとって本当に心強いと思います。人と人とがつながる環境をつくってくれる事業もあるということで、文化芸術活動の中間支援を行うアーツコミッション・ヨコハマでは様々な支援を行っていると聞きました。
 この事業の主な支援策を伺います。
◎神部文化観光局長 アーツコミッション・ヨコハマでは、アーティスト、クリエーターのワンストップ窓口として、1つは相談窓口、また活動の場の紹介、それから若手の方のキャリアアップのための助成など様々な支援を行っておりまして、文化芸術と社会をつないでいくということを目的に活動を行っております。
◆宇佐美委員 ここまでアーティストの活動の場所や支援策について伺いましたけれども、本市としてアーティスト支援を行うことは本市の未来の芸術文化を継承していくために大事な事業だと考えています。今後もアーティスト支援、継続的に取り組んでいただきたいと考えますが、見解を伺います。
◎神部文化観光局長 これまでも、例えばコロナ禍の中でアーティストの皆様が税理士や弁護士など専門家に相談できる窓口を迅速に開設するなど、横浜で活動する文化芸術関係者の皆様のニーズを踏まえて様々な支援を行なってまいりました。文化芸術は鑑賞や体験といった活動だけではなくて、共生社会の実現、あるいは地域コミュニティーの活性化など様々な社会課題の解決のきっかけともなると考えております。今後とも、アーティストをはじめとして文化芸術に携わる様々な方々をしっかりと支援してまいります。
◆宇佐美委員 どうしてもやはりコロナ対策に予算を多く割くのは仕方ないと思うのですが、こんなときだからこそ心の栄養が本当に必要だと思います。予算を確保して、アーティストにしっかり寄り添っていただきたいと要望し、質問を終わります。


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