見解/声明
2024年3月22日

「汚染水」表記の授業を議会で批判し、教育長が謝罪したことは、教育の独立性を揺るがす問題

2024年3月22日

日本共産党横浜市議団 団長 古谷やすひこ

3月7日、横浜市会予算特別委員会教育委員会審査で、自民党の議員が、2024年1月に札幌で開催された日教組の教研全国集会で横浜市の教員が発表した、福島第一原発の処理水を「汚染水」と表現する教材を使った授業実践例のレポートを取り上げ、「学習指導要綱を逸脱した教育活動がやられているのではないか」などと指摘し、「反原発の運動に子どもを巻き込んだのではないか」と述べました。

 自民党議員の指摘に対して教育長は、「汚染水と処理水をごちゃまぜにした授業を行ったことが分かった」「様々な見解のある事柄に対して一面的に捉えたり誤った認識を持ったりする内容があったと受け止めている」「生徒が誤って理解したとすればそのままにならないよう、当該教員・校長を指導するとともに全校に今回の件について周知していく」と述べ、最後に「本当に申し訳ありませんでした」と謝罪しました。3月22日の総合審査でも、同様の質問が自民党議員から行われました。

日本共産党横浜市議団は、このような質問が議会で行われたこと、その質問に対して教育長が議員と議会に対して謝罪したことは、教育に対する政治介入であると考えます。今後、厳に慎むよう強く求めるものです。

議会や議員、教育長は、学校現場の条件整備など、子どもたちの教育の充実と教職員の労働条件などに限ってのみ意見を述べるものであり、教育内容に立ち入って介入することは極めて抑制的でなければなりません。教育基本法にも「教育は、不当な支配に服することなく、(中略)教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない」と規定されています。

今回、政治家から授業の内容について問われ、それに対して教育長が謝罪し、対策すると述べたことは、教育現場を委縮させ、物言えない教育現場にしていくことにつながります。学校は、こどもの人格の完成をめざすところであり、自由にものが言え、子どもたちが安心できる砦でなければなりません。今回のことは教育基本法の精神に背くものです。

日本共産党横浜市議団は、3月18日の教育委員会常任委員会で、この視点で教育長をただしましたが、「教員は教科書や教材にそって正しいことを教えることが期待されている」「今回、間違えたことを訂正したもの。政治介入にはあたらない」などと答弁しました。これは、あまりに不適切な認識だと指摘せざるを得ません。

戦前の日本は、国が教育を厳しく統制・支配し、教育内容に干渉しました。このため教育は画一的、形式的になり、国民を極端な国家主義と軍国主義に導いて、戦争に駆り立てました。このことへの強い反省に基づいて教育の独立性が掲げられています。

日本共産党横浜市議団は、今後もこの視点に立って、教育の独立を守り、政治が教育に介入しないよう力を入れます。


新着情報

過去記事一覧

PAGE TOP